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私の欲しかった物

作者: どんぶりこ

一寸、お兄ちゃん

リビングのテーブルの前でスマホを弄っていた私の頭に違和感を感じ後ろを振り返った時、お兄ちゃんは

お風呂上がりで髪をバスタオルで拭きながら裸で私のスマホをのぞき込み

お兄ちゃんのオチンチンが私の頭に当たって居たのだった。

悪い悪いつい何時もの習慣で今夜はお前と居た事を忘れていたよ。

そう言いながらバスタオルで下半身を隠した。

何時もの習慣って、お兄ちゃんは何時も裸なの?

じゃあ恵ちゃんも?

恵はバスローブ一枚だよ

えっ

じゃあ恵ちゃんもパンツ穿いて無いの?

そうだよ。俺達二人で決めた事だし誰も来ないしな

そう言いお兄ちゃんは笑っていた。

お兄ちゃん

なんだ?

其れにしては中々子供、出来なかったね

バカ

Hした位、子供が出来る訳でもないだろうが

お兄ちゃんと恵ちゃんは結婚して3年目で始めての子供を授かり

恵ちゃんは実家で産後の一ヶ月間を過ごす事に成り、お兄ちゃんの世話係を私が頼まれ今夜から一ヶ月間だけ

お兄ちゃんと一緒に暮らす事と成っていた。


香織、バカな事言ってないで早く風呂へ入って来いと

お兄ちゃんにそう急かせられ私はリビングを離れお風呂場へと向かった。

お風呂を済ませバスローブ一枚を身に付けリビングに戻ると缶ビール片手にお兄ちゃんはテレビを見て居た。

ジャジャーン

是れが成長した妹の躰です(笑)

そう言い着ていたバスローブの前を開いた

お兄ちゃんはテレビを見て居た視線を外し振り返った

バカ

なにやってんだ

お前は

そう言い視線をテレビに戻したがバスタオルで覆っていた下半身に力がみなぎり

お兄ちゃんのバスタオルはテントを張った様に一カ所だけ浮き上がって居た

あら

成長した可愛い妹の躰を見て喜んでくれないの?

お前な

いいから早く前を隠せよ

分かった

じゃあ、お兄ちゃんもその張ったテントみたいなのを直してよ

あのな

是れは急にには小さい成らないんだよ

男とはそう言う物なんだよ

だって私、男…知らないもん

男知らないって

お前、彼氏とか付き合って居る人とか居ないのかい?

私には好きな人が居るから

そんなの必要無いし

じゃあ、居るんじゃないか(笑)

そんなんじゃ無いもん

彼氏でも友達でも無いもん

お前な,さっぱり意味が分からん

とにかく、前を隠せよ

お兄ちゃん

さっきからバカ馬鹿って言って居るけど

妹の躰を見ただけで、そんな反応するなんて信じらんない

だから男って好きに成れないよねぇ

そんな事より頼むから早く前を隠して寝ろ

寝ろってどこに寝るのよ

まさか今夜はここでゴロ寝?

此所は私の家じゃ無いし、私は何所で寝ればいいのよ

分かった

俺達の部屋の隣の部屋に布団敷くから

そこで寝ろ

そう言いお兄ちゃんは私の為の布団を敷きに行った。

程なくし、お布団を敷き終わったお兄ちゃんがリビングのドアをそっと開け、布団敷いたからな

早く寝ろよ

そう言いドアを閉めようとして居た。

お兄ちゃん

一つだけ聞いて良い?

聞きたい事って何だよ

あのね、恵ちゃんが妊娠したとお兄ちゃんに教えた日から

お兄ちゃん、赤ちゃんが産まれる迄、恵ちゃんを一度も抱かなかったのは何故?

恵ちゃんねぇ

お兄ちゃんが浮気して居るんじゃ無いかって私に電話して来たんだよ

俺なぁ、そう言いつつリビングに入って来て

恵が妊娠したと聞いた時、凄く嬉しかったんだよ

だからな

やっと授かった赤ん坊にもしもの事が有ってはいけない

そう思ったんだよ

そうしたら、恵を抱く事が出来なく成っていたんだ

恵には寂しい思いをさせていたのかもな

お兄ちゃん

恵ちゃんに、その事を言って上げなきゃ

でも、お兄ちゃんは浮気なんかして居なかった

だって妹の私の躰を見て反応する位、お兄ちゃんは欲求不満だもんね(笑)

