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第2話 不運ちゃんと友達。

ぢゅらおです。

クリスマスイブですね。

予定は特にないです。

「4月なのに寒すぎでしょ...」

「ブルブル震えてブルドッグになりそうだぜまったく...」

「余計寒くなったわぁ──────」


入学式のために体育館の外で整列していた1年生。クラスメイトが寒い冗談を言うのもわかるくらいの季節外れの寒波に僕らは身を震わせていた。


僕と彼女は1年生の中で1番後ろに並んでいた。


あ、そういえば...


「あのさ」

「はくちょん! 寒すぎですよぉ──────あ、森成もりなりくんどうしましたか?」

「え? 今のくしゃみ?」

「くしゃみですが...何かおかしかったですか?」

「あ、いやなんかその──────」


「可愛らしい」と言おうとしたが、会ってまだ間もない人に言うのはどうかと思い、言い留まった。


そんな言葉に詰まっている僕の様子を見て彼女はハッと鼻を手で覆い隠し・・・


「鼻水垂れてましたか!?」

「垂れてないです!」


真に迫る言い方に思わず僕も同じような言い方で返す。


「じゃあ何が垂れてたって言うんですか!?」

「そもそも垂れてたなんて言ってないですよね?」

「あれ? そうでしたっけ・・・?」

「そうです」

「ありゃりゃ、私の早とちりですか...」


てへっと謝る彼女。僕はそれに「怒ってすらないですよ...」とため息を吐くように伝える。


「じゃあ森成くんは何用で私に?」

「あ、いやそのですね」


僕の中で聞きたいと思っていたのにずっと後回しになっていたこと。


「名前...なんですか?」

「・・・? 私のペットのですか?」

「・・・なんでペットの名前を今聞くんですか」

「聞きたそうな顔していたので...」

「どんな顔ですか」


僕らは見合ってそして、くすくすと笑う。


「嘘ですよ。私の名前ですよね」

「そうです...」

「ふふふ。私、森成くんの名前聞いただけで自分の名前言ってませんでしたね」

「気付いてたなら言ってくださいよ」

「どこの誰かさんは言ってくれなかったのにですか?」

「・・・ごもっともです。すいませんでした」


核心を突かれた僕は返す言葉もなくただ素直に謝る。


「本当に森成くんは面白いです」

「褒めてます...?」

「マイナスな事ではないでしょう?」

「そうですけどね...」

「ではでは。改めまして──────」


彼女は僕に向かい丁寧なお辞儀をする。僕も彼女につられ腰が低くなる。


神見天照しんみひかりです。よろしくお願いします」

「あ、森成防人もりなりさきとです...」

「知ってますよっ」

「ですよね」


すると体育館の中から、「新入生、入場」とどしっとした声が響いてきた。


僕と神見さんは少しずつ前に進む列に合わせながら、お互いの自己紹介をする。


「出身は?」

「僕は東京の方からですね...」

「へぇ...私と似ていますね」

「そりゃあ僕と同じバス停使ってたですしね」

「私あそこまで電車ですよ?」

「えぇ!? じゃあ僕より遠いじゃないですか!」

「じゃあバスに乗れなかったのも仕方ないですよねっ」


ふんすっと鼻息を吹かし、顔が大きくなる神見さんだったが僕がぶつけた疑問に再度小さくなる。


「けど、バス停駅の目の前じゃないですか・・・?」

「あ! いや、その、えっーと...」


神見さんは両手の人差し指をつんつんしながら言う。


「駅から出たら迷子になりました...」

「改札の目の前にあったのに!?」

「いや、初日って視界が狭くなるじゃないですか...」

「確かに...」

「けど今は広いですよ?」


気付けば入場する新入生は僕らを残すのみとなっていた。


神見さんは僕よりも少し先に軽い足取りで進むとそこで振り返って僕に弾けた笑顔を向ける。


「森成くんが友達になってくれたのでっ!」

「なっ!?」


思ってもいなかった言葉に僕は薄く顔を赤らめる。


なんて恥ずかしい言葉を言ってくれるんだよ。けどこういうのって・・・


誰にも気付かれず、優しく揺らいだ僕の顔は時間を置かないまま、すぐに引き攣ることになった。


「ぎゃっ!」


バーンと体育館中に鈍い音が響いた。その場にいた全員が音の発生源であろう後ろ側の扉を見ると、外と中で段差になっている場所で神見さんが思いっきりコケていた。


「神見さん!?」

「いてて、ここに段差あるなんて気付かないですよぉ...」

「神見さんが後ろ向いてるからですよ...」

「だって森成くんと話してるのに目を見ないのおかしいじゃないですかぁ...」

「・・・もう恥ずかしいからやめてください...」


これが無意識で発している言葉なら、神見さんは天然のホイホイだ。正直僕もさっきから少しだけ心臓の音が大きくなっている。


「あ、あの...大丈夫?」


神見さんは1番近くにいた保護者に言葉をかけられる。


「えっ、はい──────」


僕は焦点があってない目を神見さんから向けられ、何か良からぬ事を言おうとしているのに気付き全力で止めようとしたが、止めるには少し距離が離れていた。


「ど、ドッキリ大成功です?」


あまり大きな声ではなかったが、体育館が外の虫の声が聞こえるほど静寂に包まれていたこと。そして入学式で言うような言葉じゃないことで神見さんの言葉は壇上にいた校長先生らしき先生の耳にまで届いた。


「くくく...」


1年2組の生徒がもう笑いを堪えきれないと訴えるように身体がうねっとくなっている。


「「「はっはっはっ!!」」」


それに許しを受けたかのように他のクラスもそこにいた先生、保護者の人までみんなが笑顔になる。


張本人である神見さんは涙目になって僕に助けを求めていたが、僕自身も溢れる笑みに耐えかねていた。


「! 森成くんまで笑うんですか!?」

「いや、なんでそこでドッキリ大成功って言うんですか...」

「だってだって! こういう時にはそう言っとけば大丈夫って──────」

「何で見たんですか・・・?」

「・・・漫画です」

「ジャンルは?」

「・・・コメディー」

「それです。それが問題です」

「なんでですか!」

「コメディーって言われてなんの職業思い付きますか...?」

「あ」


やっと気付いたのか、誰が見てもわかるくらい顔が赤くなっている神見さん。僕は起き上がるのに手を貸す。


「コメディアンですよ。笑いをとる専門の人達が使う方法じゃないですか?」

「・・・私バカなんでしょうか」

「いい意味で...ですけどね」

「それは...褒めてないですよね?」

「さぁ? どうでしょうね」


僕と神見さんは拍手の代わりに笑い声を身体中で受け止めながら、高校生活の最初の1歩を踏み出す──────




ぢゅらおです。

外に耳を傾けると、小学生ぐらいの子達が楽しく遊んでいる声が聞こえてきます。

僕は今こうして更新をしています。

僕にも外で何も考えず遊ぶ時期があったのかと思うととても感慨深いですね...

これからこれぐらいの字数で毎話更新していこうと思います。どうぞよろしくお願いします。

最後に明日もし更新出来なかった場合のために...

メリークリスマスです!! では!

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