風の唄声
「ラスベル様の所に行くんでしょ?」
ミリアにそう言われ、ルイはうつむく。
「ルイってさ……どうしたいの?」
「!」
どうしたいのだろうか……。既に十七歳。早ければ好きな女性と結婚し、家庭を持つ年齢でもある。いつまでもこのままという訳にはいかない。それでも、このまま村で暮らしても何の変化もなく時だけが過ぎて行くだろう。刺激が欲しいのか、それとも今の暮らしから逃げたいだけなのか……。自分でもよく分からないのだ。ただ……。
「まだオレには分からないよ。ただ、この広いファーレル大陸をこの目で見てみたいとは思ってる」
ミリアは初めてルイの本音を聞いた。何となく分かってはいた。ラスベルと日々剣の稽古に明け暮れ、強さを求める姿を毎日見ていれば、大陸を巡る旅に出たいであろう事は簡単に察しがつく。
「そうは言っても、冒険者にでもならないと無理なんだろうけどね」
「冒険者……」
自分の思うがままに生きる自由人。人々の依頼を受けながら、その報酬で大陸全土を旅していく。その為には、冒険者ギルドに入らなければならない。誰でも簡単に冒険者になれるなら、この世界は冒険者だらけになってしまう。
「ルイが冒険者になったら、あたしも冒険者を目指そうかな」
ミリアはそんな事を呟いた。
「えっ?」
ルイは驚く。ミリアは危険な事には無縁だと思っていたからだ。
呟いたミリアに視線を移すと、恥ずかしそうにうつむき、頬を赤く染めていた。