表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/77

44:ジョーカーさん、参加します

「そこのメニュー表できた?」

「そこ、赤く塗って!」

「ティーセットいくつ!?」


 放課後。いつもより、クラスは騒がしかった。理由は簡単。後一週間で文化祭だからだ。


「ねー、そういえば、うちのクラスどうすんの? 聖上美女コンテスト」


 城崎が呟いた。作業していたみんなの手が止まる。


「そうだ! どうすんだよ! 明日じゃねーの! 締め切り!」

「うわぁ! やばい! 時間ない!」


 みんなが騒ぎ出す。当たり前だ。この文化祭は三日間行うのだが、聖上美女コンテストは2日目にある。美女コンテトの上位5位。つまり、聖上美女軍団がいるクラスは、聖上美女軍団が客引きになる。かなり儲かるのだ。2日目にビリなクラスでも5位は取れるほどに有名になる。


「どうすんだよ! おい、みんな! 手を止めろ!」

『もう止めてるわ!』

「……ごめんなさい」


 智也が代表して叫ぶ。しかし、返り討ちにあっていた。あいつ、実行委員だっけ?


「うちのクラスは誰を出す?」


 智也はめげずに言った。

 聖上美女コンテストはクラスで3人まで。一学年は7クラスある。つまり最高63人出るのだ。……人数合ってる? 63人全員出ることはできないので、まず、実行委員の方で予選を行う。そして、20人ほどに減らす。オーディションのようなものだ。


「どうする? 清水は決定だな!」

「えー。あたし? また、出んのかよ」

「嫌なのか?」

「うん」

「即答!? じゃあ……御井! お前は?」


 急に名前を呼ばれた御井は、びっくりしながら、顔を上げた。


「嫌か?」

「え、えっと……」


 御井は目立たないが、可愛い。あ、メガネじゃないぞ? でも、可愛い。


 智也の声に御井が戸惑っている。おいこら。御井がかわいそうだぞ。


「御井でいいだろ!」

「そーだ! そーだ!」


 お前ら、結構投げやりだな。御井、困ってるし。


「……分かりました。わたし、やります」

「おっしゃぁ!」


 おっけーなのか!?


「はい、次!」

「藍ちゃんは?」

「藍ちゃんか……うん、いいな」

「ほえ?」


 おいおい! アイリスはダメだろ!


「おい、お前ら! 俺の許可なしで藍を――――」

『藍ちゃんはみんなのものだ!』

「……」


 なんだ、こいつら。……これから、藍を兄として守ってあげるべきだろうか……。


「じゃ、藍ちゃんでいいな?」

「ふぇ? ……むう。まあ、勝手に決められるのは癪だが、興味がある。ここは出るとしよう」


 アイリスが頷く。少し、誇らしそうだった。なんなんだ。


「おしっ。最後一人!」

『篠塚君!』


 女子が一斉に言った。……って俺!? 何で? 俺、普通に傍観者としてみていたのに! 巻き込まれてる! しかも、美女コンテストのことで!


「おいおいおい! 俺はお」

『女でしょ』

「違うよ! なんだ! 俺に出ろと!? 無理だ、予選で落ちる!」

『大丈夫!』

「何が!?」


 俺、男です……。最近、こういうネタ多くないか……?


「女装に合うし!」

「ソーソー! 結構、女の子だったら絶対好きなるのにって男子言ってるし!」


 てめーら、俺をそんな目で見てたのか!


「名前は言わないけど、『陽向萌え~』みたいなことを言ってた男子いたよ」

「誰だァ!」


 嫌だ! なるべくなら、それは聞きたくなかった。誰なんだよ! 気色悪い奴! …………全員、何で目を逸らす! 堂々としろよ! 嘘だろ! 女子の冗談だろ! な、おい! …………………………え、俺ここで吐いてもいいですか?


「じゃ、陽向で決定だな」

「智也!」


 智也がまるで何もなかったように、話を進める。何でお前も、気まずそうに目を逸らす! お前も言ってたのかよ!


 もう、お婿に行けない。


『だいじょーぶ!』


 おいコラ! 土曜八時のマネをするな!


 何で、俺が出ることに……? 俺、いじめられてるの?


 美紅が横で、哀れそうに、俺を見ていた。  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