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47:死神さんの文化祭の始まり

 文化祭当日。校内はいつもより、賑やかだった。もちろん、俺のクラスも、普段より五月蝿くなっていた。


「あ、篠塚君! 遅いよ! ほら、これ! 急いで着替えて!」


 朝、登校すると、衣装係の女子(ミ〇ー)に背中を押され、更衣室に入れられた。溜息をついて、仕方ないかと着替える。


「できた?」

「ん? ああ。一応」

「やっぱ様になっているわぁ!」

「……ああ。さんきゅ」


 嬉しくないが、一応、礼を言っておく。すると、衣装係の後ろから、着替えたアイリスも出てきた。アイリスは着慣れないのか、もじもじしながら俺を見る。


「陽向」

「ん?」

「あたしより、似合っているぞ」

「嬉しくねーよ!」


 アイリスがテトテトと出て行く。俺も後に続いた。


「ひーなっ」

「痛ぁっ」


 パンと乾いた音がして、頭痛が襲う。思わず、頭を抑えながら、振り向くと、美紅がいた。


「み、美紅か?」

「うん。似合うか?」

「……ああ。ものすごく」


 美紅の衣装はジャ〇ミンだった。動きやすそうな服装が美紅に似合い、いつものポニーテールをやめ、一つに束ねて、先の方もリボンに結んだ髪が新鮮で可愛い。


 美紅は俺の言葉を聞くと、頬を赤らめ、すごく嬉しそうに笑った。そんなに俺の言葉が嬉しかったのか?


「陽向ぃ!」

「ぐへっ。あつっ!」


 だれかに、ぐっと抱きつかれる。今来ている衣装だけでも暑いのに、抱きつかれて暑さも増す。これが、女子ならいいのだが……。


「気持ち悪い!」


 抱きついたのは、智也だ。嬉しくない。


 智也は、テ〇ガーの衣装だった。テ〇ガーらしきオレンジの耳がついたカチューシャをし、尻尾もついている。顔にひげが書いてあるのが面白い。


「似合うだろ!」

「ああ……あほらしさがぴったりだ!」

「ティガ〇をバカにしないで!」


 後ろから、加賀が声を荒げる。俺は慌てて「すまん」と謝った。本当に、うるさいな……。


「俺は!?」

「あんたは、アホを越えたドアホよ!」

「ぐはぁ!」


 加賀ってけっこう恐ろしい。


「あ……篠塚君」

「お、御井ぃ!?」


 思わず、語尾があがる。御井は「うん」と頷いた。御井の服装は多分、アリ〇ル。上がへそだしのキャミソールみたいな奴で、右の胸元に、頭のピンとおそろいのヒトデが3つほどワンポイントでついている。下は、水着のパレオを着ているみたいだ。パレオには青や緑の青系のスパンコールが散りばめられている。


「それ、水着?」

「そう……上下両方。少し、アレンジしたんだけど……変かな? これ、着た方が良いって言われたんだけど」

「……あ、ああ! すっげぇ、似合ってるよ」


 俺は正直に言った。御井がほっと安堵を吐く。


「でも、気をつけろよ。けっこう、この高校の男子って変態多いから。ほら、あそこの奴とか」


 俺は下を指差した。そこには加賀によってダメージを受け、仰向けに倒れてぐへへと気持ち悪い声を発生しながら笑う智也。智也の目線は、御井のパレオだ。御井は「きゃっ」と可愛らしい悲鳴を上げ、智也から離れる。俺は、ムカついたので、履いているヒールのままで、智也の腹をぐりぐりと押した。


「ぐふっ。……でも気持ちいい」

『お姉さま!』


 智也の声に、男子全員振り返る。お前ら、Mだったのか……。


「ほら、な? 気をつけろよ」

「あ、うん」

「なんか、されたら助け呼べ。俺がなんとかすっから」

「…………うん」


 俺がそう言うと、御井は頬を赤らめた。やっぱり、不安だったんだな。隣で、アイリスも美紅も、頬を膨らませていた。何故?


「おい、玲奈を口説くんじゃねーよ!」


 少し、目線を落とすと、けっと吐き捨てているミナルトが目に入った。ミナルトは、不思議の国のアリスの帽子屋のようだ。


「久々の登場だな」

「うるせぇ!」

「それよりも、お前の衣装……」

「な、なんだよ。結構、似合ってるって女子に評判のつもりなんだけど」

「……見事に背丈が足りねーな」

「うるせぇ!」


 ミナルトは泣きそうだった。帽子屋は背の高いイメージがあるしな。


「ほら、後、5分で、文化祭が始まるよ! 支度して!」


 実行委員が、呼びかける。俺らも、位置についた。


「おっし、文化祭の始まりだぞ! 気合入れるぞー!」

『おー!』 

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