でも少し――――わくわくしてる自分がいる
〈エルダー・テイル〉ってオンラインゲームに出会ったのはそう昔ではない。だからと言って最近って訳でもない。始めた理由もいかにも普通で、友達が始めたからだ。対して面白くもないだろ?運命的~とか必然的~とかそんな感じじゃない。ただ、なんとなく始めただけだった。
まぁ、今までやってきたゲームの中では今もなお続けていて、一番長続きだろう。世界観、リアルなNPC、ストーリー、それら全部が楽しかった。課金もそこそこする位はハマっていた。
後・・・何度かゲームの中に入ってみたいなぁ~。なんて、今思えば頭の頭痛が痛くなる様な話だけど。
やっぱり・・・ ・・・ ・・・ ・・・冗談でも考えるものじゃないな―――――――――――――
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ツンっと鼻の奥にヒリヒリと、例えて言うなら冬の空気みたいな感じが僕を襲った。エアコンの効いた部屋のくぐもった生暖かい匂いからの急激な変化で、まるで遠足に行ったかの様な匂いの中、目頭を押さえて、ブラインドが掛かっている様な、ブラウン管テレビの砂嵐の様な風景から一転、そこは外だった。
いやいやいや!言葉が少なすぎる!ええと・・・そう!野原!いや、建物あるし・・・草原?え?家の外ってビルとかマンションとかで埋め尽くされてて、こんなに草木はねぇよ!しかも、建物が古風。中世ヨーロッパ?みたいな感じ。え?確かに家でエルダー・テイルやろうと・・・ん?
「あそこの建物・・・宿屋?それに、あれ?見覚えがあ「どうなってんだよッッ!!!?」
急に後ろから聞こえた怒鳴り声で首がいたくなる程に急カーブ。くきゃって逝った。やばい。痛い。
そんな事をやっているうちに、不意に違和感を覚えた。あれ?自分以外にも人が、なんであの人兵士みたいな装いを?
僕の思考回路はもっとも非科学的な、ありえない、考えたくなかった事にたどり着いた。
「これ・・・エルダーテイルだ・・・」
誰に聞こえるでもなく、僕こと、PC名【ライト・ζ】の呟きは空を切った。