00:死神さんの御登場!
「ジョーカー。お前は三つの世界に存在してはならない存在なのだ」
俺の目の前に座る。死神らしくないおチビな“自称”死神さんは俺に向かって指を突きつけて言った。
「はい?」
突然、そんな事を言われた俺は、何言ってんだこいつ? という同情した目線を彼女に送った。
そんな次元が違う二人のお話。
ふわっと一つ欠伸をした。ちらりと時計を見ると午前6時半を指していた。
……何で起きたんだっけ?
まだぼやけている頭で考える。
「……っでぇ!」
ガンと足の小指をぶつけてうずくまる俺。くぅ……痛いけど、おかげで頭がはっきりした。
ドアの叩く音がしたから起きたんだ。
俺の家のインターホンは、ココに越してきてその日に幼馴染みの美紅に壊された。なので、ドアを叩くしかない。
耳を澄ますと小さいけどドアの叩く音がした。
けっこうしつこいな。なんかのセールスマンか? もしや、美紅か? だったら文句の一つは言わねーと気がすまん。
「ったく、こんな朝からふざけんなよ……。今日、日曜なのに、俺の貴重な睡眠時間を返せ」
誰もいない薄暗い廊下を歩きながら一人で愚痴をこぼす。だんだんとドアの叩く音が大きくなった。
「はいはい、どちら様ですか」
半分切れながら、鍵を解除し、ドアを開ける。そこに立っていたのは美紅ではなく――――
「え? どなた?」
――――見知らぬ無愛想な一人の少女だった。
さて、前置きが長くなってしまった。
篠塚陽向、16歳。両親は海外に住んでいる。ブラコンの妹が一人。こちらも海外に行っている。現在一人暮らし。
隣の202号室には俺の通う聖上高校の『聖上美女軍団』に入るほどの同い年の幼馴染が一人で住みつき、知り合いには『聖上美女軍団』の一人の先輩がいる。
顔立ちは良くもなければ、悪くもないと、自分では思っている。(悪友に言わせれば最悪らしい。)成績は中の下。運動神経は中の上。トラブルを起こさず、どちらかというと観客役の平凡な日常を過ごす、自分で言うのもなんだが、ラブコメの主人公的な立場の俺。しかしもてず、彼女いない歴16年。しかも、男の夢のハーレムというのを味わった事も無い。(何故なのだ!)それに関するトラブルも起こったことが無い。まあ、どちらかというと起こらないほうがいいのだが。
そんな俺は、今日5月10日午前6時38分。自宅の玄関で、一人の死神と出会った。
作者はファンタジーが苦手なので、コメディ要素を含めてみました。コメディは自分の好きなように書けるので好きです。
指摘、ここの部分が面白かったなど、一言でもいいので、良かったらお願いします。