女性を痴漢から守るには?
この小説は、一話完結を目指します。
自分が疑問に思うことを社会に考えさせるために、様々意見や多角的な視点で様々なキャラクター達が代弁する小説です。
完全に社会風刺と言っても過言ではありません。
今後、物語形式にしますが単話だけでは物語形式ではありません。
感想や意見をお待ちしております。
午前中で終わった仕事のあと、お茶をしたくていつもは行かないところをウロウロしていたら、古民家カフェっぽいところがあった。立て看板もあったが、雰囲気がいいので見ずに入店した。
ガラスの引き戸を開けると、中にもう一つ引き戸があった。雰囲気は、予想通りでもう一つの引き戸も開く。
「こんにちは」
中から店員らしき人が近づいてきた。
「初めての方でいらっしゃいますね。では、ご説明いたします」
店員は、引き戸の近くに本来ならレジが置いたあるような台のところに立ち冊子のようなものを出した。
「ここはしゃべり場と言って、社会のあり方や哲学などジャンルを問わずバックグラウンドの違う方とお茶をしながら、話し合い考える場でございます。本日は、"女性を痴漢から守るには?”というテーマでしゃべり場が開かれます」
私が思っていたカフェとは全然違ったが、先に来ている客の目や店員の話を止めるほどの勇気がなくそのまま聞く羽目になる。
店員がめくる冊子には、可愛らしい絵本のような絵で図解されていた。
「ドリンクだけ、またはお菓子だけ、セットや参加料だけというのも可能ですがいかがなさいますか?」
本日のケーキという欄には、私の好きなチーズケーキがあったのでとりあえず帰らないことにした。
「本日のお菓子のドリンクセットで…コーヒーでお願いします」
「かしこまりました。コーヒーにミルクはおつけしますか?」
「大丈夫です」
「では、ネームプレートにこのように呼んでほしい名前を書いてお席でお待ちください」
店員は、三角形のネームプレートとペンを渡し大きなテーブルの席へと案内した。
普通、ミルクを注文の時に聞くっけ?
私はネームプレートに大きく自分の苗字を書き。席に座った。既に人は、こんな時間帯なのに二人ほど座っていた。一人は、30代前半のナチュラルな服を来た女の人。もう一人は、多分大学生の男の子。
「こんにちは」
二人は話を中断し私に挨拶して来た。
「こんにちは」
軽く返して女の人の隣に座った。
「初めてで全然わからないんですがど、ここってどんなところなんですか?」
「コサイの話に付け加えるなら、お茶をしながら議論する場ですかね」
「そうそう、コサイちゃんの出すテーマを議論して答えを模索するの。知らない人たちと」
「もちろん、口喧嘩になっちゃう時もあるんですけどね」
誰だ、コサイって?しかも、口喧嘩になるのか…。やっぱし、やめといた方が良かったかな。
「遅くなりました、チーズケーキとコーヒーです」
店員が運んできてくれた。美味しそうだ。
「では、始めましょうか」
そう言って店員は、しゃべり場の10個のルールという大きな布が束ねられたものが吊るされていた。
「初めての方もいらっしゃるので、しゃべり場の10個のルールをご説明いたします。」
10個って結構あるな。私はケーキに手を伸ばした。
「1つ目、他人の発言をさえぎらない」
当たり前だろ。ケーキは案外美味しい。
「2つ目、話すときは、だらだらとしゃべらない」
あんまり聞いたことないな。でも、そういうやついるからいいかも。私は、コーヒーをすすった。こちらも、美味しい。
「3つ目、話すときに、怒ったり泣いたりしない」
そういうやつ、うざいよね。
「4つ目、わからないことがあったら、すぐに質問する」
えっ、聞かないやつとかいるんだ。
「5つ目、話を聞くときは、話している人の目を見る」
うわぁ、見られる側ちょっと恥ずかしいかも。
「6つ目、話を聞くときは、他のことをしない」
携帯もダメなのか。
「7つ目、最後まで、きちんと話を聞く」
ちょっと、長いな。
「8つ目、議論が台無しになるようなことを言わない」
ケーキは、美味しいけど。私は、二口目にを口に運んだ。
「9つ目、どのような意見であっても、間違いと決めつけない」
なんか、子どもっぽいな。
「10つ目、議論が終わったら、議論の内容の話はしない」
これは、ちょっと困るかも。
「以上の10個です。このルールを守らないとしゃべり場は成り立ちませんのでよろしくお願いします」
このケーキ美味しいわ。
店員は、ホワイトボードをガラガラと引いて私たちが座る高めの机の横に置いた。ホワイトボードには、大きく"女性を痴漢から守るには?"と書いてあった。店員もネームプレートを置くと席に座った。店員のネームプレートにコサイと書いてあった。
