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やたがら

これは、ある孤島の島々に住むカラスの物語である。

そして、ある彼氏彼女の人間たちの物語でもあった。



――――

IQの高い動物の順番にすると、ある学者はこういう順番を作った。

1番は人間。

2番は猿。

3番は犬と・・・。


まあ、ここまでは、ある程度の知識や想像で分かるだろうが、しかしこの次の4番目と来たら

何が来るかは想像しがたいと思われる。


猫やライオン、トラ、像、馬・・・。様々な哺乳類、肉食、草食などが頭がいいと人間の知能は勝手に植え付けてしまっている。


だがしかし、次に来る動物は鳥類でありしかも身近にいる動物でもあった。


それは、不幸な鳥として扱われるカラスだ。


カラスは実に頭のいい動物だ。


鍵をつけられたゲージも

人間のやっている仕方を3回も見れば

簡単に開けきれるようになる。



カカシが畑に立っていても石を投げてそのカカシが危険かどうかを調べて畑を漁ることも出来る。食べる物が固けりゃ高い上空から落としてその身を食べる。



まさしく、人間並の知能だ。


実際にカラスは言語を持っており仲間のカラスと会話することさえできる。



もう、カラスは人間に近い存在だ。




そんなカラスが見守る

ある青年と少女。


ヤタという名のカラスが居た。ヤタは他のカラスとは違い人間が好きだ。

人間そのものの行動に興味を持っている。


そんなためなのだろうか。ヤタは生れつき羽が白く

白鳥みたいな鳥に見えた。


だからか、他のカラスと仲が悪く、人間でいう、いじめなんていう物は日常茶飯事だった。



そして、ヤタは決意する。

こんな島に居ては

オレはずっと、ちっぽけな存在のままになる。


立派な黒いカラスに

変わりたいんだ。


代々伝わる八多烏の

ある書物がある。


それは、人間とカラスの交流についてのレポート、いわゆる報告書だった。


こんな落ちこぼれの存在である白カラスが

立派な黒カラスになれる方法が偶然にも書いてあった。


ヤタは急いで

島が小さくなるまで上空高く飛び上がる。


突風に煽られる。

風が通りぬけ吹き飛ばされそうだ。

風は強くけたたましい。


海は広く限りない青空だ。

さあ羽ばたこう。


この先にある噂の孤島へ。

その噂の孤島は白カラスから黒カラスにならす事の出来る者がいると書かれていた。


風が吹き

体が物凄い勢いで前進した。

まるで風だけで体が飛んでいるかのような感じだ。







――――最近、夢の中でよく正夢を見るんだ。


それは、とてもリアルな世界で


正夢で見た出来事は必ず当たるんだ。


正夢は未来予知のかのように

ある出来事の前に必ず起こる。それは決まって嫌な過去を思いだしながら眠る時に見てしまうんだ。


正夢だと分かりながら見ていても

そのリアルな夢世界では自分が勝手に動くんだ。


そして

必ず夢じゃないリアルの世界で自分の想いとは裏腹に時が進むんだ。さて、今日も正夢を見るのか。

今日もオレは過去にも縛られながら夜、自分だけがいる個室の中で眠る。


ああ、くそ


過去がオレを蝕みやがる。

必ず決まって一人で眠る時は嫌な過去を思いだしながら眠ってしまう。


そんな正夢でも一つだけ見ない事が出来る方法があった。


アキと一緒に眠ることだ。


アキはオレの彼女で

身長はオレの目線で頭のてっぺんが調度見える所にあり

髪は長く

いつもポニーテールをしていて肩にかかるぐらいまで長い。

目は大きく、つい見取れてしまいそうな

綺麗な目をしている。

顔はどちらかというと綺麗じゃなく可愛いという表現がピッタシの顔だ。

体は太いとも言えないし細いとも言えない何とも微妙で普通と言ったら分かりやすいと思う。


付き合いだしたきっかけはなく、アキの方からいきなり



告られた。


