表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/77

21:死神さんと下校中。

 帰り道。何故か、いつもと人数が違う。


「あー……御井? お前、こっちだったっけ?」

「あ、今日は、篠塚君家行くから!」

「ええっ。し、知らないんだけど、俺」


 うわぁ……美紅とアイリスと智也がめっちゃ俺を見てるんだけど。穴開きそうなんだけど。


「あの、ま、まだ篠塚君に聞きたいことあるし……」

「あ、そうなの?」


 まあ、俺ん家……いつも汚いわ。


「俺も行――」

「お前は来るな」

「ええっ」


 即答してみる。案の定、智也はダメージを受け、ふらついた。


「痛ッ!」


 隣から悲鳴。見ると、御井が電柱にぶつかっていた。いや、前見ようか?


「大丈夫か、御井?」

「ふ、ふぇ? だいろーふ」


 涙目で俺を見る御井。くそ、可愛いじゃないか。いねぇぞ、高校生で電柱にぶつかる少女さん。


「死ね、陽向」

「ひでぇ!」


 美紅が久しぶりに俺をあだ名ではなく名前で呼ぶ。より一層怖いよ、美紅さん。


「ふふふふ。やっと清水に嫌われたか! はっはっはっ、どうですか美紅さん? 俺とお食事でも?」

「きもっ」

「ぐはぁ!」


智也(おまえ)の扱いは俺よりもひどかったぞ!?

 ひざをついて倒れこむ智也。ああ、可哀想だ。


「おい、美紅! 智也泣いちまったぞ! 謝れ!」

「こいつに謝ったら人生が終わる」

「ひでぇ!」

「確かに」

「納得するなぁ!」


 泣きながら、突っ込む智也。いや、だってねぇ?


 俺は智也から目を逸らした。智也は立ち上がって「ちくしょぉぉぉぉ!」と叫んで、歩いてきた道を逆戻りし始めた。どこ行くんだ? お前。


「あーあ。行っちゃった」

「意味が分からないやつだな?」


 アイリスがぼそりと呟く。うん、分かるよ、俺も。あいつ、高校から一緒なのにね。


「おい、オレを忘れてないか?」

「幻聴が聞こえる」

「オレ、いるよ、ここに!」

「え? ……ああ。小さくて見えなかった」

「ひでぇ!」


 おお。智也と同じ反応してるぞ。


「うるせー! オレはどうせチビだぁぁぁぁぁ!」

「知ってる」

「謝れよ!」


 あー。面白いな、コイツ。ぼそりと美紅が「どSがいる」と言う。深琴先輩より優しいから問題ないさっ。


『ジョーカー見つけた』


 ドクン。……アレ? 寒気がする。


「おい、アイリス、なんか話したか?」

「え? 何も言ってないぞ?」

「お前、霊感でもあるんじゃねーぞ?」

「あたしもしゃべってねーぞ」

「え? じゃあ」


 空耳か? そう言おうとした時、また、心臓の鼓動が大きくなった。


『随分呑気だな』


 今度ははっきりと聞こえる。アイリスもミナルトも立ち止まり、険しい顔をした。美紅と御井は震えている。


「今、何か聞こえなかったか?」


 美紅が呟く。言われなくても、俺にも聞こえた。

 ヤバイ。これは……。


「天使だ」

「天使?」

「ああ……この感覚はそうだ」


 天使って何だよ……。でも、ヤバイ気がする。


「おい、美紅、御井! 俺ら用事思い出した! 悪いけど、こっからは二人で帰ってくれ! 藍、湊、行くぞ!」

「え、おい! ひなっ」

「篠塚君!?」

「分かっている!」

「オレに指図するな!」


 俺らは同じに走り出した。そして近場の公園へ向かう。


『あの子たちは関係ないから置いていくんだ。ジョーカーって優しいところもあるんだね。機械的なものだとばかり思ってたけど』

「うるせぇ! 俺にも心はあるわ!」


 姿の見えない天使に言う。……よし、ここまで来ればいいだろう。


「姿見せろや!」

『言われなくても、俺の姿くらい見せるよ』


 ぶわっと風が吹く。そして、バサンバサンと音を立て、滑り台に天使が姿を表した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