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彼方へ紡ぐ  作者: 流優
魔法学園

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主人公とラスボス《1》


 主人公の名は、レイハ=リィト。


 プレイヤーが名前を入力していない時の、デフォルトネーム。


 紛うことなきこの世界の中心であり、時代を加速させ、前へと進めていく存在。


 主人公がいなければ時代は変化せず、主人公がいなければ世界は救えない。


 そんな、超重要人物は今――ただボーっと、感情の読めない無表情で俺を見ていた。


 教室の明かりに反射し、煌めく銀の美しいストレート。


 俺と同じ紅色をした、宝玉のような両の瞳は眠たげで、長い銀のまつ毛がそれを彩っている。


 きめ細やかな、絹のような白い肌。小ぶりな唇と、スッと通った鼻筋。


 ウチの妹も、ネア姉も非常に整った顔立ちをしていて、間違いなく美少女であるが……この少女の美しさを表すならば、それは『神秘的』という言葉が最も相応しいだろう。


 男も女も関係なく二度見してしまうであろう、神秘的な美少女だ。


 流石にネア姉程ではないものの、背は低めで、俺より頭一つ低い。


 スレンダー気味ではあっても、起伏はしっかりある女性らしい肢体。その細腕で、いずれ岩とか砕けるようになるなど、いったい誰が信じられるだろうか。


「それじゃあ、皆さん。実習を始めてください」


 最初の授業である、魔法の実習。


 ゲームにおいての、主人公と『ヒナタ』の絡みは、これが最初。

 主人公が学園で初めて話すキャラクターが、実習でたまたまペアになった俺だったのだ。


 ――突然だが、ゲームの主人公には大まかに二パターンあると俺は考えている。


 それは、『喋る主人公』と、『喋らない主人公』だ。


 喋る主人公はわかりやすいが、喋らない主人公というのは、プレイヤーに自己投影させるため主人公の自我をなるべく見せず、薄くして没個性にさせるタイプのことだ。


 最近の作品には多いと思うので、そう珍しくもないだろう。


 で、『彼方へ紡ぐ』は典型的な喋らない主人公タイプの作品で、事件の中心に主人公がいても、周りのキャラの相槌や掛け合い、行動等で話が進んでいくのだが……。


「よろしく。俺はヒナタ=アルヴァーだ。レイハって呼んでいいか?」


 実習のペアになった彼女は口を開かず、ただボーっとした様子のまま小さくコクリと頷く。


「それじゃあ、レイハ。俺が先にこれやるから。つっても、俺もまだよくわからんから、こうじゃない? っていうのがあったら言ってくれ」


「…………」

 

 無口。

 無表情。


 視線だけはこちらを向いているが、俺を見ているのか、見ていないのか、それすらよくわからない。


 大分意思疎通が困難であるが……むしろ俺は、納得してしまった。


 ゲームの俺も、レイハに向かって最初は「お前、反応の薄い奴だな」なんて言っていたのを思い出す。


 ただ、終盤になるとそれも変わり、「お前の目を見りゃ、何を言いたいか大体わかる」と言っていた。俺も、それを参考にするとしよう。


 ――ぶっちゃけ、ゲームでは男主人公より女主人公の方が人気はあった。


 可愛いからだ。


 グッズの売り上げとかそれが顕著に現れており、並み居るヒロインを押し退けて女主人公のフィギュアが最も売れた、という点から、人気の具合が窺えるだろう。正直俺も買った。


 が、実際に会って話してみると、「うおおお、可愛いー!」ってより、庇護欲を誘う印象の方が強いかもしれない。思わず目を引かれる、とんでもない美少女なのは間違いないが。


 ホント、これでその内、世界最強と呼ばれる龍族を簡単に縊り殺せるようになるというのだから、驚きだ。


 ……まあ、ただ、入学時の主人公は弱い。それこそ、新入生の大半が『レベル:10』なのに、主人公だけ貫禄の『レベル:1』スタートである。


 しばらくは俺も、それとなくこの少女の動向を気にしておくべきだな。ゲームで主人公の初期パーティに、俺がいたように。


 なんて、関係ないことを思いながらやっていたせいか、目の前の機器がエラーを吐く。


「うおっ……失敗か」


 今やっているのは、必要量の魔力だけを機器に流し込み、その状態をなるべく長く制御する、という実習だ。


 ゲームにおける魔法とは、スキルを発動することだ。

 現実における魔法とは、スキルの発動と、その応用(・・)だ。


 スキルとは、土台なのだ。ゲームでは威力の低い初期スキルである『ファイアーボール』が、この世界ではやり方次第で必殺の一撃となる。


 スキルに込める魔力を変化させ、形状を変化させ、発動タイミングを変化させ、軌道を変化させ、性質を変化させることが可能であるため、ゲームと比べて応用の幅は非常に広いのだ。


 ただ、これはやはり適性が物を言うところでもあって、俺は火系統の魔法の扱いが得意だが、水系統の扱いは得意じゃない。


 訓練次第である程度克服可能ではあるようだが、得意属性を伸ばすのか、不得意属性を克服するのか、この世界ではその辺りをちゃんと考えないといけない。


 だから、こういう魔力を制御する練習は大切なのだ。スキルを操る上で、最も重要だと言っても良いだろう。


「じゃ、レイハ、交代な。ほら」


 俺と場所を交代したレイハは、同じように機器に魔力を流し始め――何かを失敗したらしく、エラー表示が出る。


 首を傾げるレイハ。


「はは、お互いに上手く行かないな」


「……ん」


「おう、次俺な」


 一回交代、ということらしく、促してくるレイハとまた場所を代わり、実習を進める。


 まだまだ手探りだが、この調子で少しずつ彼女と交流を深めていくとしよう。


 望むと望まざると……この少女と俺は、必ず長い付き合いになるのだから。

 明日から一日一話投稿になるかな。話の長さによっては二話投稿します。


 投稿時間はー……18時か23時で! 多分!

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