表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ウサギ紳士と自分アレルギー

作者: みずぶくれ

ある日、お日様がぴかぴかでお空も澄んだ海のような日のことです。

上品なリンゴが沢山実った木の下で、これまた上品なウサギの紳士が胸を押さえてうずくまっていました。

そこへ一匹のカメのお嬢さんが通りかかったので、ウサギの紳士はカメのお嬢さんを呼び止めました。


「すみません、もし、そこの人、僕、とても動けなくて、僕、大変申し訳ないのですが、僕のカバンから薬とお水を取り出してはくれませんか。アレルギーの薬があるのです」


「まあ、それはおこまりね」


カメのお嬢さんはウサギの紳士のカバンから綺麗な瓶に入ったお薬と、かわいい水筒を取り出して、そっとウサギの紳士に飲ませてあげました。


「ごくごく、ふうふう…落ち着きました。ありがとう、親切なお嬢さん」


「いいえ、いいのよ。

ところであなたは何のアレルギーをお持ちなの?もしかしてリンゴアレルギーかしら?」


「いえ、リンゴは大好物です。

僕のアレルギーはですね…僕の名前はマカロと言うのですが、マカロアレルギーというアレルギーなんです。

ええ、僕が僕のアレルギーなんです。」


「僕の、マカロの発生が多いと身体中がかぶれて、とてもじゃないけど動けないんです。

マカロは鏡を見ている時や、だれかとお話している時にふと発生するのです。

特に湿気てる時期や天気のよくない日は何にもなくても僕の周りをぐるっと一周、ふわふわぽわぽわ舞っているみたいです。そうすると、お恥ずかしながら、先ほどみたいに薬を飲むヒマもなく、かぶれて動けなくなってしまうんです」

「ええ、ええ。

科学的にようく調べてみたいのですが、何せ僕の周囲にしか発生しない物質なので…。

調べようと思ったら、きっと高い顕微鏡や、平たいガラスをたくさん買ったり、りっぱな博士を雇ったりしなければなりません。いやはや」


「けれど今日はこんなに良い天気なのに…なぜでしょうなあ。

でも兎にも角にも予防予防。

ありがとうございました、また御縁があれば会いましょう」


ウサギの紳士は鞄からマスクを取り出して、上品にぺこりと頭を下げて、その場から立ち去りました。


「ウサギさんのお耳は高い位置に付いているから、マスクをつけるのが大変そうね」


カメのお嬢さんはぽつりとつぶやきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