私はそんな優しく真っ直ぐなお兄ちゃんが大好きだった。

思わずお兄ちゃん大好きと言い抱き付いた

お前、そんな格好で俺に抱き付くな

そう言い私の躰を離したが

お兄ちゃんの顔は真っ赤だった

お兄ちゃん顔赤いよ(笑)

いいから早く寝ろ

そう言い部屋を出て行こうとして居たお兄ちゃんに

朝は何時に起こして上げたら良いかを聞くと

明日は現場が離れて居るから6時かな

そう言いリビングを後にした。



翌朝は5時に起き

私達二人の朝食の準備やら二人分のお弁当を作ったりしていたら

あっという間にお兄ちゃんを起こして上げなければ成らない時間に成っていた。

お兄ちゃんと恵ちゃんの寝室に行き静かにドアを開けた。

お兄ちゃんは、まだぐっすりと眠って居た

お兄ちゃんもう起きる時間だよ

そう言いながら肩を揺すったが反応が無い

お兄ちゃん…起きて

今度は力を込め肩を揺すった。

もう、こんな時間か

香織、有り難うな(笑顔)

お味噌汁冷めるから早く来てね

そう言って居た私も笑顔を向けて居た

子供の頃成らバフンとお布団を引っ剥がす所だろうけれど

裸で寝て居た事は容易に想像出来て居たので其れは出来なかった。

仕事着に着替えたお兄ちゃんがダイニングに現れ食卓に付いた。

久しぶりに見るお兄ちゃんは細い口髭をはやし、見た目、怖そうだがその姿が格好良くて

お兄ちゃん

格好いいね

まるで暴走族見たい(笑)

香織

この格好のどこが暴走族なんだよ

俺ら鳶職の人間はこの作業着に命を賭けているんだからな

言わば是れは俺ら鳶職の勲章なんだ

お兄ちゃん

ごめん

分かりゃ良いんだよ

そう言い丼飯に箸を付けた


恵ちゃんからお兄ちゃんの生活をするに当たり幾つかの事柄を教わって居た。

朝食はご飯とお味噌汁

朝からガッツリ食べるのでご飯を多めに炊く事等々、細かく教えて貰っていた。

丼飯を差し出しおかわり

そう言うお兄ちゃんに、お兄ちゃん

良く食べるね(笑)

大食漢に呆れ、そう言ったのだったが

俺ら鳶職の人間は食うのも仕事の内だからな

そう言いつつ

今朝は丼飯を3杯、完食し

じゃあ香織行って来るな

そう私に言い玄関へ向かうお兄ちゃんに

子供の頃の様に両手を重ね頂戴をし

お兄ちゃんと私の食材やら二人分のお弁当の食材を買う為のお金を頂戴と言った。

そうか、そう言い財布から大切に使ってくれよと言い一万円札、五枚を私の手の平に乗せた。

お兄ちゃん…今夜は何が食べたい?

そう聞くと、何でも良い

第一、お前の得意料理って知らないしな

そう言い笑って居た。

じゃあ今夜はお兄ちゃんの大好きなすき焼きにするね

おお、今夜はすき焼きか楽しみに帰って来るよ

そう笑顔を私に向け

私も笑顔でお兄ちゃんを見送った後

簡単に朝食を済ませシャワーを浴び仕事に行く準備が整うと会社へ出勤した



会社へ出勤しロッカーで制服に着替え自分のデスクに座って間もなく周りが、ざわつき始めた

まさか自分の事が話題に成って居たとも知らずに

会社で一番親しい友子さんに

ねぇ、友子さん

何かあったの?

そう彼女に尋ねると、香織ちゃん

昨日は何か良い事でもあったの?

