08:死神さんをご説明
保健室に寄ってアイリスを呼びにいく。すっかり元気になったアイリスは俺を見るなり、
むぎゅっと抱きしめてきた。
「陽向! どこへ行っていたのだ!」
「あー? 学校だっつーの」
「学校? ああ、ここの事だな。で、そちらの二人は」
「あー、俺の友達の美紅。で、もう一人が……忘れた」
「いや、智也ダカラ」
「ああ、そう。脇役さん」
「そうか。ふむ、よろしく頼む。美紅、脇役!」
「信じるなよぉぉぉ」
そう、軽いコントをして、俺らは家に向かった。
「お邪魔しまーす」
「はいはい」
二人の中に入れ、向かい合うように座る。俺の隣がアイリスで、前が智也。その隣が美紅。
「で、その子とはどういう関係だ」
美紅は、出されたお茶を一口啜ってからいきなり本題に入った。
「ああ、こいつは、し――――のつか藍だ」
はれ? 俺、今、死神だって言おうと思ったのに。
「いや、違う。こいつは、し――――んだ、父さんが俺の母さんと友ダチだったらしくて、俺ん家の苗字で名乗ることにしたんだ」
次から次へとでまかせが出て来る。おかしい! 俺とこいつは何も関係ないぞ!
「へえ……大変だったな」
「何てかわいそうな子なんだ!」
おい、そこ、納得するな! 違う、こいつは死神で――
「そうだろ? こいつ自体も体弱くてさ、まだ、高校に通ってないんだ。でも、聖上に通わせようと思って」
俺ぇぇぇぇぇぇ、何て事言ってくれてるんだぁぁぁぁぁ。自分で、自分を追い込んでどうする! このままじゃ、学校でも俺、狙われちまうぞ!
「藍! お前からも何か言え!」
俺がアイリスに向かって助けを求めるように言うと、彼女はこっくりと可愛らしく頷いた。
「うむ。陽向にはお世話になっている。学校でもよろしくな、二人とも」
「そういうことなら、よろしく」
「可愛いなぁ。きっと喜ぶぞ」
アイリスゥゥゥ!テメー裏切ったなぁ!
「へえ、藍ちゃんってハンバーグ大好きなんだぁ」
「可愛い! 可愛すぎる! これは大きなニュースになるな!」
「うむ。なあ、陽向のことを教えてくれ」
俺の心の叫びはむなしく、三人は俺抜きで楽しく盛り上がっていた。
しかも、藍の奴、何気に俺の情報探ってやがる……。ああ! 藍って言ってるし……
俺は、壁の隅で、三人が仲よさそうなところを見ながら、いじけていた。
多分、久しぶりの投稿なのではないでしょうか?
これからもがんばっていきます