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第4話 不運ちゃんと1年2組。

ぢゅらおです。

冬休み効果で睡眠時間が12時間を超えるようになってきました。もうすぐパンダと並びます。

森成もりなりくん森成くん」

「どうしました?」

「ここで1つ問題です」

「?」

「私たちが今受けている授業の教科はなんでしょうか?」

神見しんみさん...それは問題ではなく疑問ですよ」

「・・・」


朝の時間での必死の作業によって、女子達は全員宿題を写し終わったらしい。もちろんそこに含まれない者たちがどうなったか、教室の前を見てみよう。


「お前ら初回から宿題をやってこないとはいい度胸だな? あ?」

「「「すいませんでした・・・」」」

「初回だから許されると思ったか? 確かに他の先生なら許してくれたかもな。だが俺は許さんぞ」

「けど先生ちょっと待ってください」

「あ?」


この空気でなぜ今井いまいくんは先生に話しかけることができるのか本当に分からない。・・・いや、これが僕に足らないコミュ力ってものなのかな?


「先生...宿題って本当にやるべきものなのでしょうか?」

「当たり前だバカか。廊下に立っとけ」


うぅ...と俯いて廊下に出る今井くん。それに今井くんの行動力はコミュ力ではなく先生の言った通りバカなだけだった。


・・・未だに廊下に立たせるという文化ってまだ残ってたんだ...


「全く...女子は全員やってきとるというのに」

「・・・」


前にいる男子達が一瞬、座っている女子達に対して睨みを向けていたのは気付かなかったフリをしよう。僕だって男子だ。


しかしクラスの女子達は見て見ぬふりは出来ないはずなのだが、それぞれ爪をいじったり、髪をいじったりと意識を前に向けないようにしている。


「森成くん森成くん」

「あ・・・またですか。どうしました?」

「森成くんって男子ですよね?」


えぇ...神見さんもそれ言い始めますか...?


「れっきとした男子なんですけど、あの僕からも質問いいですか」

「はい? なんでしょう!」

「男子って宿題をしてこないべきなんですかね?」

「それは違います! 森成くんが宿題するのはおかしいことではないですし、助かります!」

「・・・助かります?」

「あ! いや、その...なんでもないです──────」


神見さんが悪そうに顔を逸らしたのを見て、僕も少し意地悪をしたくなった。


「じゃあ僕も宿題をしてくるのやめようと思います」

「じゃあ私は次は誰に頼ればいいんですか!」

「嘘ですよ。その時はまた僕に素直に頼ってください」

「! 図りましたね!?」

「神見さんが素直に言ってくれないからですよ」


隣同士で座ってる僕らは大きな声を出さなくても喋ることが出来るのでずっとボソボソボイスで喋っていたのだが、教室という場所はそういう声が逆に聞こえやすいことがある。


「おいそこ! なに喋ってるんだ!」


前にいた怖い先生が僕らの方を指さして声を荒上げている。


僕と神見さんは互いに見合ったが、神見さんは体全体が固くなっていた。ちなみに僕だって怖くない訳じゃない。ただ自分より怖がっている人を見ると自分の怖さが引いていったのだ。


僕はその場にスタッと立ち上がると先生のことをビシッと指を指した。


「すいませんでしたっ!」

「人のことを指さすな。あとなんでカッコつけて謝ってるんだ? とりあえずお前も廊下な」


そうして僕は今すぐ記憶を消したいくらいの恥ずかしさを感じながら廊下へと出た。


出る時に教室からは「森成...お前何してるんだよっ」「森成くん...今井に憧れちゃダメだからね?」と結構図星のツッコミも入れられたり・・・泣きたい。数秒前の僕よ、立ち止まってくれ。


