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悪役令嬢ですが、断罪回避のため仲人はじめます  作者: 一ノ瀬ジェニファー


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8/12

攻略対象 エリック・ジェルベリオン

 せっかくこの世界で生きていけそうな希望の光、「仲人になる!」と決めた矢先、私はさっそくピンチに陥った。


 

 その前に、これ以上無駄に王子以外の攻略対象にエンカウントしないように攻略対象の人たちも覚えているかぎり整理していきたい。

 まずは、


 《第三王子 アルベルト殿下》

 悪役令嬢の婚約者。そしてこの世界の圧倒的ヒーロー。

 ゲームの世界ではヤンデレって感じだったが、今のところまだその兆しは無かった。このまま健やかに成長してほしい。……そして私との婚約はどうか穏便に破棄してほしい……。

 

《隣国の王子》

 ゲームの舞台である学園で留学に来ているという設定で来ていた隣の国の王子。この人はアルベルト殿下のライバル的な存在でもあり、第三王子で継承権はないアルベルト様に対してこの王子は隣国の第一王子だが女性関係にだらしなく去る者は追わず来る者は拒まず。何事も適当にこなしてもそこそこ出来てしまう故にそんなつまらない日常にうんざりしていた。そしてゲームの主人公に初めて本気になるという設定だった。

 この人はまぁ……学園に行くことさえを回避できれば出会うことはないだろう。


《執事系男子》

 ゲームでは主人公のお世話係として淑女のマナーや勉強は手取り足取り教えてくれる人。たしか、どこか有名なお屋敷で執事として幼いころから働いていたが、そこで仕えていた人の横暴さに嫌気がさして学園の『淑女養成プログラム』なるゲームの都合のいい設定で『入学する庶民のお世話係』として入学が許可されヒロインのお世話をしてくれるキャラだ。

 品もある敬語キャラでルーファスの次に好きだった。会いたい気持ちはあるが、たしかゲームではリディアの事をボロクソ言っていた気がするので、会わないほうがいいだろう……。

 もしエンカウントしても、君には素晴らしいお嫁さんを紹介してあげるからね!

 

 《美形ハーフマーメイド》

 この人に関しては『とんでもないナルシスト』ということしか覚えてない……すまん……。

 二次創作ではそこそこ人気だったが、面白い人になってしまってたし……。

 このキャラがゲーム内で言った『ビューティフルオブリージュ』という台詞は二次創作でも死ぬほどこすられている。

 一昔前なら絶対に『ビューティフルオブリージュ』というタイトルのキャラソンが出ていたに違いない。

 

 ◇ ◇


 と、まぁ整理してみると、学園にさえ行かなければこれなんとかなりそうなじゃない?……と思うが、油断大敵なのがこの男……!!

 

「はじめまして。未来の姫君」

「は、はじめまして、ごきげんよう……」

「王立第一騎士団所属のエリック・ジェルベリオンと申します。お会いできて光栄です」

「こちらこそ、殿下の親友にお会いできるなんて光栄ですわ……」


 攻略対象―《護衛騎士》

 この人は王子の護衛騎士。王子の幼馴染でもある。王子に忠誠を誓ってはいるが幼馴染ゆえに王子にも笑顔で辛辣なことを言うキャラだった。

「アルベルト殿下ったらまたそんな辛気臭い顔して! 第三王子が嫌だっていうなら兄弟を暗殺しちゃえばいいんじゃないです? 俺、手伝いますよ!」

 とか爽やかな笑顔で言ってたし、主人公にも

「珍しい魔法が使えるってだけで学校に入学できていいね! 俺なんて王子とたまたま同い年で剣の腕が誰よりも強かったから入学できたのに!」

 と、言っていた爽やかな腹黒毒舌キャラだった。

 ……今は私と同じく子供だろうから、ちびっ子腹黒騎士にこれからどんなこと言われるんだろう……今から胃が痛い……。

 

 

