24:死神さんたちの買い物 1
「悪い、待った?」
一週間がやっと終わる日曜日。俺は、御井とともにアイリスたちの携帯を買うことにした。遠くでそわそわと待っている御井に声をかけながら近づく。
「え、あ、待ってないよ! い、今来た所!」
「嘘だよ。一時間も待ったっつーの」
ミナルトがボソッと呟く。俺は「すまん」と二人に謝った。
「悪かったな。一応、時間ぴったりのつもりなんだけど……一時間も早く来させちまって」
「わ、わたしが勝手にしただけだから」
「全く、女性を待たせるなよ」
ミナルトの言うとおりだ。俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「全然、いいから!! そ、それより、いこ!!」
「ああ」
御井が前を歩く。そこでやっと気付いた。御井の私服はかなり可愛かった。女の子らしい。三年使っているジーンズにTシャツの俺とは大違いだ。
そこで、素直な感想を述べる。
「御井、可愛いな」
「うぇ!」
御井は変な声を出して振り向いた。
「そ、そこまで驚くこと言ったか!?」
「あ、ううん……。あ、ありがとう」
「あ、そう?」
少し、御井に驚いて笑う。御井は頬を赤くしていた。まるで、デートだな。
………………気のせいか、御井が遠くなっているような。
「おい、陽向! 玲奈がだんだん遠くなってるぞ!」
「ジョーカー、助けろ!」
「やっぱり!?」
俺は急いで人ごみを掻き分けた。そこまで、大人数ではないのだが、御井は人ごみに流されてしまっているようだ。
さすが、御井。
「って、感心してる場合じゃねー!」
御井がどんどん遠くなる。「あわわ」と御井も焦っていた。
「くそっ。御井!」
急いで、御井の方へ手を向け、御井らしい手を掴む。そして、ぐっと引っ張り、御井を寄せた。
「ったく。危ねーな」
御井を引き寄せて呟く。
「あ、ありがとう。篠塚君」
御井は俺の胸でぼそりと呟いた。
「……陽向!」
「ジョーカー。それ、暑苦しいからやめてくれ」
怒っているアイリスと呆れているミナルトがやってくる。ミナルトに言われ、やっとの事で現状を理解した。
これではまるで、カップルが抱き合っているようにしか見えないのだ。
「うわっ。わうい、御井!」
「ご、ごめんなさい!」
「ジョーカー、噛んでるぞ」
慌てて離す。御井はぺこりと頭を下げた。気まずい空気が流れる。
「それじゃ、行こっか」
俺は、耐え切れなくて三人に切り出した。
デパートに入り、携帯ショップで二人の携帯を買う。アイリスは可愛らしいピンクの携帯にしたが、ミナルトは血の色に近い携帯にした。
何故、そんなものが売っている……。ミナルトが持つと、リアルすぎて、嫌だ。
「? 何だ、ジョーカー」
「いや、何でも?」
「陽向、ありがと!」
「おう」
「ありがと、玲奈」
「うん」
雰囲気が和やかになったところで俺は切り出した。
「んじゃ、どっか寄ってくか? このまま帰るんもつまんないしな」