と逆に聞かれ、何も無いけど

そう答え、どうしてと

そう聞き返した。

だって今朝の香織ちゃん

顔がニヤケてるって、皆が話してるよ

別段、そんな意識も無かったが、兄と一緒に暮らせる

そんな思いが顔に出て居るのかと思い

急いでトイレにに駆け込み鏡に映る自分の顔を見たが

どこも変わった所も無く

急いで自分のデスクに戻り、間もなく朝礼が始まり周りもシーンとし

私の顔のどこがニヤケて居るのよ

そう独り言を呟き仕事に集中した



お昼休み時間に成り

誰も居ないと思いお弁当を広げお、兄ちゃん私の作ったお弁当

気に入ってくれて居るかなぁ

などと考え顔がほくそ笑んでいた部屋に鈴木係長さんが居残って居て

香織ちゃん、何か良い事でもあったのと聞かれ

今日は鈴木係長さんも手作りお弁当でしたか

そう言い照れ笑いをして見せるのがやっとだったが

それと同じ時間帯に私の作ったお弁当を広げ食べた、お兄ちゃんの身に何が起きて居たかなど

私が知る筈も無かった。

仕事も終わり会社を出て、お兄ちゃんと私の食べる食材やらお弁当の食材やらを買い

お兄ちゃんのアパートへ戻り玄関のドアを開け中に入り一息付くと

お風呂場の掃除や今夜の夕食(すき焼き)の下ごしらえ等を済ませても

まだ、お兄ちゃんの帰って来る時間迄には大分、時間があった

私も結婚をし共稼ぎ生活に成った成ら愛する人をこうして待って居るのかなぁ

そんな事を空想しながらも考え

とりあえず冷蔵庫から缶ビールを取り出しリビングに入りテレビを付けテーブルの前に座ると

缶ビールを開けた。

シュッツと音と共に少し泡が出た。

そこに口を付けゴクンゴクンと咽の奥に流し込む様に飲む

うめぇ、冷えたビールが咽に心地良く、またゴクンゴクンと続けざまに飲み干した。

けれど、やはり独りで居るのは寂しかったし

独りで居ると何かしら考えてしまうもので

お兄ちゃんは高校を卒業すると大学受験も受けずに鳶職の世界に飛び込んだ。

お兄ちゃんに、一度聞いた事がある。

どうしてそんな危険で厳しい世界に入るのって

その時、お兄ちゃんは鳶職の人って格好いいだろう。

俺はあの姿に憧れたんだよ。

そうお兄ちゃんは私に話してくれた。

お兄ちゃんが鳶職に成る事は家族全員が危ないからとか、危険性が高いからとかの理由で猛反対した。

しかし、お兄ちゃんは私達、家族に鳶職はとても危険性の高い職業だ其れは俺も充分、分かって居る。

けれど、誰かがやらなければ成らない職業でもあるし、どんなに素晴らしい建物も鳶職人無しでは絶対に作る事が出来ないんだ。

お父さん、お母さん、鳶職と言うのはね、是れから施工する人達の命とその施工する人の家族を守る大切な仕事でもあるんだ。

そう熱弁をし両親を説得して居たが

何所でどう考えたら運動神経さえも優れて居るとは言えないお兄ちゃんが

私には、そこが疑問だった。

私は、そこに至る何かが、きっと何かがあり

お兄ちゃんは敢えて厳しく危険性の高い鳶職人への道へ入って行ったのではと

ずっと考えて居た

しかし、あれから年月が達ち今では口髭をはやし

逞しく男らしく成り凄く格好良かった(笑)

しかし、今は私の物でも無く幼なじみで何でも言い合え、お互いの良き相談相手でもある恵ちゃん

と生まれて来た赤ちゃんの物

しかし、その親友にお兄ちゃんをくっつけたのは私で、まさか僅か一ヶ月間とは言え、この様にお兄ちゃんと一緒に暮らせる等

神様は悪戯が過ぎるよ

そっとして置いて欲しかった。

もう少しでお兄ちゃんへの思いを断ち切れたかも知れなかったのに。

是れからの一ヶ月間は楽しいだろう

しかし、その後に来る寂しさ、辛さは計り知れない物に成るだろう

お兄ちゃんは恵ちゃんと生まれた赤ちゃんの物で

どんなに私が慕おうが

自分の口からお兄ちゃんを愛している、等とは決して言えない

私は間違った恋をして居るのかも知れない

けれど私はお兄ちゃんが大好きで

そして愛しまっている。

愛しているって言葉は決して声に出しては言えないし誰にも知られる事無く

あの世迄、持って逝けば良いのだと考えるしかなかった。



ピンポンと玄関のインターホンが鳴った。

急いで玄関のドアを開け

お兄ちゃん

お帰りなさい、そう笑顔で出迎えたが

香織、お前な、何で俺の弁当にそぼろで大きなハートマークなんだよ、と出迎えた私に怒りをぶっつけた。

俺な今日一日、散々だったんだぞ

尚も怒りをぶっつける様に話すお兄ちゃんが汗臭く

お兄ちゃん汗臭い

そう言い背中を押す様にしお風呂場へ追いやった。

妹が兄のお弁当にハートマークを書いて悪いって法律でも有るの何が、香織お前な、よ

香織、ただいま位、言えないのかね家のお兄ちゃんは

其れは私が、お兄ちゃんを出迎えた時の事を想像して居た光景とは偉い違いだった

何よ(怒)

