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ファーレルの風  作者: 月夜
序章
2/23

風の唄声

☆☆


「ーーーはぁっ!」


少年の掛け声と共に、金属と金属がぶつかり合いかん高い音が響く。


何回かの打ち合いで、少年は後ろに弾き飛ばされた。


額からはキラキラと汗が飛び散り、両肩は上下に揺れている。


正面には長い白髪を後ろに束ね、左頬に深い傷あとを残す老人が右腕だけで長剣を構えていた。


80歳を過ぎた老人とは思えない鋭い眼光。


左腕は失われているものの、鍛え抜かれた肉体は、未だ衰えを知らないように見える。


「強くなったなルイ」


ルイと呼んだ少年をどこか嬉しそうに目を細めた。


「……」


呼吸が整わないルイは、言葉を発する事ができず、ただ老人を睨みつけている。


そのまっすぐな瞳は、空と同じ澄んだ青色をしていた。


汗で濡れた髪も、瞳と同じ色をしている。


無造作に伸びきった髪を老人と同じように後ろで束ねたルイは、少年というより少女のような可愛らしい顔立ちをしていた。


「今日はここまでにしようかのぉ。ルイは加減を知らんからな……」


「待って……後ーーー」


「今日は終わりだ。体を休める事も大切だと教えた筈だ」


老人は剣を納めると、水の入った袋に口をつけた。


「動いた後の水は何度飲んでも美味い」


「水じゃなくて酒だろ」


腰を下ろした老人を見ながら、ルイは呆れながらも剣を収めた。

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