06:死神さんと学校で
「帰れよ、もうぅぅぅぅぅ!」
俺は全速疾走で運動場を走り回りながら叫んだ。後ろでは、息一つ乱していないアイリスが俺を追いかけている。
「狩人モードになっている今、我は篠塚陽向を狩る命を果たさなければならない」
「はやいっ。速いよお前! どんな足しているんだ!」
気がつくと隣にアイリスがこちらを見ながら走っていた。本当に人間じゃねーよ、こいつ!
ヒュウンッ。
アイリスが鎌を振る。俺はしゃがんで、それを避けた。アイリスの体勢が崩れた瞬間に俺は反対側へと走った。
おっし。少しは距離を置いた。これなら、すぐには追ってこれまい。
「へっ。ざまーみろ、ばーか!」
思いっきり叫び、懸命に走る。ふっ、ふっ、ふっ、後は十五分経てば――
「その言葉は、我に対する暴言と認識する。同時に、最後の言葉と認識する」
「ぎゅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
はやっ。もう、隣にいるし! 気配とか感じなかったんですけど! もう、お前忍者になれよ! 死神で収まる運動能力じゃないんですけど!
俺は、もっとスピードをあげた。そのまま校舎に突っ込もうとする。
「あ、ひなっ」
美紅が昇降口から顔を出した。げぇ、俺、止まれねぇぞ!
「どけどけどけどけ!」
「え、な、わ、来んなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぐふっ」
ドゴッ(←美紅の拳が俺の頬を殴る音)ミシッ(←俺の頬の骨の音)グシャッ(←地面に何かを巻き込んで倒れる俺の音)。
「て、てめー、車は急にとまらねーとお母さんに習わなかったのか……」
「それより、後ろの子いいのか?」
「は?」
後ろの子? 振り返ると、アイリスが目を回して、気絶していた。
「げっ」
俺は慌ててアイリスから離れるが、アイリスは起きない。鎌が黒い光の粒になって消えていく。
「や、やったぁぁぁぁぁ、勝ちました! 陽向選手見事、勝利を手にしました!」
俺は何度も万歳をした。くう、泣けるぜ!
「おい、陽向さん」
俺の肩を誰かが掴む。振り返ると、美紅が俺の肩を掴んでいた。
「え、えーと、美紅さん?――いた、いたたたたた」
やばい、ミシミシ言ってるよ、肩! 折れる、折れますぅ!
「お前さあ、授業サボってこんな可愛い中学生と何をやっていたのかな? 鼻息荒くして何やってたのかな?」
「ま、待って! これには深い事情がありまして!」
「事情? じゃあ、こっちに来て、説明してもらおうか……」
「あ、いや、待って! あ、アイリスを運ばなきゃ! そうだ、保健室に行こう!」
「……へえ。それでもって、夫婦の夜の営みをするわけですか」
「何で、そーなるんだ! 違うから! しかも、そんな言葉今時誰も使わねぇよ!」
突っ込みながら、アイリスを背負う。
美紅はすっごく冷たい視線を送りながら「不安だからついていく」と結局一緒に保健室に向かうことになった。
すみません!
間違えて、一話飛ばして投稿してしまいました! もう、読んでしまった方、すみませんでした!