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19:死神さんと屋上で

「ふーん。お前、御井のところで世話になるのか」


 時は昼休み。俺は屋上で、購買部で買ったパンを手に御井の話を聞いていた。


「おうっ。アイリスを連れて行くまで帰れるかっ」

「そうっすか。早く、一緒に帰ってくれ」


 共にいるミナルトが、にっと笑う。俺は呆れていた。


「お前、学校内じゃ、それは無しだぞ」

「知ってる。流石に、玲奈に迷惑はかけられないからなっ」


 元気に言うミナルト。御井は正座して苦笑していた。


「その、篠塚君はジョーカーなんだよね?」

「そうらしいけど? 別に、これと言った力もないのによ」

「お前、気付いてないのか?」


 ミナルトが心底驚いた顔をした。


「何だよ、俺の能力って」

「いや、狩りやすくするために言わなーい」


 いちいちムカつく奴だな。……って、さっきからアイリスさん、無言なんですけど?


「あのー、アイリスさん?」

「何だ」

「怒ってらっしゃる?」

「怒ってなどいない」


 ふんと顔を背けるアイリス。ぜってー怒ってる、こいつ。


「あ、あの、篠塚君。わたし、いつもお弁当なんだけど……よかったら、食べる?」


 雰囲気を和ませようと、御井が懸命にしゃべる。和むなぁ、もう。


「さんきゅ。お前が作ってんのか?」

「うん。下手だけど……」

「すげーな。頂くわ。あ、それじゃあれだな……んー。パン食うか? 俺の食いかけでよかったら」

「ええっ」

「あ、悪い。俺、男だもんな。そりゃ嫌か」

「う、ううん! た、食べる! 貰って良いかな!?」


 すごい勢いで詰め寄ってくる御井。おいおい、そんなに食いたいのか、このツナマヨサンド。


「ほ、ほら」


 御井がツナマヨサンドを受け取る。御井は顔を真っ赤にして、ツナマヨサンドとにらみ合う。そして、はむっと食べた。


「お、おいしー」

「そっか。んじゃ、俺も。卵焼きちょーだい」


 行儀悪いけど、手でつまんで食べる。お、けっこーうめぇな。


「ん、おいしい!」

「ほんとっ? よかったぁ」


 御井が嬉しそうに笑う。へー、こんなに可愛く笑うんだ。アイリスや美紅とは大違いだな。


「時に、ミナルト」

「あ?」

「お前、しゃべり方変わったな」

「ぬわぁぁぁぁぁ!」


 急に叫ぶミナルト。


「ついでに、背も縮んだ?」


 いや、前から背は小さかったけど、さらに……。150くらいしかないだろ。


「ぐぉぉぉぉぉぉ!」

「おい、陽向! それはミナルトのコンプレックスなんだ!」

「そうなのか?」

「わ、悪いか、あんなしゃべり方してぇ! くっそぉ! 背も縮んでるさっ。俺はちびなのさっ」

「へぇ。変なの」

「これ以上言うなぁぁぁ!」


 叫ぶミナルト。やっべ。俺、はまっちまうかもしれない。

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