「お...! 森成、お前も来たのか偶然だなぁ」

「いや今井くん。必然だよ...」

「なんだなんだ? お前と俺は永遠の友ってか? 照れるなぁおい」


今井くんは僕の肩に手を回して、ニコニコと楽しそうにしている。僕は廊下に立たされるという経験自体が初めてで恥ずかしさがまだ消えない。


「ところで森成はなんで廊下に出されたんだ?」

「・・・先生のことを指差して──────」

「指差しでバカにしたのか!?」

「謝ったんだよ」

「・・・え? どういうこと?」

「神見さんと話してたら盛り上がっちゃって」

「・・・ぐふ」

「えきっも」


隣で肩組んでる男子が急にオタクっぽい笑い声を出したのだ。反射的に汚い言葉が出てしまっても仕方ない。僕、悪くない。


「森成って喋り方であれだけど、素が出るの面白いよな」

「怒った...?」

「怒るってなんだよ! カンカンだよ!」

「怒ってるじゃん!」

「うっそでーーすっ! 怒ってません〜」


「バカだなぁー」と言いつつ僕のおでこにデコピンを1発当てる今井くん。一体バカはどっちだよと言おうと思ったけど、僕も廊下に立たされているので渋々喉の奥にしまった。


「てかさ、森成。俺らもう親友だよな?」

「親友?」

「だって昨日初めて会ったけどさ、俺らもうこうやって2人で同じことして楽しんでるんだぜ?」

「いや楽しんではないけどね?」

「・・・それで親友じゃないって道理は逆にどこにあるんだよ!」

「親友ってそんな軽いものなのかな・・・」

「軽くないだろ? 俺こう見えても友達作り結構慎重だぞ?」

「いやどこがだよっ」


顔に似合わないどころかキャラに似合わない言葉に僕は無意識に今井くんの背中を叩いてしまう。


「・・・今叩いたのが、親友の儀式ってことで」


ニヤリと怪しい笑みを浮かべる今井くん。


「儀式って?」

「朝、森成の背中叩いたじゃん? で今森成が俺の背中叩いたじゃん? 親友じゃん?」

「バカなの?」

「それ天才って褒めてるのか?」

「うわっ...バカと天才は紙一重って言葉ここまで信じてるやつ初めて見たよ僕...」

「よっしゃおっけーてことだな? よろしく! 森成・・・じゃなくて防人さきと!」

「はぁ...別に僕はいいって言ってないけどな? 瑚白こはく──────」

「・・・! 照れ屋〜このこのぉ〜」


肘でクイクイ押してくる瑚白に対抗して僕も肘でクイクイと押し返す。


僕はまだ認めてないけど親友、最低でも友達と過ごす最初の時間だ。入学式の時はどうなるかと思っていたけど、今はそれなりに楽しい。こうやって怒られて廊下に出されてる最中なのに、大声で笑い合えるくらいには・・・


「今井、森成...お前らまじで反省してないな?」


僕と瑚白は互いの頬にお互いの肘が付いた状態のまま声の源に振り向いた。これにはさすがの瑚白も顔が引きっていた。言うまでもないが、僕もである。


「かぁぁっつっ──────!!」

「「ぎゃあああっ!」」


そして廊下には恐怖に怯える情けない叫びがどこまでも響いたとさ・・・


※※※※※※※


「むむっ! 森成くんが私と喋っている時よりも楽しくしてますっ...これは私の計画も急いで進めなければなりませんね...」


僕らが喝を入れられる少し前、教室では神見さんがスクールバッグから取り出したメガネをかけて、クイクイっと動かし、邪悪な笑み(笑)を浮かべていた。


その姿を見かけた女子達はあるものは見惚れ、またあるものは静かにスマホのシャッターを押し、静かに神見天照をクラスのマスコットにしよう計画が進むのであった・・・





ぢゅらおです。

まだあまり出てきてませんが、名前から想像できる通りこのお話は運というものが絡んでくるのですが、僕は運勢がすごく悪いです。なんて言ったって凶を3回連続で引きました。もし京都に行って3個連続で並ぶ凶のおみくじが結んであるのを見つけたならそれは高確率で僕が引いたものです。ぜひ見つけてみてください。

では次の話で会いましょう!

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