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「内定取り消し?!待ってくださいよ!!もう3月ですよ!しかも明日入社式ですよね?!なぜなんですか!!」


商店街に大きく響く、周りはその男へと視線を向け哀れみを持った視線が突き付けられる

『こちらとしましても宮元様には大変申し訳ないと・・・』


「せめて理由だけ教えていただけませんか!」

この男、地元の中小企業に内定をもらい地元に身を埋めるぐらいには地元信仰が強い男なのだが今回の内定取り消しに関しては予想はしていなかった・・・というよりかは巷で流行りのウィルスの影響が日本全体で大きい影響を与えた、この男も例外でもない


『宮本様もご存じでしょうが、世界で流行っているウィルスの影響で業務に差し支えておりまして』


「つまりは・・・営業不振、ということでしょうか」


『平たく言えば・・・』


ここでもウィルス


「はい・・・はい・・・かしこまりました、失礼いたします。」


決まり文句を述べ通話を切りスマートフォンで現在時刻を確認する


19:02


実際のところあの会社がどういう気持ちで自分を内定取り消しにしたのかはわからない、けどこの会社を憎むのも筋違いというのもわかっているがもやもやとした気持ちはどうしたものかと


「・・・はぁ・・・今日はやけ酒だな」






「ただいま・・・」


「お帰り、レイ・・・そのお酒はどうしたの?明日入社式なんでしょ?そんなに飲んで大丈夫なの?」


「大丈夫だよ・・・内定取り消しだってさ」


「・・・え」


「ごめんね母さん、今は人と話せる気分じゃないから」


「ちょ、っちょっと!」



自室に戻り地べたに座りながらアルコール9%の缶を開ける


カシュッ、むなしい缶の空いた音だけが部屋に響く


昔からいろいろと自分は負け続けた、小学生の時の運動会、徒競走で転んでビリ

中学生の時はテストでは必死に努力しても中の下、当時恋心を抱いていた女性に告白したら遠回りに断られ次の日には別の男と仲良くしている所を見つけた時にはマジで死にそうになった


高校の時もそうだ、バイト中の同僚のミスを擦り付けられクビ、それを何回も経験してきた。


そして大学生、学祭でもさんざんだった・・・その影響で日々の生活にも影響が出てたっけかな


「敗北者・・・か」

確かに敗北者のような人生を歩んできた、否定できない要素を含みすぎたこの言葉、常に周りの人間から敗北者と罵られ、自分でも敗北者としての枷を受けながら生活していた。



2缶目を開ける


中学時代の好きな人から陰でバカにされていると知った時も死にそうになった、辛かった


それから数日してなぜか自分の父親ほどの年齢の男とパパ活しているという噂が流れ消えたっけかな、ついでに学校の教師も消えていた、そのあとはいろいろなうわさが流れたっけ


3缶目を開けた


アルバイトのミスを擦り付けてきた同僚も数日後その同僚も首になってたっけ、未成年のバイトに手を出していたのが店長にバレてクビになってたっけ、懐かしいな


四缶目を開ける


色々あったな、いろいろありすぎて思い出せないや



5缶、6缶と開けていくうちに意識がゆらりゆらりと揺れていく


瞼が少しずつ重くなっていく


このまま眠りに付いちゃおう、明日からのことは明日考えよう






ぐぅ・・・





次、目を覚ました時には








「あうぁあ」


赤ん坊になってたんだけど、なんで?

宮本礼


22歳、童貞


死因

やけ酒により嘔吐、喉につまり窒息

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