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50:死神さんの文化祭の敵

「はぁ!? 回っていい?」


 午後の仕事が始まってわずか十分。実行委員が俺を呼び出し、「回ってきても良い」と言った。


「さっき、ダメっつただじゃん」

「うん。でも、撮影が結構早く終わったし、まあ、いいんじゃない?」


 意外にも適当な実行委員だ。


「じゃあ、遠慮なく回らせていただくけど……」

「あっ。もちろん、条件あるから」

「条件?」

「さっき言ったとおりにその姿で回ってきて」

「えぇ―――――」

「不服そうな顔をしない!」


 俺は、溜息をついて、仕方ないと頷いた。そして、アイリスを呼ぶ。アイリスも、アリスの姿のままやってきて、一緒に回ろうと、教室を出た。






「お前、食いすぎだろ」


 隣で幸せそうにたこ焼きを頬張っているアイリスに告げる。アイリスは、たこ焼き、綿あめ、リンゴ飴、焼きそばなど、食べ物をたくさん抱えている。ここは、夏祭りなのか? ……ちなみに、出費元は俺。ああ、バイトしなきゃいけないかなぁ。


「美味しいぞ! 陽向も食べるか?」

「当たり前だ」


 二人で、廊下を歩く。すると、急に人が少なくなった。


「あれ? 何でこんなに人が少ねーんだ?」

「ふむ? 人間の気配はないな。―――――陽向! 伏せろ!」

「おえっ」


 アイリスの急な叫びに俺は反射神経で床に伏せた。同じにパァンと銃声とパリッンとガラスが割れる音が同じに響く。なんか既視感(デジャブ)。って銃!? 


「ふふっ。貴方が篠塚陽向ジョーカー? 死神に守られるなんてざまぁないわね」

「天使っ!」

「あら? あたしはヒョウライ=ミカミ」

「ヒョウライ?」

「ヒョウライ=ミカミ……厄介だぞ、陽向! あいつは武力はあまり強くないが、まず敵のことを詳しく調べ、弱点をついてくるのだ! 天使の中の殺し屋のエキスパートだぞ!」


 ……天使の中にも殺し屋って存在するのか?


「よく知ってるわね。アイリスさん?」

「お互い様だろう!」

「そうね。ジョーカー。基、篠塚陽向。んー……めんどくさいからだいたいの情報は省くわ。あんた、

ズバリ、自分の力に気付いていないでしょう?」

「……う、うるせぇ!」

「ふふっ。でも、何故か発動される時がある」

「は? 発動なんて一度も……」


 俺は言いかけてその後の言葉を飲み込んだ。


 アイリスと初めて会った時。ミナルトと初めて会った時。


 何故かいつの間にか盾になる鞄。


 そして、ミナルトの言葉。「じゃあ、お前はジョーカーとしての能力の発動の仕方分かるか?」


 アイツは確実に何か知っていた。あういうことを聞くということは天使との戦いでも俺は知らぬ間に能力を発動している?


「心当たりはあるようね。ま、これ以上教える気はないけど。だって、ここで、あんたを殺さなきゃいけないのに、自分が不利になることはしないもの」


 天使――ヒョウライはくすりと不気味に微笑むと、真っ直ぐと銃口を俺に向けた。俺は、はじかれるようにヒョウライの視界から逃げるよう走る。くそっ! スカートは走りにくい!


 パァンと一発鳴った。しかし、ヒョウライは本当に戦闘には向いていないのか、銃弾が外れる。


「あらぁ。やっぱり銃は使いにくいわね。めんどくさい。あたんないし」

「ちっ。じゃぁ、大人しく帰って、銃の使い方でも教わりに行ってこい!」

「嫌よ。帰るのめんどくさいもの」

「なんだよっ!」


 ヒョウライがもう一発打つ。俺は横に転がった。そして起き上がって、体育館の中へ入る。やはり、人気はなく、ただ、劇などの飾りがしてあるだけだった。


「くっ」

「陽向! 大丈夫か!」


 後ろから、アイリスが走ってくる。バカヤロウ! 今来たら――――


 ヒョウライはにやりと笑って、銃口をアイリスのほうに向けた。


「ジョーカー。貴方の弱点はズバリ二つあるわ。一つは、貴方の過去。そして、もう一つは、あの死神さん」

「なっ!」


 アイリスが驚愕すると同じに、ヒョウライが銃を打った。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

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