お前なハートマークが何よ

明日もハートマークのお弁当にしようかな(笑)

そう私が独り言を言いながら夕食の食器類やすき焼き鍋に火を付けたりして居ると

バスタオルを腰に巻いた風呂上がりのお兄ちゃんがダイニングに来て食卓に付き

香織、お前な俺も鳶職人に成ってやっと下の者を教育する立場に成れたんだぞ

其れが今日は兄貴、今日は奥さんの手作り弁当ですか?

そう聞かれたから上さんは子供を生んだ後、実家に行って居るから

今日の弁当は妹が作ってくれたんだ

そう教えたよ

そしたらよ妹さんですか?

だって大きいハートマークなんで、奥さんかと思いましたよ

そう言い!

だって妹が兄貴の弁当にハートマークって可笑しく無いっすか

そう言い笑いやがったんだぞ

それから仕事中にそいつを怒ろうとしたら俺の顔を見てプププって吹き出しやがって

お陰で今日一日は調子狂ってさあ

おい、香織お前なあ俺の話し聞いてんのか?

俺達、鳶職人はなあ怒られて仕事を覚えて行くもんなんだよ

このお肉美味しい(笑顔)

お前な、人が話して居るとき肉食うな(怒)

そんな大きい声で言わなくてもちゃんと聞こえてます

第一、二言目には俺達鳶職人はなあって

もう耳にタコです

トンビかカラスか知んないけど

是れは私が作った料理なの

お肉食べた位で怒る事無いでしょうよ

はい!お兄ちゃん

お仕事お疲れさまでした。

そう言いながらグラスにビールを注ぐと直ぐに飲もうとした

お兄ちゃん…ちょっと待って

まだ何かあるのか?

そう言って居たお兄ちゃんを他所に私のグラスにもビールを注ぐと

今夜は恵ちゃんの出産と赤ちゃんの誕生を祝って乾杯しよう(笑顔)

お兄ちゃん、ハイお目出度う

そう言いグラスをカチンと合わせ乾杯すると

香織、有り難うな

まあ是れからも宜しく頼むなと笑顔で私に言い

やっとすき焼きを食べ始めた。

お兄ちゃん、どう?

うまい!本当に巧いよ(笑顔)

お兄ちゃん沢山食べるからお肉も沢山、買って有るからね

そうか、じゃあ遠慮しないで食うな(笑顔)

それからビールを飲みながらすき焼きをモリモリ食べ

なあ香織、今度の日曜日にさあ何か予定とか有るか?

私が無いけど、どうして?

