神様と神様のご両親の不思議な日常
春のよく晴れた空のした、肉眼で見ることができる範囲にあるのは野原と森だけと、なんとも殺風景な砂利道を一人で歩くのは7才前後の顔立ちの整った少年だ。少年の容姿はとても奇妙なものだった。髪は全体的には銀色が思い浮かぶ色をしているが毛先の約5センチほどのところから下は青く、耳の上にある髪が黒くなっており、右目は上が青色で下が銀色。左目は金色に染まっている。3色の髪に3色の目、この2つだけでも幻想的だが、それをこえるほどに幻想的なのが少年の顔立ちだ。世の中で美女と呼ばれる者たちと並べて誰が一番きれい?ということで投票すると票が全て少年にいってしまうのではないかと思ってしまうほど少年の顔は美しく幻想的だった。
幻想的なこの少年の名はルピナスと言う。
ルピナスはただ無表情で歩き続けていた。学校は春休みに入ったのでない。
今は春休み3日目の約午前10時。ルピナスは午前9時に家を出てずっと歩き続けてる。ルピナスの家は街から歩きで約1時間半ほどのところにある。何故家がそんなところにあるかというと両親が研究者なのだ。研究には静かで自然に囲まれた所がいいと考えた両親は街から徒歩で1時間半のところに家を建てた。なんの研究をしているのかルピナスも知らないし知ろうとも思わなかった。そんなルピナスが今、目指している目的地は街から少し離れたところにある川だ。いくら春休みと言えど宿題は出る。学校に入学してから2年のルピナスの宿題は虫の観察だ。川に行って、やることは3つある。1つは宿題である虫の観察。2つ目は魚の観察。3つ目は植物の観察だ。1つ目のこと以外は全てルピナスの探求心からだ。ルピナスは疑問に思った事はすぐに知りたいという知識欲が強いのだ。そんなこんな川につき、観察をし、帰る頃には薄暗くなっていた。此処から家につくまでに暗くなって行くだろうがルピナスに迎えは来ない両親は家にいないわけではないが研究に没頭して夜だというのに気づかないだろう。それどころかルピナスが家にいないことにも気づかないだろう。なので、ルピナスは自力で帰るしかないのだ。真っ暗な夜道を············
真っ暗な闇の中、明かりが見え始めた。きっと、両親の研究室から漏れた光だろう。
やっと家に帰ると夕食は用意されていない。それもそのはず物心ついたときからご飯はいつもルピナスが全て作っているのだ。両親がご飯を作ってくれたことなど覚えてる限りでは一度もない。ルピナスの記憶は物心ついたころも覚えている。つまり、両親はルピナスが物心ついた頃から7つになるまで一度もご飯を作らなかった。最初のうちはお腹がすいて両親に「お腹すいた」と訴えにいった。すると、両親は「もうすぐ作るといった」だが、いつまでたっても作らず、我慢できなくなったルピナスが仕方なく自力で作り始める·········ではなく、両親に言った「お腹すいた」に返事は返ってこなかった。今もまだあの時、望んだ言葉は返ってきてない。そう、あの時ルピナスは無視されたのだ。無視されたのはこの一回きりだけではない。ルピナスがつまずいて転んだとき、まだ幼かったので泣いた。それはもう、狂った目覚まし時計のように泣き続けた。大声で泣いたので、両親は知っているはずだルピナスが泣いていることを。ルピナスも父と母が来てくれると信じていたが、ルピナスはそのまま放置状態だった。両親はルピナスがどんなに話しかけても全て無視で返した。
ルピナスは物心ついた頃から両親と話したことがない。お漏らししたときも熱を出したときも全て自力で乗り越えてきた。だが、話をしたことがないので両親の声を知らないと言うわけではない。父と母が話しているところを聞いたこともあるし、時々来る父の昔の仕事仲間と両親が話しているところも聞いていた。だから両親の声は知っている。
(明日は森で木の観察をしようかな。それとも、野原がいいだろうか·········よしっ!両方行こう。)
などと、考えながら作っていると、あっという間に夕食が出来た。この中には両親の分は入っていない訳ではない。きっちりと家族三人分作ってある。夕食をさらに盛り付け、両親の分は研究室のドアの横にあるミニテーブルに置く。ここにおいとくといつもきっかり午後11時にご飯は部屋の中に入れられ、きっかり1時間後の午後12時にからになった皿が部屋から出てくる。何故こんなに知っているかというと、気になったので観察したのだ。ちなみに、朝はきっかり午前8時に部屋に入れられきっかり午前9時に出てくる。昼は不明だ出掛けているので、いつも作らないのだ。
そんなこんなで夕食を一人で食べ終わり、風呂に入って寝る時間。
(また明日も頑張ろう。お休みなさい。)
意図せずほのぼの系もどきになってしまいましたが、これから神様の希望と絶望が入り交じる物語をしっかり書いて行きますのでご了承ください。