神様の落下直前
BL············無いです····
「行ってきます。」
返事が返らぬままルピナスは家を出た。春休みが終わり、学校が始まってから1ヶ月。ルピナスは5時半に起きて、朝食の準備し、朝食を食べ6時半に家を出る。これを繰り返している。何ら変わらぬ日常。まだ、低い位置にある太陽も、鳥のなく声も、森から来る湿った風も全てが変わらない日常。
「どうしてこんなに変わらない。」
ルピナスは呟き、学校へと急ぐ。
香ばしくかおる朝食の香り、学校へいく子供達のはしゃいだ声、市場から聞こえるお客の呼び込みの声、通りには働きにいく人が歩いてる。いつもの穏やかで優しい街だ。
「ここも変わらない」
ルピナスは呟き、街のなかを歩き始めた。すると、賑やかだった街の様子が変わった。皆、ルピナスの事を見ている。見ている者の表情は不快なものを見たかのように歪んだ。ルピナスはこの中を歩き続ける。この街でルピナスは嫌われている。理由はひとつ。三色の髪と目を持つだけで街の人達から嫌われている。なんとも理不尽な理由だが街の人達にとってはそんなこと関係ない。不気味なものは不気味なのだ。人々のなかには近くにいる知らない子供をルピナスから少しでも遠ざけようと、自分の後ろに隠す者もいた。これもいつもと変わらぬ日常だ。
学校へついた、クラスメイトは変わらず話している。街よりかは良い方に見えるが、子供というのは大人より残酷なものだ。学校は大人よりも残酷な子供とその相手をしている大人が集まる所だ。子供は加減を知らない。故に一歩間違えれば心が壊れるようなことをしかねない。だから子供は残酷なのだ。今のところルピナスに心が壊れるようなことはされていない。だが、ルピナスの意見を聞かずに決められることが多い。例えば、男の子が休憩時間にヒーローごっこをやり始める。すると何故かいつも決まってルピナスが悪役を無理やり押し付けられるのだ。参加するといってないのにだ。そして、どつかれ蹴られた結果、勝手に倒したことにされるのだ。その間ルピナスはじっと耐え続ける。そして、教師はそれを見ていながら見てみぬふりをする。
(今日はバ○キ○マンか戦隊ものの悪の科学者かどれだろう。)
ルピナスが今日、自分がやることになるであろう役を予想していると、始業の音がなった。
「では、これでお知らせは終わりです。また明日も遅刻しないでに元気に来ましょう。さようなら。」
下校のチャイムとともに教室から一気に廊下へ子供たちが飛び出す。あっという間に廊下は混雑し、まるでおしくらまんじゅうのように子供たちが押し合っている。そんななかルピナスは教室の中からその光景を眺めていた。
(何故あんなに早く帰ろうとするのかな。少し待ってから帰れば良いのに。)
賑やかだった廊下は静になっていた。先生は二分ほど前に気まずそうに足早に教室を出ていった。ルピナスは廊下に出て下駄箱へと行く。
(静かになった学校は少し寂しい。)
そんなことを思っているとすぐに下駄箱についた。靴があるたなの前まで行くと棚のなかに手を入れた。が、その手が靴をつかむことはなかった。棚のなかにあるはずの靴がなかったのだ。代わりに、棚のなかにあったのは一枚のメモだった。メモを見るとそこには
『森にこい』
とだけ書いてあった。そう、これは靴を隠すといういじめの手段である。
(字が汚いし、何処の森か書いてない。)
ルピナスは面倒だと思いながら、書いてある場所へ向かった。
普通の人ならどこの森か迷うだろう。何故ならこの街には4つの森がある。東、西、南、北にそれぞれある。普通の人では迷ってしまうメモだがルピナスは迷わなかった。何故なら、4つある森のうち3つは熊や狼が出るので、子供には森に近づかないように言われてあるからだ。狼や熊が出る森に入れるほど8つの子供には勇気がない。とすれば、残った一つの森が指定された森だとわかる。この事がメモを読んだときルピナスの頭に浮かんだのだ。
(それにしても、何処の森か書いてないのはわざとなのかな?それとも企み?まぁ、いいや。)
そんなことを思いながら歩くと森についた。森からは冷たいけれど心地良い風が吹いてくる。木の葉が風に揺れる音も全てが心のやすらぎとなる。
「やっぱり、森は良いね。空気はきれいだし、静かだ。」
心がやすらいだ所で森へと足を進める。
「ここら辺かな。」
ルピナスは森の一番奥へと来ている。街の音は聞こえず、静かな空間が広がっている。
「遅かったな!」
ルピナスが一息ついていると何処からか声がした。
「こっちだ、こっち」
声のする方へ振り向くと一人の少年がルピナスの靴を誇らしげにかかげ立っていた。
「フッフッフ。怪物めお前はこのお肉大好きマンが倒してやる。」
少年はネーミングセンスのない名前を名乗った。ルピナスはこの少年を知っていた。いつもルピナスに無理やり悪役を押し付けてくる少年だ。顔は知っている。だが、いまいち少年の名前が思い浮かばない。いつもだれとも話していないので名前を覚えてないのだ。
「おい怪物、ただ倒すだけじゃ面白くないので俺の言うことを聞け!」
「別に聞いても良いけど靴返してよ。」
ルピナスは言うことを何でも聞くという点はどうでもよかった。それより靴を返してほしかった。何故なら前日に雨が降ったので森の土は水気があり、足が濡れているのだ。濡れた靴下が足へ張り付いてくる感じが気持ち悪くて仕方ないルピナスは靴を返してくれるなら何でも言うことを聞くつもりだった。
「早く靴を返してよ。」
「なんだその言い方は!返してくださいだろ!?」
少年はルピナスの態度にイラついたのか、近くに来て怒鳴った。ルピナスもその態度にイラついた。
「そっちが呼び出したのになんで敬語を使わなくちゃいけないの!?」
二人の喧嘩はエスカレートしていく。
「何だよお前!お前なんか死んじまえ!どうせお前が死んでも誰も傷つかないよ!」
そう少年は言うとルピナスを強く押した。行きなり押されて驚いたルピナスは後ろへよろけた。すると、ちょうどそこに落ちていた石に躓きバランスを崩したルピナスのすぐ後ろには建物の三階ほどの高さがある崖が待ち受けていた。バランスを崩していたルピナスは踏みとどまることができずにルピナスの軽いからだは宙に放り出された。
「あっ!」
「あ!」
ルピナスは手を伸ばしたが、その手は崖のはしも幸せもつかみとれず落ちていった。
今回もBLは書けませんでした。すいません。