そう尋ねると

俺さあ、早く恵と赤ん坊に会いたいよ

俺さあ赤ん坊が生まれた時に行けなかったんだよ

俺ら鳶職人はな子供が産まれた時に会いに行くと一週間は仕事を休まなきゃあ成らないんだよ

俺ら鳶職人は血の臭いをさせて現場に行く事は御法度なんだ

運悪く俺な、丁度その頃、仕事が忙しくてさ

俺らの様な小さな会社では

誰か一人でも休むと皆がその日一日、苦労する事に成るんだ

誰かが誰かの代わりをするって事は

ただ負担に成るだけじゃねぇ

それだけ危険性が増すと言う事なんだよ

だから俺は休め無かったんだ。

でもよ早く女房や赤ん坊に会いたいんだ。

そう言いながらもお兄ちゃんの眼には涙が溢れ

其れがテーブルに落ちた。

お兄ちゃん

はい

そう言いテッシュを差し出すと

香織ごめんな

今まで我慢してたけど、お前に愚痴ってしまって。そうお兄ちゃんは思って居た事の全てを私に話してくれた。

分かった、私も恵ちゃんと赤ちゃんに会いたいと思って居たから

お兄ちゃん、じゃあ今度の日曜日に一緒に会いに行こう

楽しみだなぁっと、お兄ちゃんに笑顔を見せた。

大きな声で怒鳴られ始まった今夜の食卓はお兄ちゃんの愚痴と涙で最後はショボンとしてしまったが

何年かぶりに一緒に過ごすお兄ちゃんとの夕食は

それなりに楽しかった。

食べ終わりお兄ちゃんはリビングに移動し私は後片付けや明朝の朝食の為のお米を洗ったりとかし

全てが終わり

お風呂へ入っていた。

お兄ちゃんには怒鳴られもしたけど、お兄ちゃんの言って居る事は正しいのだと私は思った。

足を外せば即、命に関わる、そんな危険な作業現場に笑いや受けは必要がないのだろう

お兄ちゃん、ごめんなさい。

そう心の中で呟き浴槽のお湯の中へ顔を沈めた。

顔を上げ、じゃあ是れから先、私に出来る事、そして私が

お兄ちゃんにして上げたいと思って居る事とは

今は何も思い付かない。

お風呂から上がりバスローブを羽織、冷蔵庫から缶ビール2本を持ってお兄ちゃんの居るリビングへ向かいドアを開け

お兄ちゃん、お風呂上がりのビールに付き合ってくれる

そう言い部屋へ入った。

お兄ちゃんは、香織お前まさか今夜もと言いながら私を見た。

あら残念、今夜はパンツ穿いてますよ

ほらっ、と笑いながらバスローブの合わせ目を少し開いた。

其れを見て安心したのか缶ビールに手を付け飲み始めると

香織、お前が夕べ俺に見せた裸は

恵に俺の浮気の相談されたからなのか?

お兄ちゃんに、そう言われたけど私には裸の躰を見せる理由があった。

確かに恵ちゃんから浮気の相談は受けたが

私の真の理由は他の所にあったのだけれど

お兄ちゃんがそう思って居たなら、それで良い

お兄ちゃんには、その他の理由など思い浮かばないのだろうから

恵の為にあんな恥ずかしい事迄させてしまって

すまなかった。

そう言いお兄ちゃんは私に頭を下げ

恵は本当に良い親友を持ったな

例え兄妹とは言え今では二人共、大人だ

そのお前が親友の為に躰を張るなんて、俺には到底出来ない。

けど香織は其れを実行した。

お前達の友情は凄いな

是れからも恵と仲良くやってくれな。

其れからもお兄ちゃんの話しは終わらなかった。

其れは過去の自分の事を回想して居る様に私には映った。

アルコールが回ったのか

俺も、あの時お前達の様な関係の人が居てくれたなら

もっと違った生き方が出来て居たのかも知れなかったのになぁ。

お兄ちゃんは、そう呟いた。

其れは過去とは言えどんな悩み事だったのかは分からないが

何となく以前、私が抱いて居た疑問と結び付くのではと

この時、改めて感じて居た。

香織、今夜は俺、少し飲み過ぎた様だ。

明日の朝も6時に起こしてくれな、湯冷めして風邪引くから早く休めよ。

そう言い自分の寝室へと向かった。

独りリビングに取り残され私は、お兄ちゃんの学生時代にさかのぼり何を悩んで居たのかを探ってみた。

中学、高校時代と思い付く限りの、お兄ちゃんと親しかった女子学生を頭に浮かべたが

お兄ちゃんを悩ます様な付き合いさえして居ないのだから恋愛関係では無いのではと考えるしか無く、まるで分からなかった。

さぁ明日も五時おきかぁ辛いなぁ。

私は、ここに来る迄は朝五時に起きる等と言う生活は考えられなかった。

お兄ちゃんが実家を出た後も私はずっと自宅から大学、そして社会に出て会社へ勤めても自宅から通勤している為に

朝の5時に起きて何かをするって事がなかった。

其れだけに朝を辛く感じて居た。

目覚まし時計を少し早めにセットし眠りに付いた。


翌朝、5時前に起き朝食の準備や二人分のお弁当を作ったりと今朝も世話しなく動き回り

あっという間に6時に成っていた。

昨日、同様お兄ちゃんを起こしご飯を食べさせ玄関まで見送る為にお兄ちゃんの後ろを付いて行くと

今日、恵に日曜日の事、電話して置くから

香織、夕べは有り難うな

じゃあ行って来る。そう笑顔で片手を振り仕事へ行った。

今朝の朝食時は昨夜は何も無かったかの様な静かな食卓だった。

毎日毎日、変化等、無いのは何所の家庭でも同じだろうが

何か寂しい気持ちに成ってしまう。

是れが恵ちゃんとお兄ちゃんの朝食成らば、如何だったんだろうとか

私の心の中の何処かで、恵ちゃんに対する羨ましさから来る嫉妬めいた気持ちが湧き上がって来ている。私は、そんな自分がとても厭で徐々に変わって行く自分が厭で厭で仕方が無かった。



