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11:ジョーカーさんと先輩さん

 プルルルルルルル……――。


『はい』


 おお。ワンコールでた。さすがだな。


「あ、えっと、俺です。陽向です」

『もちろん、分かってるわよ。やだぁ、夜のお誘いなんて大胆』


 電話の主は、藤原深琴先輩だ。生徒会長であり、スタイルもモデル並、成績優秀。運動はめっきりダメだが、そこが萌える要素らしい。もちろん、『聖上美女軍団』に入っている。しかも、トップに立つそうだ。


 しかし、あることがきっかけで、俺を何故か、可愛がるようになり、俺にとっては苦手な先輩だった。


「違います。頼みがあるんです」

『わたしに? もちろん、陽向君の頼みなら、喜んで。でも、珍しいわね』

「先輩に頼みごとすると、条件がつきますから。どこかの誰かさんのように」

『で、今回は、どこかの誰かさんに断られたの?』

「いえ。先輩に頼んだ方が、被害が少ないですから」

『あら、そう。で、何かしら?』

「それですが、俺の従妹が、あ、同じ歳の女子なんですけど、俺と一緒に暮らすことになって――」

『今から、陽向君の家に行っていいかしら?』

「いや、駄目ですから。落ち着いてください。従妹、藍って言うんですけど、体が弱くて、高校に行ってなかったんですよ。ここで、暮らすし、体も丈夫になってきたし、どうせなら、高校に行かせようと思いまして」

『えー。でも、陽向君の頼みでも、女の子が関わっているのはちょっとなぁ』

「……分かってますよ! セクハラ以外なら、何でもやりますって!」

『やったぁ。さっそく、制服送るわ。ついでに、入学金とか、学費とかは免除してあげる』

「……それは、二つ目の条件ですか?」

『ううん。わたしからのプレゼントで』


 はあ。やっと、話がついた。ちらりと、アイリスを見ると、首を傾けている。


『じゃあ、名前、歳、身長は?』

「えっと、篠塚藍、十六歳。高2です。身長はひゃくにじゅ――がぶっ。 びゃぐよんじゅうろぐでず」

『途中の呻き声が気になるわ。まあ、ともかく、分かったわ。すぐに入学の手続きをするから』 

「ばい。あ゛りがどう゛ございばす」


 俺は、鼻血の出る鼻を押さえながら、電話を切った。


「あ゛い゛、あじだがら、がっごうい゛ぐぞ」

「うむ!」


 アイリスは、血の付いた拳を強く握りながら、満面の笑みで笑った。


 おい、傍からみたら、危ない人だぞ?

久しぶりの投稿です。すみません、なんかばらばらで。。。

次回から、藍の学校生活が始まります!!

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