私は、この人がコサイかと思った。
ヤノ「では、あたしから。女性専用車両では拉致があかないので、女性のみ電車と男性のみ電車を作るのはどうでしょうか?」
ミヤワキ「それは、色々…遅刻しそうな時とか。田舎とかは大分困りません?ヤノさん」
ヤノ「冗談よ。冗談。でも、面白い案でしょ」
ミヤワキ「まぁ、面白い案ではありますが…」
コサイ「自分は、女子高生のスカートの短さをどうにかすべきだと思います。あれじゃ、痴漢してくださいって言ってるもんじゃないですか」
サガ「それ、私もそう思います。でも、足長に見せたいって誰でもあるじゃないですか」
ヤノ「あたしも、パンツ見えそうなぐらい短くしてたよ、昔」
ミヤワキ「僕としては、あれでされても仕方ないって思いますけどね」
ヤノ「貴重な男性意見よ、宮脇」
コサイ「やっぱり、予防は意味ないですかね」
ミヤワキ「コサイの言う通り、予防は重要だと思いますよ僕も。衝動にはかられないですし、物理的な長さがそもそもその気にさせませんから」
ヤノ「あたし、今思ったんだけどスカートとズボンを比べるとお尻とかのラインはスカートの方が出ないわね」
サガ 「確かに。でも、痴漢の対象ってお尻だけじゃなくて胸もじゃないですか?」
コサイ 「胸まで考えてなかった」
ーーー沈黙
ミヤワキ 「それに最近男性器を女性の身体に押し付けて満足するっていうのもありますしね」
コサイ 「それは、リュックを背負えばいいんじゃない?」
ヤノ 「邪魔だなその人」
コサイ 「そうですけど、前にもリュック背負えば胸もお尻もガードできるかも」
ミヤワキ 「前ぐらい両手開いてれば塞がるでしょ。しかも前からやらなくないですか?見えるし」
コサイ 「確かに…」
サガ 「それなら、扉のところとか座席の一番端っことかに立ってお尻を防げばいいんじゃないですか?一番いいのは座るのですけど。そうすれば、好きな服着れますし」
ヤノ 「その考え超イイじゃん」
ミヤワキ 「女性専用車両廃止できるし、僕も1号車に乗れる。それに僕、思うんですが女性専用車両作るんだったら男性専用車両も作って欲しいですよホント」
コサイ 「自分もそれ男女差別に入ると思うんでよね。男の人たちも、1号車両に乗りたいって絶対思ってると思いますし」
ミヤワキ 「それもありますけど、どちらかというと痴漢の冤罪を根本から防ぎたいてのもありますよ」
サガ 「それこの前ニュースで見ました。冤罪なのに拘留されて、冤罪を証明できても会社クビになる可能性あるやつですよね」
ヤノ 「でも冤罪証明するのすごく難しいってテレビでやってたわ」
コサイ 「演技する人もいますしね」
ミヤワキ 「僕も、通勤ラッシュとか女性隣に来たら携帯とつり革の二刀流しますよ」
サガ 「男性も大変ですね」
ーーー沈黙
コサイ 「お互いのためにも抑止力として、監視カメラの普及が重要ですね」
ミヤワキ 「電車以外ももちろんバスにもですね。ホント、究極お金があれば全部タクシー移動がいいですけど」
ヤノ 「それ言ったら終わりよ」
コサイ 「では、この辺で内容が煮詰まったのでお開きと行きましょう。今回のテーマ"女性を痴漢から守るには?"での案として、“できれば壁側にお尻を向ける。座れればなおよし。"でよろしいですかね」
サガ 「それなら、簡単にできますしね。運がないとダメですけど…」
ミヤワキ 「僕は、女性に壁と座席を譲る努力をしようかな」
コサイ 「では、これで今回のテーマは終わりにします。この後、残って違う話をする方は、引き続きどうぞ」
コサイという店員は、そういう自分のケーキとドリンクを片付けて席を降りた。
気づいたら時間はすでに、1時間半ぐらい経っていた。色々な意見が聞けてとても楽しかった。
ミヤワキとヤノも席を降りて会計をしていた。私もその列に並ぶ。
「ありがとうございました。サガのお会計は、700円になります」
呼び捨て。確かにネームプレートには、サガしか書いてないけど…。
「あの、とっても楽しかったです。知らない人たちと話すの」
私は、お金を財布から出した。
「また、いつでもいらしてください。同じメンバーというのは、そう簡単にはありませんが。ホームページもありますのでよかったら」
そう言って、コサイは名刺サイズの紙を渡して来た。
「ありがとうございます」
そう言って、私はガラス戸を開けて店内を後にした。
最後までお読みくださってありがとうございます。
考えて欲しいテーマがありましたら、是非ご提案お願いします。
では、また