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27:ジョーカーさんが追いかけられます

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 いつも通りの平和な朝。そこに悲鳴をあげながら通学路を走る少年が一人。……もちろん俺です。


「死ぬっ。やばいっ。俺、低気圧なのにぃ!」


 説明しよう! 朝、いつも通り、遅刻ギリギリに目覚めた俺は制服に着替えて、自分の部屋を出ました。そこに、腹をすかせた居候が一人。居候は、怒って狩人モードになったのです。そこで、身の危険を感じた俺は美紅の迎えも待たずに家を飛び出しました。


 説明もクソもないっすね。


「朝は禁止だっつったのに――――――っ!」


 家から学校まで走って20分。ほとんどの時間は走らないといけない。俺はそんなに走れないっつーの!

家を出て10分。もう、息が続かない。


「篠塚陽向、この先10メートル」


 後ろでそんな呟く声がする。もちろんアイリスだ。


「なんかのショー?」

「こんな朝早くから?」


 周りのおばさんたちの不気味がる声。そりゃ小さな少女が自分よりも大きな鎌を持って高校生男子を追いかけているんだから、不気味がるだろーな。


 アイリスはすぐに追いついてきて、俺の真横で鎌を振った。俺は急ブレーキをかけてしゃがんで避ける。


「っぶね!」


 よろめいたアイリスを後ろから蹴り上げ、また走る。


「今日は……なんか……スピード……が……お、落ちていないか?」


 息切れ切れに走る。毎日同じような事を家の中でしているのだ。だいたいアイリスの行動パターンや速さが見えてきた。


 アイリスはすぐさま体勢を立て直し、俺に向かって走ってくる。そして、また鎌を振った。それを避けるように、俺は横の塀へ飛んだ。背中が思いっきり、当たる。うー、痛ぇ。背中を擦ってると、またもや鎌を振るう。しゃがんで避けると、鎌が塀の石のブロックに傷をつけた。


「やっぱ、休む暇もねー!」


 叫びながら走り、アイリスの鎌を避けていく。……やっぱり。まあ、ほんの少しの差だが、スピードは落ちている。もしかして、スランプか? そしたら、俺の人生ハッピーじゃん。


 そんな事に気を取られ、アイリスが俺を通り過ぎていくのが分からなかった。アイリスは俺の前に立ち、鎌を振るおうとする。


「やっべっ」


 ブレーキがかからない俺は、そのままアイリスに突っ込んでいく。嘘、ここで俺の人生終了かよ!


 思わず、鞄を前に突き出す。


 カキンッ。


 金属と金属のぶつかりあう音。俺、死んだ? ゆっくりと目を開けてみる。すると、鞄はミナルトとの戦いのように盾になっており、鎌を防いでた。


「なっ」

「……」


 アイリスは無言で盾を見つめ続ける。しかし、それは本当に一秒にも満たない事で、俺らはすぐに鎌と盾のぶつかった衝撃で吹き飛ばされた。


「おわっ――ぐえっ」


 道路に転がる俺。鞄に目をやると、まだ盾になっている。


「……また、盾になってる」


 アイリスが遠くでふらりと立ちあがった。しかし、すぐに電池が切れたように、倒れた。時計は丁度、15分が経っている。


 横には鞄、基、盾が転がり、前にはアイリスが倒れている。


「俺の力ってなんなんだ」


 俺は、混乱しながらも、道路で座り込み呟いた。

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