表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/77

24:死神さんたちの買い物 1

「悪い、待った?」


 一週間がやっと終わる日曜日。俺は、御井とともにアイリスたちの携帯を買うことにした。遠くでそわそわと待っている御井に声をかけながら近づく。


「え、あ、待ってないよ! い、今来た所!」

「嘘だよ。一時間も待ったっつーの」


 ミナルトがボソッと呟く。俺は「すまん」と二人に謝った。


「悪かったな。一応、時間ぴったりのつもりなんだけど……一時間も早く来させちまって」

「わ、わたしが勝手にしただけだから」

「全く、女性を待たせるなよ」


 ミナルトの言うとおりだ。俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「全然、いいから!! そ、それより、いこ!!」

「ああ」


 御井が前を歩く。そこでやっと気付いた。御井の私服はかなり可愛かった。女の子らしい。三年使っているジーンズにTシャツの俺とは大違いだ。


 そこで、素直な感想を述べる。


「御井、可愛いな」

「うぇ!」


 御井は変な声を出して振り向いた。


「そ、そこまで驚くこと言ったか!?」

「あ、ううん……。あ、ありがとう」

「あ、そう?」


 少し、御井に驚いて笑う。御井は頬を赤くしていた。まるで、デートだな。


 ………………気のせいか、御井が遠くなっているような。


「おい、陽向! 玲奈がだんだん遠くなってるぞ!」

「ジョーカー、助けろ!」

「やっぱり!?」


 俺は急いで人ごみを掻き分けた。そこまで、大人数ではないのだが、御井は人ごみに流されてしまっているようだ。


 さすが、御井。


「って、感心してる場合じゃねー!」


 御井がどんどん遠くなる。「あわわ」と御井も焦っていた。


「くそっ。御井!」


 急いで、御井の方へ手を向け、御井らしい手を掴む。そして、ぐっと引っ張り、御井を寄せた。


「ったく。危ねーな」


 御井を引き寄せて呟く。


「あ、ありがとう。篠塚君」


 御井は俺の胸でぼそりと呟いた。


「……陽向!」

「ジョーカー。それ、暑苦しいからやめてくれ」


 怒っているアイリスと呆れているミナルトがやってくる。ミナルトに言われ、やっとの事で現状を理解した。


 これではまるで、カップルが抱き合っているようにしか見えないのだ。


「うわっ。わうい、御井!」

「ご、ごめんなさい!」

「ジョーカー、噛んでるぞ」


 慌てて離す。御井はぺこりと頭を下げた。気まずい空気が流れる。


「それじゃ、行こっか」


 俺は、耐え切れなくて三人に切り出した。







 デパートに入り、携帯ショップで二人の携帯を買う。アイリスは可愛らしいピンクの携帯にしたが、ミナルトは血の色に近い携帯にした。


 何故、そんなものが売っている……。ミナルトが持つと、リアルすぎて、嫌だ。


「? 何だ、ジョーカー」

「いや、何でも?」

「陽向、ありがと!」

「おう」

「ありがと、玲奈」

「うん」


 雰囲気が和やかになったところで俺は切り出した。


「んじゃ、どっか寄ってくか? このまま帰るんもつまんないしな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