風の唄声
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「登録はこちらですー」
広いホール内で正装した女性が大きな声を張り上げている。辺りには色んな鎧を身にまとった人々で賑わっていた。キラキラと輝く宝石が散りばめられた者がいれば、一撃で破壊されそうな感じのボロボロの装備まで様々な装備が見られた。
「冒険者だけあってバラバラなんだな……」
ルイは、冒険者ギルドに足を運んでいた。ラスベルに頼み込んで連れてきてもらったが、ここで待つように言われている。それなりの時間が過ぎているが、ラスベルが戻って来る様子はない。
「困ったな……ずっとギルドってのも何だか……」
常に冒険に身を置く冒険者の集うギルド。こんな場所で一人待たされる身としては、胃がキリキリと痛む。何度かエステリアには来た事はあるものの、案内なしでは動く事も出来ない。
「キミは一人?」
そんな時、一人の少女がルイに声をかけて来た。クリっとした瞳と真っ赤な長い髪。胸をこれでもかと強調する装備と、下着が見えてしまうのではないかと思うほど短いスカート。腰には細剣を刺したその少女が、ルイをじっと見ていた。美少女と言うよりは可愛らしい。
思わず頬を赤く染めて、視線を泳がせる。
「ねぇ聞いてる?」
澄んだ声音がルイの耳元で囁かれた。
「あたしはアスカ・バルモントあなたは?」
「えっ? お、おれ?」
「当たり前じゃない。他に誰が居るのよ」
「お、おれはルイ・レグナント」
「ふーん、ルイって言うのね。素敵じゃない」
アスカ・バルモントと名乗った少女は、目を細めながら笑顔を見せた。