自分でもびっくりした。まさか、こんな可愛い子がオレの事を好いてくれるなんて。




「私と付き合って下さい」

何て純情で素直な子なんだと思った。

告られる前とか全然意識してなかったし

名前ですら知らなかったのに

告られた途端イメージが変わった。


ベタな例えなら

心臓にピストルで撃たれたような電撃が走った。

って言えばいいのだろうか。

その一言はピストル並の殺傷力な訳で

オレはアキを好きになった。


ただ単に惚れやすいのか

よく分かんないけど。


その一言は今になっても忘れずにはいられなかった。

簡単のようで難しい言葉。

思うのは簡単だけど

いざ言うと

とても緊張することだろう。




それから付き合い始めて

しばらくするとお互いだんだんと身を近ずいていった。




するとなぜか

あの嫌な過去を見なくてすむようになった。


アキと一緒にいるだけで思いださなくなって

毎日のように一緒なったが

やはり一緒になれない日もあり

その時にも嫌な夢を見てしまった。


いくらアキの事を思いだしながら眠っても

その

嫌な過去を思いだしてしまう。

まるで深く根をはってるかのように。

そして

あの未来予知の100%中100%当たる夢を見てしまう。

そして、オレは夢の中に落ちた。



――――道路・・・?

ここは、横坂の道路・・・なのか?ハチ公をパクった、名もない銅像に駅。

ベンチにオープンカフェ。都会のような田舎町。

人はあまり通らないのに謎のスクランブル交差点。


15キロ先にある、もうひとつの駅にいけば無人駅がある。

券売機もなければ人もいない。

その駅の周り田んぼばかりが並んでいる。空遠くから見れば、それは草原にさえ見えるぐらいだろう。


現実にある世界


・・・だ。


だがこれは






夢・・・だな。


わかる。


何度も見てきたんだ。

五感がおかしく意識をはっきりとする事ができない。

そして、ある出来事はオレが意識する事なく

時が進むんだ。


アキが目の前からやってくる。そして、オレの所まで近よって笑顔を見せる。


アキの笑顔は反則だ。

あまりの可愛いさに何でも許したくなるような。そんな感じだ。


「ねえ、待った〜?」


「ああ、待ったよ」


勝手に返事をする、オレ。ただ、頭の中に浮かんで

言葉にしていた。


アキは意味ありげな表情をしたあと笑顔で


「じゃあ、行こっか」


「どこに?」


今度はオレの思い通りの言葉が口に出た。


「ふふっ・・・。着いてからの楽しみだよ」


「はは、そりゃ楽しみだな」


「うんっ」


アキの元気な返事が聞こえた。


自分の思い通りに動かないのは何とも気持ち悪い気分。


体がふわふわと浮いている気分だ。

歩くのにも歩いているのか

いないのか不思議な感じだ。



そして腕を組みながら駅に着く。

街の名前通りの横坂駅。

都会にある駅のようにマネた駅だが、やはり中途半端さが抜けきってはいないようだ。4つの階段に上りしかないエスカレーター。

人はそれほど多く乗らないのに余っているベンチ。


さて、この駅から一体どこに行くのだろう?


「なあアキ、どこに行くんだ?」


「ちょっとした田舎に・・・ね」


訳も分からず電車に乗った。

車内は誰もおらず

窓から見える景色はどこか見た事がある風景だった。

駅に着くなりと

周りは田舎としか言いようがない物のなさだった。

第一の印象がそれだ。

周りは田んぼという名の草原。

稲がうじゃうじゃある。

そして、この駅自慢の観光名所がある。

看板に写真と添え書きにこう書いてあった。


『肥前山』


まさか、と思うが登る訳ないよな?



「どうしたの?東間とうま


アキが心配そうに聞いてくる。


「いや、なんとなく嫌な予感がするのはオレだけか?」


「うん、そうかもね」本当に鋭いな。もう、オレ達話さなくてもテレパシーだけで会話できるんじゃ?

