ジャン=ジャック・ペリーと引用と
金子みすゞは素晴らしい感性をもった詩人であるが、口語体で五七調の韻律を頑なに守り抜いたため、ときに調べが生硬な印象を受ける。もっとも彼女の詩を支える方法論はそれ以外になく、私の書くものも同様に、他作品の引用を支えとしている。引用という方法論において、どれだけ自分の心を飛翔させることができるか。愛聴するジャン=ジャック・ペリーの音楽を引き合いに考えてみた。
以前に私はこのサイトで
掲載されたエッセイに対する所感を
その日のうちに詩で述べたことがある
同じ日の晩
エッセイの作者からメッセージが届く
私は投稿した詩のなかで
金子みすゞの「大漁」の詩の一節を引用したのだけれど
エッセイの作者は詩作における他の詩の引用を認めないらしい
メッセージは次の言葉で結ばれていた
不快に思うわけではありませんが残念に思います
これはもう ほとんど不快に思うの謂
じっさいこういう感想はありがたい
自分の立ち位置がより明瞭になる
引用という表現の方法もあるにはある
著作権法の問題は別にして
メソッドとしてのもんだいは
それがいかに換骨奪胎されて
読み手の心を震わせられるか
ちなみに
私の書くものは短いものが多い
そして引用のないほうがアクセス数が少ない
私にとって短い作品の理想は
60年代後半から70年代前半にかけての
ジャン=ジャック・ペリーのシンセサイザー音楽
ジャン=ジャック・ペリーの名は知らなくても
その作品はみな一度は耳にしたことがあるはずだ
たとえばバロック・ホウダウン 共作ではあるけれど
そう ディズニーランドのエレクトリカルパレードの音楽
私が好きなのはクロノフォニー
そしてボーイズ・アンド・ガールズ La Panthère Cosmique
これぞまさに妖精や宇宙人が踊り出す音楽
不思議なものでシンセサイザーは
半世紀むかしのほうがいっとういい音がする
ペリーのインスピレーションも その後
たががはずれたように煌めきを失う
まだ好調の頃のペリーを支えにいくらか飛翔を試みたいが
音楽の詩への引用はむずかしい
私の好きなペリーの音楽
聴く者を一瞬にしておとぎの国へと連れ去ることのできる
華奢にして華麗な星のかずかず
ペリーはいまだ健在であるが高齢だ
そう遠くない日に旅立つかもしれない
彼がかつて40歳前後に
いちど足を踏み入れた不思議の世界に
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
もしペリーの音楽を聴いてみたいとお思いの方は、ぜひ一度、YouTubeで以下の曲を試聴してみてください。
あなたの素敵な人生が、さらにほんの少し、素敵なものとなるでしょう。
Jean-Jacques Perrey - Chronophonie(0:51)
Jean-Jacques Perrey - Boys and Girls(0:56)
Jean-Jacques Perrey - La Panthere Cosmique(2:46)