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消滅

サイレンがうるさい。

救急車と警察が家の前を通り過ぎて行くのを感じながら動画サイトの更新ボタンを押す。ただ時計の針が進んで行く。暇を持て余した大学生の日々。


「俺はそろぼち寝るわ」

チャットの向こう側にいる仲間たちにそう告げて風呂にも入らずに布団に入る。薄暗い部屋でいつものように眺めるSNSではいつもとは違うニュースが話題になっていた。

『奏川町のショッピングモールで謎の穴が発生。3名が死亡。7名が行方不明に。』

近所のショッピングモールだ。昼間の救急車は恐らくこの事件だったのだろう。ネット上で話題になっていた理由はすぐに分かった。

『5月27日16時ごろに奏川モールの3階付近で破裂音が鳴り響き、正方形の空間が不自然に切り抜かれたように消滅した。空間の境目にいた人は…』

想像するだけで背筋が凍るような事件、何より非現実的なこの事件は瞬く間に話題となった。


その3日後、このニュースは更に波紋を呼ぶ事になる。私が通う大学の正門に正方形の穴が空いた。被害者は大学に通う生徒3人。不可解な空間消滅事件が私の住むこの町で2度起こったのだ。


「え、はやと実家に帰るの?」

「そりゃあ流石に怖いだろ。あんな事件があったんだし。親も帰って来なって言ってくれてるから落ち着くまでは帰省するかな…あきは帰らんの?」

「俺はいいかな…」

原因が分かってないんじゃどこに行ったって変わらない。交通事故と同じだ。対策したって運が悪ければ死んでしまう。ただそれだけの話だ。母親からの心配のメッセージには適当な返信をして何もなかったようにいつもの生活に戻った。


バチン


強烈な破裂音が部屋に鳴り響く。

部屋が歪み視界が消えるまで人焦りや恐怖を感じる暇などなかった。







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