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花食症  作者: 柏井彫刻
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 あの何も食べれない日々が嘘かのように、今は普通に空腹を感じる。異常に喉が渇くこともなくなった。

 このことは両親と私の3人以外知らない。 私たち家族にとっては普通でも、他人にとっては普通ではない。それくらいはわかる。だから外では食事ができなくなったし、発言にも気を付けなければならない。

 しかし全く、何故私が花以外食せなくなったのかは謎のままだ。今までそんな話は聞いたことがないし、調べてみても何かがわかるとこはなかった。

 でも何故か、恐怖を感じることはなかった。


 あぁ、私は花を食べたいんだ


 花はこんなにも美味しい物なんだ


 ただそれだけ

 あとは簡単だ。お腹がすいたら花を食べる。みんながパンを食べるように、ご飯を食べるように、魚を、肉を食べるように花を食べればいいだけ。それだけなのだ。

 今日の夜は何だろう。薔薇がいいな。薔薇は特に美味しいんだ。


 「ただいま」

 日没が近づく中帰宅した私を、いつもの様に母親が迎えた

 「おかえり」

 すると、あら?と母親が首を傾げ

 「それ、どうしたの?」

そう聞いてきた。言っている意味が分からず。私も首を傾げる。

 「ほら、そのほっぺ。 赤くなってるわよ?」

 言われて頬を撫でてみるが、特に何かがあるようには思えない

 「ニキビ?」

 「わかんない、ちょっと確認してくるね」

 私は洗面台に向かい、指摘された頬を確認してみる。

 するとそこには確かに、頬の一部が不自然に赤らんでいるのが見てわかる。

 「これって……」

 私は次に鎖骨のあたりを確認してみる

 「……やっぱり」

 頬にあるものと鎖骨にあるものは酷似していた。いや、それだけじゃない。

 よく見れば腕や脚、体のいたるところにそれは存在した。

 痛みも痒みもない、ただ皮膚がその部分だけ赤に染まってしまったかのようなそれは、私に小さな恐怖を与えた。

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