会社へ出勤し何事も無く仕事も終わりアパートへ帰って来て居た。

何時もの様にお風呂場の掃除やら夕食の準備をし

今日もまた厭な時間がやって来た。

お兄ちゃんを待ち、独りで居るこの時間が私は嫌いだった。

また何やら考え始めていた。

後、数日と迫って居た日曜日の事を考えて居た。

お兄ちゃんはアルコールが入ったとは言え恵ちゃんや赤ちゃんに会いたいと涙まで流しては居たけれど

私は別段、会いたいとは思っていなかった。

むしろ、恵ちゃんや赤ちゃんに会ってお兄ちゃんと恵ちゃんとの幸せいっぱいの様子に嫉妬するだろう。

だったら如何したら、その場から逃げられるのか?

今はその事だけを考えて居た。

お兄ちゃんと二人で恵ちゃんと赤ちゃんに会いに行く。

この事はどんな理由を付けたとしても断れ無いだろう。ではどうすれば?

そう考えて居た時、会社へ出勤する時のスーツや下着類、等々が少ない事に気が付いた。

そうだ、恵ちゃんと赤ちゃんに会い、そこで少し雑談して着替えを取りに行けば良いんだ。

こんな簡単でその場を立ったとしても不審に思われ無い理由が有る事に今まで、どうして気づかなかったんだろう。

是れで日曜日の対策は万全だ。そう思ったら気持ちが軽く成った。

冷蔵庫から缶ビールを取り出しグビグビと一気に飲み干し体を横にし寝そべり、テレビを見て居た。



ピンポンと玄関のインターホンが鳴った。

玄関へ行きドアを開け

お兄ちゃん、お帰りなさい。そう笑顔で出迎え、先にお風呂へ入って来て

洗濯物はカゴに入れて置いてね。お風呂場へ向かう、お兄ちゃんの背中越しにそう言って居た。

誰か知らない人がこの光景を見た成ら、誰もがお兄ちゃんと呼ばなければ夫婦の会話と思われる様な其れは優しい声だった筈だったが

お風呂上がりのお兄ちゃんが何時もの様にバスタオルを腰に巻いた姿でダイニングに現れ、食卓に付くと

香織、恵には日曜日に行くからと電話して置いたから

其れからな、お昼ご飯を一緒に食べる様に来てくれってさ。

だから、此所を10時頃出たら11時過ぎには向こうに着けるから

日曜日の朝飯はいいから、お前もゆっくり起きろよ

毎日、朝早いから大変だろう。

疲れて居ないか?俺、細かい所に気が付か無いから

疲れたら、疲れたって言ってくれよ。

そのお兄ちゃんの言葉は私、以上に優しい心遣いで

大丈夫よお兄ちゃん、私は頭の良いのと体力には自信が有るから

そう言い笑って見せ、ハイお兄ちゃん、今日もお仕事お疲れさまでした。と言いガラスにビールを注ぐと

香織、お前も毎日、有り難うな。そう言い私のグラスにビールを注ぎ

お疲れさまでした。と言いグラスをカチンと合わせ夕食も淡々と終わり

何時もの様に後片付けが終わりお風呂へ入り昔の事を思い浮かべて居た。

私達、兄妹と恵ちゃんは子供の頃から仲が良く

恵ちゃんのお父さん、お母さんにも良くして貰い私達が中学に入りお互いの家にお泊まりする様に成り、どちらの家の子供か分からない程

其れは頻繁で、どちらの家の両親も仲が良く親戚以上の付き合いをしていた。

恵ちゃんとはお泊まりする度に一緒にお風呂へも入っていたが

高校2年生の時位から恵ちゃんは自分の体を気にし始めて居て

特にオッパイが小さい事に悩んで居た。

私と一緒にお風呂へ入り、互いの躰を洗いっこした時に

香織ちゃんはオッパイが有って良いな

そう話し、自分のと比べ、その事に劣等感を持って居た。

私はその都度、大丈夫よ大人に成れば大きく成るって

そう言い慰めていたし、触らせた事も有るし、お泊まりする時はベットに一緒に寝たし互いの躰を良く知る、そんな二人だった。

その恵ちゃんが子供を生み、赤ちゃんに母乳を与えて居るのだから、月日の経つのは早いなぁ。

私は一体今まで何をして来たんだろう?