「さて、登っか?」


予感的中。いい親子になれそうだ。




――――階段を登ると、古臭い小寺に一つだけあるベンチに円い舗装された砂のグランド。

山は高く街を見渡せる絶景の景色だ。人はあまりいない。

白い建物ばかり目立つ。

綺麗な景色だ。

ったけど、運動不足による疲労でそれどころじゃなかった。




「き、きつい」


「なせけないなー」


それなのにアキは全然きつそうじゃなかった。

むしろ余裕があり、まだ登れるという体力の有り余りさ。

さすがに2年も運動してないときついな。

もと野球部だったとしてもアキは毎日走り込みをやっていているから体力にも差が出来る訳で。アキは背中を後に向けて景色が見える所までスキップで行く。


「いい景色だねぇー」


アキの甲高い声が聞こえる。


「トウマも来たら?」


「ああ、そうだな」


一人ベンチに座る。


そしたらアキがこちらを向いた。

真昼間の太陽がアキと重なり


より一層に




可愛いく見えた。


「ねえ、トウマ。もしさぁ私が後、1ヶ月しかいきられなかったらどうする?」


「なんだ、結婚詐欺みたいなこと言って?」アキは振り返って

手をうしろに組んで

こう言った。


「嘘じゃないよ」


アキの目が涙目になっている。


「私ね・・・。明日には死ぬかもしれないの・・。」







――――夢はそこで途切れた。

・・・体中が汗だくだくになり、頭の中がパニックっていた。


なんだよ、今の夢?

本当?

嘘?

正夢じゃないよな?

アキは何て言ったんだ。


「あと、一ヶ月しか生きられなかったらどうする?」



「私ね。明日は死ぬかもしれないの」


・・・否定したかった。

そんなこと思い当たる事がないって言いたかった。



けど、確かにアキは一週間前から具合が悪かったのを知っている。アキは必死に隠していたつもりだったけど

何年も付き合えば具合が悪いことぐらいは分かった。

ただの風邪だろうと思い逃げていたけど

やはり、そんなに現実は甘くないようだ。嘘だとおもいたかった。だけど、やっぱり正夢にオレは勝てる気がしない。


現実の常識というものを遥かに凌駕し


常識というものを壊している。


今まで得た知識じゃどうすることも出来ない。


諦めるしかないのか?


・・・嫌だ。

それだけは嫌だ。


唯一、愛しい人を諦めろと?

そんな馬鹿な。

オレにはそんな選択はない。

なら選択は、ひとつだ。


正夢に打ち勝つのみ。


今日、初めての心みだった。



正夢にはいくつか現実とすれ違う事が起きた事がある。

それは、正夢となる結果はある程度ずらす事が出来る。


ただ、結果は変わらない。

思っていること、言っていること、やっていること

その行動は小さいものだけど変えることは出来た。



だけど、今回は違う。

そんな小さい行動じゃダメだ。


しかも、明らかに今回の正夢のケースが違う。


「あと、一ヶ月しか生きられない」


どうやったらいいんだ?

――――もしかしたら、正夢じゃないかも知れない。

そんな考えが過ぎった。


何度も考えていく中、オレの頭はそんな諦めたかのような答えの考えにいきついていた。




―――時間だけが刻々と過ぎる。

今日は土曜日なので学校は休みだ。

だからか、体が動かない。

まあ、そんなことではないのだろうけど。

とりあえず、部屋から出ようとした。

しかし、パリーンと

ガラスが割れる音。一体、何事かと思うと目の前にある窓ガラスが割れていた。破片が中に入って散らばる。



すると、そこで

ガラスの破片と一緒に部屋の床に何か動く物があった。


真っ白な鳥だ。白鳥なのか?

その白い鳥はカアーというカラスみたいな鳴き声で悶絶している。


「いてぇ」


太く枯れたそんな声が聞こえた。


「なあ、おまえか?運命を司る者っていうのは」


「はあ!?」


訳も分からず条件反射で声がでた。

どこからか、また太く枯れた声が聞こえた。

まさか、と思うが・・・。

「なあ、聞いてるのか?」目が合ってしまう。

やはり、この白い鳥が喋っているのか。

だが不思議と驚きはしなかった。むしろ、今ここで会って当たり前と思ってしまうほどの境遇だった。



「白鳥が喋っていやがる」


「ちがーう。オレはカラスだ」


風が舞い部屋の中の置物が床に落ちていく。

白鳥は床に倒れていたのにオレの目線のとこまでに羽ばたき保っている。



「おまえ・・・」


言葉に詰まり声にならなかった。

なんだ、これは。正夢なのか?

