神様の新しい生活の始まり
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カエデ·イベリス········ルピナスの父親
紅葉·イベリス···········ルピナスの母親
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「可哀想にあの年で親が亡くなるなんて。ご両親も子供を残していくことになってさぞ、悲しいでしょうね。あの子もとても落ち込んでいるんじゃないかしら。」
「そうでもないわ。生きてる頃から相手にされなかったらしいし、それに、あんな、気味悪い容姿なんだからきっと中身もいい方ではないと思うわ。きっと全く悲しくないのよ。」
「そうかしら。」
「きっとそうよ。だって、親がお墓にはいるときでも泣かなかったのよ。」
「そう考えてみるとそうね。」
「でしょ。」
(悲しくないんじゃない。悲しいのに涙がでないだけだ。泣きたいのにどうして·······)
ルピナスは遠くで女性たちの話を聞きながら手を握りしめた。
ルピナスが事故現場へ行ってから3日経った。あのあと、父親の友人だと言う人が両親の弔いを準備した。今はその弔いが終わった後だ。弔いに参加したのがほとんど父親の知り合いらしい。弔いが終わっても参加した人達は帰ろうとしなかった。それどころか、弔いが終わってから来る人もいた。どうやらこの弔いの後にある何かが、弔いに来た人達の本命らしい。
「お集まりの皆様、カエデ·イベリス、紅葉·イベリスの遺産についてお話します。
この度は遠くからお越しの方もいらっしゃいます。なかなか集まる時間がありませんので弔いの後にお話をさせていただきます。」
男が話始めたとたんに、その場は静まり、すべての人が男の話に耳を傾けた。どうやら、遺産が目当てらしい。遺産を受け継いだ者にごまをすり、遺産の一部だけでも、分けてもらおうと言う思惑だろう。
(あの人たちに遺産何て、残すものなんてあったんだ。)
ルピナスは男の話を熱心に聞く大人達を背に部屋を出ていった。
「はぁ、寒い。」
普通では寒くない夜もルピナスにはとても寒く感じられた。
「それじゃあね。元気で。」
「はい。ありがとうございます。」
ルピナスは今、ある施設の前にいた。
「君は孤児がいく施設に行くことになった。君のお父さんとお母さんの肉親というか、お父さんとお母さんの兄弟とか君にとってはお祖母ちゃんとお祖父ちゃんがいなくってね、知り合いの人も遠い親戚の人も君を引き取ることはできないって、言っててね。何故かは今は言えないけど。俺たちも君を引き取ってあげることは出来ないんだ。引き取ってあげたいけど俺たちには家族がいる。家族との問題もあるから、ごめんね。」
ルピナスは1週間ほど前、両親の弔いが終わって遺産の話がすんだあと父親の知り合いから聞いたことを思い出した。
(引き取ることは出来ない、か。みんな気味悪がって嫌がったんだろうね。まぁ、ラッキーっていったらラッキーかな。あの町から遠く離れた町の孤児院に入る事については不幸中の幸いだな。あの町にも孤児院は在るけど、そこには入りたくなかったし。)
「ここでは幻術を使えそうだし、良かった。」
ルピナスは幻術で髪と目を黒く染め、孤児院に入っていった。
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主人公の名前がルピナス·イベリスだと言う事実が7話目にして明かされたことについてもノーコメント
今回の話がいつもより短いことについてもノーコメント
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