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66:ジョーカーさんたちの朝

「ん……」


 目を開ける。そこには、美少女の寝顔が……。なわけなく、そこにいたのは智也の不細工な寝顔だった。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

「ぐふっ!」


 朝っぱらから目がつぶれる! 俺は、声をあげて、思いっきり智也の顔面を殴った。


 それによって、目が覚める智也。何が起きたか分かっていない様子である。


「な、何が起きた!」

「ふわ……頭がぐらぐらする」


 同時に湊も起きた。頭を抑えながら、起き上がる。


「えっと……昨日……あれ? 記憶ない」


 湊が首をかしげた。智也が苦笑しながら説明した。俺も付け足す。


「お前、急に叫び始めたんだぜ?」

「はぁ?」

「そーそー。悪いな、俺の妹のせいだよ。妹が少しだけ酒を入れたらしい」

「えぇ!?」

「藍の馬鹿ぁぁぁ!! ってな。面白かったぜ」

「くくく……湊って酒弱いんだぁ」

「う、うるせぇぇ!」


 真っ赤になって湊が、怒鳴る。俺が笑っていると、智也が言った。


「いやいや、お前も人のこと言えねーぞ」

「へ?」

「お前も、酒に酔って、立ち上がれなかったじゃねーかよ」

「うそ……?」

「ああ。あのなぁ……お前その後泣き始めてさ、その……『ハルキ、ごめん』って、謝り続けていたぞ」

「なっ」


 急に顔が赤くなる。智也は少し気まずそうだった。俺は、智也の肩を掴み、智也を揺らす。


「うそだろ! マジかよぉ……は、恥ずかし過ぎる!」

「ハルキって誰?」

「うそじゃねーよ。しかも、湊よりも先にぶっ倒れたっつーの!」

「アハハハハッ。お前、俺より、酒弱いじゃねーか!」

「うっせぇ! 誰かさんのように、叫ぶよりはマシだぁ!」

「なんだと!」

「それから、お前、酔うとすっげぇ、毒舌になるな」

「は?」

「いつものことじゃん」

「うっせぇ!」

「いつもよりだって」


 どんどん明かされていく昨日の夜の俺。ヤバイ……恥ずかしいぞっ。湊がまだ、笑っている。そのとき、扉が開いた。


「おっはよー! お兄ちゃん!」

「朝陽!」


 俺は、朝陽のほうに寄ってって、睨んだ。


「いやん。そんなゾクゾクするような瞳で睨まないでぇ」

「「コイツ、ドMだ!」」

「あのなぁ……お前、酒なんか出すなよ……」

「いいじゃん。お兄ちゃんの酔った姿を見たかったんだもん」

「ったく……お兄ちゃん、困るぞ。この三日間は男の話なんだから」

「えぇ。つまんないよ~。じゃあ、朝陽も男になる」

「待ってましたっ」


 朝陽が上目遣いで言うと、智也が声をあげる。湊が智也の頭をはたいた。


「そうだ、今日の恋バナは、朝陽ちゃんも入れよっか」

「おい、智也」

「やったっ! ありがとうございます! 今、豚小屋の中の臭い豚から、ただの臭い豚に昇格しました!」

「昇格したの、それ?」


 智也が、首をかしげる。昇格してないよ。そこまで、変わってないぞ。気づけ。 

 

 智也の頭の悪さに涙していると、智也はパンと、手をたたいた。


「じゃ、恋バナの続きは、今日の夜だな。今日は俺の初恋でも話すぜ!」

「「「えぇ~」」」

「な、なんだその顔は! とりあえず、気晴らしに、外行くぞ」

「「えぇ~」」


 俺等は心底嫌そうな顔をした。朝陽が俺の袖を掴む。


「ねぇ、朝陽も行っていい?」

「…………」

「いいよ、朝陽ちゃん!」

「気軽に呼ばないで下さい。……駄目? お兄ちゃん」

「……分かった。いいよ。いいよな、湊?」

「ん? ああ、いいよ。別に構わないけど」


 俺等は結局外に出ることになり、それぞれ支度を始めた。

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