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0.はじめに

 〈設定は楽しい〉


 そう思いませんか?

 私はそう思います。


 ファンタジー、SF、ホラーなどなど。物語を作りたいならジャンルを問わず、設定という作業が欠かせません。それは知識と想像力を駆使して、存在しないものを一から作り上げていく行程です。

 その大半は実に地味で根気のいる作業ですが、にもかかわらず楽しい。きっとそう思えるのは、作者が想像の世界で遊べる時間であるからだと、私は思っています。


 名作「ドラえもん」の映画主題歌「ポケットの中に」に次のような歌詞があります。


 ”ポケットの中にも空が広がり、ポケットの中にも雲が流れる

  こんな素敵な世界があるんだよ

  僕と君が旅する世界”


 空想の化身が子供たちに語りかける歌詞なのですが、私は設定というプロセスについて注目するとき、こんなふうに言いかえて考えます。

 

 〈ボク(作者)キミ(読者)が旅する世界〉

 

 つまり作者は、読者を自分のポケットの中にある〈素敵な世界〉へ誘うために設定を作るのだろうと。

 自らのポケット、つまり頭の中のもの全てを駆使して空を広げ雲を流す。そんな作業が楽しくないわけがないじゃありませんか。


 さて、小説は大なり小なり筋書き(ストーリー)を持っています。


 それを旅行だと考えると、ルートの決められたツアーであると考えていいでしょう。ツアーを企画するなら下見が大事です。添乗員は前もって現地を歩き、観光客が不快な思いをしないように段取りを付けますよね? 同じように物語の添乗員である作者も下見に気を使い、よい読書になるように設定を巡らせるわけです。


 ただし設定作業は、ときに旅行の下見より困難になることがあります。


 なにせ旅先は自分の想像の世界ですから、あらかじめ出来上がったものなんて何一つありません。宿に着いてみたらスイートルームが白い箱だった、というのもよくある話です。少なくとも私はそうです。


 もし本番のツアーでこんな事になったらさあ大変。大急ぎで壁紙を貼り家具を据え、窓を開けて外の風景を描かなければ。

 これを執筆に直すと、引っかかったシーンで手を止めて、資料と原稿用紙を行ったり来たりする羽目になります。執筆の時間が削られますし、凡ミスや不整合が出てくるかもしれません。


 そんなことがないように、設定という下見が必要になるわけです。

 あらかじめ宿を巡って部屋を予約する。つまり下見で目につく要素を上げて潰していく作業こそが設定であり、その積み重ねが〈素敵な世界〉だと私は思います。


 設定を始める前はどんな世界も真っ白です。どこから手を付けていいか戸惑い、設定の中で迷子になる方もいるでしょう。しかし真っ白な世界であっても、そこはすでに作者の想像の中です。色が乗っていないだけで、全てのものはすでにそこにあります。手探りのコツ、下見の要領さえ掴んでおけば、迷子になる原因はそう多くありません。


 このエッセイシリーズでは「設定が趣味」と言いきる私、じんべい・ふみあきが、設定を作るにあたって気をつけていること、考えていることなどを紹介していきます。とはいえダラダラ書いても締まりがないので、各節ごとに10問、10節で計100問の問いかけと回答という形で進めます。

 もちろん参考にしてもらおうとか、これでないとダメだとか言うつもりは全くありません。

 あくまでも、私ならこうする、というネタばらしのようなものです。


 前半は「設定、起承転結」として作業の流れ別に、後半は「ケーススタディ6」として部分別に要素を押さえていく予定です。


 それでは改めて、下見の下見にようこそ。

 100問で〈異〉世界を作っていきましょう。

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