 昼下がりの陽光が、広大な庭園を柔らかく照らす。

 バラとラベンダーが整然と植えられたラクロワ家自慢の花壇のあいだからは、ふわりと甘やかな香りが立ちのぼり、微風に乗ってそっとテーブルクロスを揺らしている。白亜の噴水は庭の中央に据えられ、煌めく水音が静かな時間の背景を彩ってる。しゅわ、と音を立てて水が宙へ舞い上がるたび、光がそれに反射して七色の小さな虹がかすかに生まれる。

 

 テラスから続く石畳の小道の先、藤棚の下に用意された小さな円卓には、ティーセットと焼き菓子が並んでいる。

 ここに居るのは、私、アルベルト殿下、そして今日が初対面のエリック・ジェルベリオン。

 全員七歳の子供なので、この美しいティーパーティーも傍から見ればおままごとのようなのだろうな……と思いながらも私は二人に紅茶を注ぐ。せめてこのエリックにだけは舐められないように、この世界に来てからとうもの毎日のように受けている淑女教育の賜物を見せつけるようにレディの風格を漂わせているつもりだ。

 

「紅茶を自分でいれられるなんて意外だな」

「そうですか……? まぁ使用人がいれたものもおいしいですが……」


 王子の言葉にハッとする。そうかお嬢様は自分で紅茶淹れないのか!

 今までここではいろんな美味しい紅茶が無料で飲めると分かってからというもの、厨房の人に行って茶葉を貰って勝手に淹れてたから気づかなかった!

 だって社会人は貰い物のティーパックの紅茶を会社のウォーターサーバーのお湯で飲むことくらいしかしてこなかったから、美味しいのがいっぱい飲めて嬉しかったし……!


「殿下、まずは僕が毒見を」

「……お口に合えばよろしいのですが」


 やっぱり原作通りこの護衛騎士、失礼すぎるだろ!

 毒見って、全然信用されてないじゃん!


 エリックが私が淹れたお茶をまずはじっくりと凝視し、匂いをクンクンと嗅ぎ、私の顔を見る。


「これは何のお茶ですか?」

「ラベンダーティーです……」


 そんな変な匂いしたかな!? ラベンダーってちょっと癖あるし、男子は飲まないかもしれないけど!


 私は二人に見せつけるようにティーカップを手に取り、口に運ぶ。

 うん、普通の紅茶だ!

 エリックも私がお茶を飲みこむのを見てからカップに口をつけ小さい声で

「……おいしい……」

 とつぶやいた。


 アルベルト様もその様子をみてカップに口を運び、

「……うまいじゃないか! 悪くない!」

 と、ご満悦の様子にホッとする。

 

「香りが強いので味の想像ができませんでしたが、美味しいですね。リディア嬢がご自身でお茶を淹れることにも驚きました。アル……いえ、アルベルト殿下に聞いていた情報ですと何もできない方かと思っていたので」

「お紅茶、ちゃんと蒸らした時間を測って淹れてますから……ラベンダーティーは長く置きすぎると苦くなってしまいますので……。それに私もここ最近は色々ありましたので……。アルベルト様はなぜエリック様を私にご紹介に?」


 貴方の護衛騎士、めっちゃ失礼なんですけど? という視線と意味をこめて王子を見ると、なんともほっこりしたお顔で紅茶を堪能している王子が目に入る。


「あぁそうだ、このあいだ僕に『好みのタイプ』を聞いただろう? 僕は正直、自分の好みが分からないのだ……だから親友のエリックの方が僕より僕の事にくわしいと思って連れてきた。何でも聞くがよい」

 

 まさか「好みのタイプ」の答えを、親友を証人として連れてくることで返してくるとは――。

 さすが王子殿下、幼いながらも一国の第三王子。軽々しく自らの好みを語ることの影響力を、幼心にも理解していて尚且つ公人としての立場をわきまえているというか、抜け目がないというか。

 そして何より、わざわざこの毒舌腹黒そうな騎士殿を連れてきたのは……私に『王子の人となりを語らせる』ためではなく、『私がどんな人間なのかを見極めさせる』ためでもあるのだろうな……。

 私がこの子にふさわしい人間かどうかを。


 ならば受けてたとう。これはいわば『一次面接』。

 そちらが私を面接する気というなら、私も悪役令嬢リディア・ラクロワとして、逆に王子と腹黒騎士を面接してやろうじゃないか!

 



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