表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/77

04:ジョーカーさんのおともだち。

 何これ、ラブコメでも始まるのか?


 急に俺の家に死神が住みつく事になり、襲ってくるのではないかとドキドキして全く眠れなかった夜を過ごした俺は、目をこすりながら家を出た。


 ちなみに死神には、家でじっとしているように言った。でないと、晩飯なしだとも言った。すると、急に大人しくなり、案外扱いが簡単だと言う事を学んだ。


「あ、おはよっ。陽向ひな

「ん……ああ、美紅か。はようさん」


 ポニーテールの髪を揺らして俺の肩を叩いたのは幼馴染の美紅だ。俺は、適当に答えて歩いた。隣に美紅が並ぶ。


「って並んで歩くな馬鹿者っ」

「あいたっ」


 俺は軽く美紅のおでこをはたいた。美紅が(男子に言わせると)可愛らしい声で悲鳴をあげる。


「えー、いいだろ? 幼馴染なんだからさー」

「うっせっ。一緒にいると、俺の命がもたんのだ! 恥を知れ!」

「そこまで言うなっ」


 美紅が頬を膨らませて、俺を睨む。


 清水美紅。それが彼女の名前だ。運動能力は抜群に高く、すらりとしたスタイルの彼女は男子からの人気が高い。美紅は特に気にしていないが、『聖上美女軍団』の中に入っているので、かなりすごい。(と思う)


「ひなたぁ! てめぇぇぇぇぇ!」


 背後から声がしたので、俺はとっさにしゃがんだ。ズザザザザザッ――と音を立てて、何かが地面に滑り込む。


「ぐふっ」


 俺はその“何か”を踏んづけてそのまま進んだ。


「な、ひどい、ひどすぎるぞ、その仕打ちっ!」


 立ち上がった何かが俺に向かって、叫ぶ。うわ、唾とんだ。


 黙らせようと、一発腹に拳を入れる。もう一発、太ももに蹴りを入れた。


「ぐほっ。あ、もう、やめて! お願い! 死んじゃう! いて、地味、地味だよ、その攻撃! 足、踏むなっ! 何だよ、そのねちねちした攻撃。地味に痛い! いてっ、やめて! 鞄で殴るのは違反! Mに目覚めちゃうぅぅぅぅぅぅぅ」


 俺は、攻撃をやめて、その“何か”を無視し歩き出した。美紅も何も無かったように俺の横に並ぶ。


 急に肩が重くなった。


「ひでぇよ! 俺を置いてくなっ。この智也様を! い〜けないんだ、いけないんだ! 先生に言っちゃお〜う」

「小学生か、お前は」


 俺は溜息をついて、肩に乗っかった手を払った。その“何か”とは俺の悪友の桂木智也だ。情報屋であり、女好きのめんどくさい奴なわけである。


「で、何の用だ」

「お前に用などない。俺が、用があるのは清水にです」

「……」

「近寄んなっ」

「ぐふっ。ぼ、暴力的なのもまたいい……。やべ、俺、Mに目覚めたかも」


 ……本当にむかつく野郎だ。俺、大人だからここで、手はだしたりしないけど。


「いてぇっ」

「おっと、手が滑った。勝手に鞄が動いちまってぇ、全くコイツ殺したいなんて思ってなかったのにぃ」

「てめぇ……」


 勝手に鞄が動いたんだってば。


 俺は口笛を鳴らし、何も無かったようにした。ちょっと、智也の視線が痛かったが。


 この時はまだ、いつも通りの平穏な日々が過ぎていくと思っていた。けど、一瞬にして俺の日常は壊された。


 そう、“奴”によって……。

第5話目です。今回は、ヒロインだしませんでした。

次回は、絶対にだします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