そんな事を考えながらお風呂に入っていた。

お風呂から出て缶ビール2本を持ちリビングに行くと

香織、今日は随分と風呂、長かったなぁ

俺、心配で見に行こうかと思ったよ。こんなに長く何して居たんだ?

そう言い不思議そうにして居た。

あのね、女性は男性よりも洗う所が沢山あるの。

第一、妹のお風呂が長いからって見に来ないで。

其れとも、お兄ちゃん、私の躰を見たいの?

見たいなら、見たいって言えば何時でも見せて上げるのに。

そう言いバスローブの紐に手を掛けた。

バカ、香織止めろよと、言いながら慌てて私の手を押さえた。

私がプハッと吹き出すと、お前な兄貴をからかうなと言い怒った。

飲もう、そう言い缶ビールを手にすると、お兄ちゃんは、おうと言い缶ビールに口を付け

香織、お前な冗談でも俺に裸を見せるなよ。

今度、見せたら襲うからな

なにせ欲求不満だからな、今の俺は。

うわあ怖い。(笑)

私ね、お兄ちゃんが好きなの。

小さい頃からずっとお兄ちゃんの事が大好きなの。

だから抱きたかったら抱いてもいいよ。

見たかったら躰だって見ていいよ。

大好きだから、だから。

香織、お前、俺の事を

私が告白した事で二人には暫く沈黙の時が流れたが

香織、俺が何故、あの時、危険で厳しい鳶の世界に入ったのか

お前には本当の事を話すな。

けど今更、話しても何も変わらないし、香織は俺の可愛い妹だ。

俺達は兄妹なんだ。だから俺に何も期待しないで欲しいし、俺達は今までどうり仲良し兄妹で良いか?

お兄ちゃん、どう言う事?

香織、約束してくれるか?だって訳が分から無いから、約束って言わなれても。

そうだよな。

香織、俺な、ずっとお前の事が好きだったんだよ。

是れで分かっただろう。だから約束してくれ。

お兄ちゃん。

約束してくれたら全部、隠さずにお前に話す。

どうだ香織?

分かった。約束するよ、お兄ちゃん。

それが、どれ程の事かわ分からかったが私は聞きたくて約束した。


香織、俺な、お前の事がずっと好きだったんだ。

高校を卒業する迄、色々と悩んだよ。

俺は、お前を妹じゃ無く女として香織を見て居たんだ。

けど、お前は俺の妹で俺達は兄妹だ。

そんな時、工事現場で働く鳶職の人達に出会ったんだ。

最初はただ働く様子を見て居ただけだったが、そこを通る度に足を止め見て居ると、鳶職の人に声を掛けられ、此所を通る度に見て居るけど何を見て居るんだいって。

俺は鳶職の方達の仕事を見てました。そう答えたら、お前、俺達を見てたのか?と笑われて

何が有ったか知らんけど、この仕事だけは止めとけ。俺達は命懸けでこの仕事をしているけど、人に進める様な仕事じゃないよ。

けど、俺に用があったら、ここに電話しな。そう言って携帯電話の番号を教えてくれて、その人から鳶職に付いて色々教えて貰い、是れだと俺は思ったんだ。

命懸けの仕事成ら気も抜けないし、お前の事を考えずに済むと。

俺はそう考えて大学に行かずに鳶職の世界に飛び込んだ。

お前が恵と付き合う様に仕向けた時、正直とても不安だったけど、好きな人にその友達を紹介される様では、俺の恋は片想いだったんだ成って

気持ちに踏ん切りが付いて恵と付き合い恵と一緒に居て楽しかったし

是れで良いんだ。そう思い恵とも結婚したんだ。

香織も片想いだと思って苦しんで居たなんて、俺達は似た者、兄妹だな。

俺の事は是れで全部、お前に話した。

だから、今日からは苦しまずに、お前は、お前の道を歩け。

お前程の器量良し成ら、どんな男だって振り向くよ。そう言いお兄ちゃんは笑顔を向けた。

お兄ちゃん、私を好きで居てくれて、ありがとう。

お兄ちゃんが言った約束は香織、守るよ。

けど、私、もう23才だよ。

23才の女が未だ処女って気持悪がって誰にも相手にされないよ。

だから、お願い、お兄ちゃん私の処女を貰って。

私、お兄ちゃんにあげたくて


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