表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溺愛公爵のキュートアグレッション  作者: 猫塚ルイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/17

第2話

「えっ……でも…」


すがりつくような私の言葉を、彼は冷たい沈黙で遮った。


その表情は、まるで見たくないものを見せられているかのように歪んでいる。


彼は苦しそうに喉を鳴らすと、絞り出すような低い声でこう告げた。

「……心配するな。メリッサも、今夜は休んでくれ」


それ以上の対話を拒むように、踵を返してシュタルク様は重たい扉を閉めた。


金属質な音が廊下に反響し


一人残された広すぎるベッドの上で、私はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。


(どうしていつもこうなるんだろう…)

確かに今夜は大胆すぎたかもしれない。


それでも、少しでも触れたいと思ったのは本心だ。


互いをもっと知るために一歩踏み出した――ただそれだけなのに。


今のところ、キスだって


朝仕事へ行く前の形ばかりのキス。


夜、寝る前の義務的なキス。


それも、触れるか触れないかの、体温を感じさせないほど淡白なものだ。


私が勇気を出してそれ以上を望むたび、彼はいつも逃げるように、何かを抑えているように断る。


本当は…お仕事の忙しさだけが理由じゃないのかもしれない。


ただ単に、私に女としての魅力がないからじゃないのかと


鏡に映る、情けないほど赤らんだ自分自身の顔を見つめ、私はぎゅっと唇を噛みしめた。


こんなに愛しているのに。


こんなに、彼の一部になりたいと願っているのに。


私のひたむきな献身は、彼にとってただの「重荷」や「義務感」を煽るものでしかないのだろうか。


溢れ出しそうになる涙を必死に堪えながら、私は彼がいない冷え切ったシーツに潜り込んだ。


◆◇◆◇


翌朝。


食堂で向かい合うシュタルク様は、いつにも増して沈痛な面持ちだった。


夜更けまでの執務が祟っているのか、目の下には深い隈が刻まれている。


「昨日はすまなかった。あれから無事に眠れたか?」


思いがけず投げかけられた問いに、私は慌てて笑顔を作った。

「はい!ちゃんと休めましたよ。シュタルク様こそ大丈夫ですか?無理はなさらないでくたさいね」

「あぁ…問題ない。それより、今日は王宮で正式な晩餐会が行われる。メリッサも出席してくれるだろう?」

「えぇ、もちろんです。」

「……あと」

「はい?」

「昨夜のような格好は控えてくれ。今後、二人きりの夜でさえもだ」

「……っ」


それは予期せぬ宣告だった。


「わかり、ました」


声が震えるのを必死で隠しながら、なんとか返事を絞り出す。


彼の意思は固そうで、そこには一縷の隙もなさそうに思えた。


けれど、それが本心からの言葉なのか


もしかしたら、何か言いにくい事情を抱えているだけなのかもしれない――。


心の中で何度も自問しながら、私は朝食のスープを味のしないまま飲み干した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