白鳥が喋っている。

インコにしてはデカイし

何と言うか、よく見たら白鳥に見えないし。


「いいか、おまえ。オレはカラス。そして、地位高き目指し者であり知りうえ勝る者だ」



「シリウエマサルモノ?」


口が開いてしまう。


「何だ。おまえ人間なのに知らないのか?」


「ああ、だいたい何でカラスが喋っているんだ?」


さっきから気になる1番の疑問。


「知らないのか。・・・時代の流れっていうのは恐ろしいものだな」


「いいか。オレは人間と友に過ごしてきた八多烏の一族のヤタだ。代々、人間に仕え知識を分け与えた。人間からカラスへ。時にはカラスから人間へと。だから人の言葉を喋れる」


「へぇー、そうなんだ」


あまりにも訳の分からない事を言ってるの納得した返事をした。

まるで初めから知っているかのように。


白鳥はキョトンとした顔をしている。



「なあ、おまえ驚かないのか?普通だったら

「うわぁー」

っとか言うのに」


「まあ普通を知らないから」


「そっかあ、それなら速い。単刀直入に言う。オレを黒いカラスにしてくれ。報酬はおまえの願い事ひとつだ」


白鳥は陽気に喋る。

そして、オレは開いた口が塞がらない。


「訳わかんねぇ」


あまりにも、おかしな事を言うカラスに返した返事がコレだった。


――――

それから色々と話を聞いた。この白鳥の名前はヤタと言う。

白い鳥だと、みんなから虐められるし地位の高い所(人間で言う社長課長みたいなもの)にいけないので、はるばると白カラスから黒カラスになるためオレの所に来たと言う。


「別に白カラスでもいいんじゃないのか?」


「白だとモテないんだよ。みんなからは馬鹿にされるし」


初めて来た時の威勢とは違いヤタは落ち込んでいた。

カラスにも人間みたいな社会になっているのか。

大変だな。


「で、どうやったら白カラスから黒カラスになるんだ?」


色々と話を聞いたが、これだけは聞いてなかった。ヤタは目を見開いてまるでそんな事も知らないのみたいな目で見ていた。



「それは、おまえが知っているはずだが・・・」


「えっ・・・」


沈黙が流れる。


「何だソレ?知らないぞ」

「オイオイ、おまえが知らないならオレも知らないぞ」


「そんなオレだって知らないぞ。だいたい、何でヤタはオレの所に来たんだ?」

分からないならオレに会ってもどうしようもないだろ。


「?」


まるで?マークの吹き出しが出てくるかのような顔だ。


「何でって、おまえが呼んだんだ」


「はっ?」

・・・そんなはずはない。と頭で分かってはいるが何故だろう。頭のどこかでは呼んだような気がしていた。


「・・・・・」


しばらく考えたが、まったくそんな気がしなかったので割り切った。

がヤタが先に口走しった。


「おまえが運命を変えたいと願ったからオレが来たんだ。」

「なんだソレ」なんだか拍子がぬけてしまい苦笑いをした。


「はぁー、なんだソレ・・・か」


ヤタがため息をつきオレと同じ事を口走る。


「おまえは知らないのか。この世の原理を?」


ヤタが突然変な事をいい始めた。


「この世は運命という路線で出来てありその出来事に至るまでの事を過程という。ここまでは分かるか?」


「あ、ああ実際に体験しているし」


ヤタが言う事にびっくりした。まさか、自分と同じ考えを言うのがいるとは。

それが、人間だろうがカラスだろうが妙な親近感を覚えた。


「おまえは昔から代々に伝わる運命を司る者の一族なんだ。だから、おまえの先祖さんがオレのために何かあった時は子である者に聞けといったんだ。分かったか?」


「まあ、なんとなく」


曖昧な返事をした。


「まあ、すまん。オレの言い方が悪かった。でも、何でだろうな・・・なぜなんだ?」


ヤタは意味深の言葉を残す。一体何だろうな。オレの好奇心がうずく。


「・・・何が?」

「おまえ、もしかして運命の霹靂を見れないのか?」

・・・また、訳の分からない言葉が出てきた。


「なんだ、その運命の霹靂へきれきっていうのは?」


「さっきオレが言った運命の路線の事を運命の霹靂っていうんだ」

――――まあ、つまり運命の霹靂っていうのは

何故、その出来事になるのか?までの道のりの事らしい

オレは代々伝わる運命を司る一族で、それを読む事で人々の不幸を裂けていたらしい。

・・・だが、運命の大半は変えられない。運命というのは予め決められているのだ。

ただ、その人がどう思うか思わないかの違い。


そして、運命を無理矢理オレ達一族の力で変えられる事も出来るが、それはタブーらしい。


変えれば必ず運命は

それ相応の罰が下る。

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