07:ジョーカーさんは悲しいです
アイリスを保健室に寝かせておき、俺は教室に戻った。
がらりと教室の戸を開ける。
「篠塚陽向、右肩、左肩、鳩尾、両足を負傷したが、無事に生還した!」
敬礼をしてみる。こっちを見ようとする生徒すら一人もいない。無反応だ。気付けば、美紅も自分の席に向かっていた。
つめてークラスだ。俺、ひょっとしていじめにあってる?
「早く席に着け、授業中だ、篠塚」
「……はい」
何、この仕打ち。やべ、泣きそう。
「おい、陽向」
おおっ。やはり、見捨てない奴もいたか! 嬉しい! 俺は今、モーレツに感動している!
さあ、俺に癒しの言葉を掛けてくれ! 我が親友よ!
「あの子、お前の知り合いか? 今度、メアドを教えてくれ。つか、何で引き止めなかったんだよ、この役立たず!」
親友そっちの気で女子の話か! しかも、何か怒られてる、俺!?
「畜生!」
「ぐあぁぁぁぁぁ! 目が、目がぁぁぁぁぁ!」
「……生で見た、目潰し」
智也は目を押さえて悲鳴をあげた。全くうるさい奴だ。ほら、周りのクラスメイトも引いているではないか。
「では、起立。礼」
あ、いつの間にか授業のチャイムが鳴っていた。慌てて立ち上がり礼をする。一気に教室が騒がしくなった。
「おい、ひなっ」
「ん? ああ、美紅。何だ」
「あの子って何者だ?」
「……ああ、別に。ただの――生き別れた双子の兄弟?」
「何故に、疑問系? つーか、顔にてねーだろ」
「お、復活したか、下衆」
「今、なんと書いて俺の名を呼んだか是非とも教えていただきたい」
「で、あいつは俺の――そう、従妹だ! 一緒に住む事になった!」
「何故、やっとぴんと来る言い方が分かったような輝く顔をしたんだよ」
「ナニィ!」
美紅が不思議に顔を傾けるのと同じに、智也が声をあげて俺の襟首を締め上げた。
「真か! 陽向殿!」
「何時代の人?」
目を血走らせて俺を見る。息、荒いんですけど、かかるんですけど。
「きゃあ!」
女子の悲鳴。ほら、喧嘩だと思われてるぞ!
「きっと、桂木君が攻めよ! 篠塚君が受けだわ! これぞ、まさにボーイズラ」
オーケー。聞かなかった事にしよう。
「おい、いい加減に放せ!」
誤解されるから、もう、遅いかもしれないけど。
「本当に一緒に住むのか!」
「……ああ、まあな」
「畜生! てめーだけ、ずりぃぞ! クソ、もう絶交だ!」
コイツ、扱いずれぇ。
「ひな、お前、夜にまさか、あの子と――」
「何を言いたいのか分からないが――いや、口に出さなくていい。あえて聞かないことにする。多分、お前の思ってることはしていない」
「本当にか!」
「……ああ! あー、もううるせぇよ! だったら家に来い!」
「「行く!」」
何なんだ、こいつら。
すみません、こちらを読んだ事のある、人は、全く意味がわかりませんでしたね。本当にすみません。
その間は、ちゃんと6話目に修正したので、読んでいただけると嬉しいです。