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【読者地図】なぜ、その物語は届かないのか。――読み手・書き手・物語の「エゴと生態」を解き明かす創作心理  作者: Taku
実践地図―第1弾―:観測者が最初の一行を書く日

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最終話「余白――まだ書かれていない一行」





円卓に、原稿が並んでいた。


誰かが書いたもの。


誰かが読んだもの。


誰かの問いから生まれたもの。


そして――


まだ、何も書かれていないものもあった。


雇い主が、原稿の束を眺めて言った。


「……足りないな」


博士が眼鏡を上げる。


「何が、ですか」


「完成が」


しばらく、誰も答えなかった。


カノジョが、原稿の一枚を手に取る。


そして、小さく笑った。


「完成しなくていいのよ」


雇い主が、彼女を見る。


「どうして?」


「余白があるから、次が書けるもの」


カノジョは、原稿を円卓に戻した。


「全部埋めてしまったら、もう誰も入れないでしょう?」


誰も、反対しなかった。


円卓の上には、たくさんの言葉がある。


問いも。


答えも。


記憶も。


誰かの残した熱も。


それでも――


まだ一枚、白紙が残っている。


誰のものでもない。


誰かが、次に書くための一枚。


円卓の中央で、白紙だけが静かに残っていた。


雇い主が、それを見て言った。


「……誰が書くんだろうな」


カノジョは答えなかった。


ただ、白紙を見つめていた。


その余白は、まだ空いている。


だから――


物語は、まだ終われない。



      ――完――


観測は続く。




本作品を持って、『読者地図』は観測者が表現者となり、一幕が閉じることとなります。

ご愛読ありがとうございました。

今後、拙作の連載はカクヨムに一本化してまいります。

続きはカクヨムにてご覧いただくことができます。


カクヨムの作品紹介ページ

https://kakuyomu.jp/users/TAKUHITOMIJUN/collections/2912051595558372676

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