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28:ジョーカーさんに話があります

 学校に到着した俺は、ぐったりと自分の席に突っ伏した。


 アイリスに追いかけられ、いつの間にか、鞄は盾になってて、何が起こったか分からないまま、アイリスを背負って長い通学路を歩き、途中で目覚めたアイリスに殴られ、俺の後を追ってきた美紅に何故、先に行ったと蹴られた。もう、俺、このままじゃ逝っちゃいます。


「おう、おはよーさん。もてないラブコメ君」

「うるせぇ。脇役」


 朝からめんどくさいのに会った。といっても学校だから会わなきゃならんだけど。あー、お前、三途の川でも渡ってきてくれないかな。


「失礼な事を考えてなかったか?」

「いや、考えてねーよ。ただ、お前が三途の川でも渡ってくれると嬉しいなって言っただけ」

「俺に逝けと! それが失礼だって言ってるんだyo!」

「何で、最後、ラップ口調にしたんだよ」

「おい、ジョーカー」


 またまた、声を掛けられる。また、めんどくさい。チビのクセに。


「てめぇ、失礼なこと考えたな」

「考えてない。ただ、チビ……小さいなと思ったんだ」

「言いなおせば良いっていう問題じゃねー! 失礼極まりないな、お前! たいしてくぁわらないクセに!」

「変わらないに力込めんじゃねーよ!」

「それより、話がある。来い」

「鯉? ああん? 池に鯉なんていねーぞ。この前、校長が飼ってた“たま”が死んだから」

「鯉の話なんかしてねーよ! しかも、何で校長は鯉に猫のような名前付けてんだよ!」

「命名は教頭だ」

「どーでもいい情報だな! そして、教頭のネーミングセンスにびっくりだ!」

「どうした、陽向ひな


 ぜえぜえ、息を吐くミナルト。そこに、不思議そうな顔でやってくる美紅。あー、もう迷惑だ。男四人なんてむさ苦しい。


「ぐふっ」

「あたしは女だ!」


 お前はエスパーか。


「ジョーカー、ともかく来い!」

「だから鯉は」

「もう、その話は終わったよ!」


 ミナルトが俺を引きずって廊下に出る。俺は、ものすごい嫌そうな顔をして、ミナルトを見た。


「ものすごい嫌そうなのは分かった」

「……で、なんだ。てめー、喧嘩売ってんのか? あぁ?」

「お前、その日の気分でめちゃくちゃ態度が変わるんだな」


 呆れて溜息をつくミナルト。うるせー、俺を早く寝かせろ。


「実はよ、俺、今スランプなんだ」

「はあ? “きぃぃぃぃぃん”って言いながら走りまわりたい気分なんて知らないよ」

「違ーよ! 俺は横に“ガ〇チャン”つけてないから! ロボじゃないし!」

「スランプ? 死神のか?」

「ああ」

「それは俺にとって喜ばしいことなんですけど」

「知ってるわ! めちゃくちゃ嬉しそうだろーが! そうじゃねー。なんか、悪い予感がするんだよ。今まで無かったんだ。今日、何故か“狩人モード”になれないんだよ」

「へぇ。そーいや、アイリスも今朝、ちょっとスピードが落ちてたな」

「そーなのか。アイリスは切り替わる事は出来るのか。さすがスペード隊長だなっ」

「もう、アイリスの溺愛ぶりは分かったから」

「……あと、天使の気配がする」


 天使。その言葉に眠気がぶっ飛ぶ。天使といえば、アイリスとミナルトが二人かかっても勝てなかった奴だ。


「天使がこの学校にか!」

「分かんないけど、近い。すげぇ、鳥肌がたつんだ。多分、いる。だから、ジョーカー。お前にアイリスを守って欲しい――――って何でそんな露骨に嫌そうな顔する!?」


 いきなり怒鳴るミナルト。当たり前だ。何で、自分の命を狙ってくる奴を自分の身を削ってまで助けなきゃならんのだ。そのままやられちまえばいい。


「普通なら、『分かった。普段は嫌な奴だけど、俺にとっては友達ダチ俺が命を懸けてでも守ってやる』って言うところだろ!」

「うるせー! お前、ラノベの読みすぎだ! 俺は学園都市に住む自称不幸というが、モテまくりでめちゃくちゃ熱い主人公と〇まさんのようにはなれません!」

「と〇まさんは最高だろっ。たとえ敵でも命をかけて守ろうとするんだぞ!」

「うるせぇ。現実そんなに甘くないんだ!」


 ギャーギャー言い合うとぴったりチャイムが鳴った。

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