仲間
01
「なんだそいつ」
「新しいパイロットの葉山千尋くんだよ」
「あ、よろしくお願いします」
「そうか」
褐色の眼鏡をかけた女
服装はパンツスーツ
手には見たことのない銃を持っていた
第一印象としてはクール?な物静かな人だった
僕は基本第一印象がいい人は後々悪く、悪い人は良くなる傾向にあるから信用ならないけど
「彼女はノルド・M・シュトラーゼ。彼女は左側のセフィラに乗ってもらってる」
「はあ…」
「因みにこれが彼女の機体だよ」
渡された写真には顔がヘルメットの様なもので覆われていて顔が確認できなかった
色としては黄と白で、僕の紅白の赤の部分が黄色にかわっているだけだった
「ノルドさんは黄色なんですね」
「君のもあとでみるといい。赤は単なる基礎色だ。君のも赤の部分が他の色に変化しているよ」
「え?!そうなんですか?!」
めでたい紅白だったので他の色に変わってるとか残念
けどフルフェイスヘルメットだな
見にくくないのかな
「ノルドさんはこの機体で見にくくないんですか?」
「少しは見にくい。だからこうやってその視界を再現した眼鏡をつけているんだ」
「え?目が悪いんじゃないんですか?」
「普段は外しているが訓練中は視界再現の為つけているんだ」
「そう…なんですか…」
色々工夫してるんだな
僕もそうゆうのやったほうがいいのかな
バイザーで目を覆われているから見にくいと思うし
「そろそろ休憩終了時間だね。もう1人呼んでくるから、ここにいてくれ」
「あ、はい」
「分かった」
山田さんはもう1人を呼んでくるのかエレベーターに乗り上に向かった
ノルドさんは銃を置いてこっちを向いていた
02
「あの、聞きたい事があるんですけど」
「なんだ」
「その銃…見た事ないんですけど」
「これは戦闘で使うセフィラの武器を真似したものだ。反動も再現してある」
「はあ…パイロットはこれで練習してるんですね」
「いや。今の所私だけだ」
「え?」
パイロットは2人いるんだからもう1人は練習しないのか?
それとも銃を使わないだけなのか
「誤解ない様に言っておくが銃を…というより我々が使う武器を使わないんだ彼女は」
「どういう事ですかそれ?」
「彼女の乗るセフィラはオリジナルだからな。我々の乗る量産機とは色々と違うのだ」
オリジナルと量産機には差があるのはわかるけど色々と違う?
どういう事なんだ?
何か特別な力があるのか?
「それはどういう事なんですか?」
「人知の及ぶところではないという事だ。あとは戦闘で見ろ」
人知の及ぶところではない
なんか超人的な力ってこうなんだろうか
戦闘映像とか残ってないのかな
03
「お前のセフィラの名前は?」
「え?イェソドですけど」
「イェソドか。そうか」
「?ノルドさんは?」
「私はティファレトだ」
「ティファレト…あの!もう1ついいですか!」
「なんだ」
セフィラの中にいた何か
もう1人の僕とかいうあいつ
山田さんにははぐらかされた
なら同じパイロットに聞くしかない
「あのセフィラの中にいるあいつはなんですか?!」
「知らんな」
「し、知らんなって…知りたくないんですか!?」
「私はあいつらを倒せればいい」
「そんな…何かあったんですか?」
「別に。ただ喧嘩を売られたんだ。なら降伏しようが何しようが全滅させる。それが人類に喧嘩を売った代償だ」
そんな淡々と言えるんだ
なんでそんな乱暴な考え方なんだ
確かにやられたらやり返すのは必要だけど度が過ぎてる
全滅させなくても…
「なんで…それに自分が乗るやつの事知りたくないんですか!?」
「動くなら必要ない。力が手に入ればいいんだ」
「その力も間違ってますよ。全滅なんて」
「間違ってる?私は人類を守ろうとしているんだ。何が間違ってる」
「そうですけど…やり過ぎはダメですよ!」
「やり過ぎなのは君もそうだろう」
「ど、どういう事ですか?」
「ここに集められるパイロットは、基本なにかの部分が他人より過ぎてるんだ。何事もやり過ぎれば悪になる事を忘れるな」
つまりここに集められるやつらはやり過ぎた奴らって事か?
「僕は何もやり過ぎてはいない!」
「自分の事は自分ではあまりわからないものだ。お前自身が普通だと思っていても他人からは異常なんて事はよくある。人なんてそれぞれ違うのだから、常識か価値観もそれぞれ異なる」
「それはわかっていますけど!」
「理解できないんだろ。それが人さ」
なんでそんな冷静に言えるんだ
確かに冷静を心がけたがここまでに行くのに何年かかるんだ
けどこの人の言う事はやり過ぎだ
「でも全滅はダメですよ!ちゃんと話さないと!」
「話しで終わるなら最初からそうしている」
「それは極論ですよ!おかしいですよ!」
「私は君の方がおかしいと思うがな。君の価値観を押し付けないでくれ」
「あなたは…」
「…」
やっぱり第一印象がいい人は今後の印象が悪くなる
けどここまで悪くなるのは初めてだ…
こんなに怒っているのにまるで相手にしてない冷静な感じ
尊敬するところではあるけど今は怒りを増すばかりだ
「あなたって人は…」
「はい。そこまで。ノルドさんも千尋くんの言う事も正しいよ」
エレベーターのドアが空いてそこにいたのは山田さんと1人の女の人だった
04
「2人の言っている事はどっちも正しいよ。正しいからこそ争いが起きるの。だからここまで。2人とも人に押し付けたらダメだよ」
優しい声の女の子
女というよりまだ幼さが残る女の子
髪は肩まである優しい顔つき
膝まであるスカートと制服のようなブレザー
また第一印象の良さそうな人か
「それにしてもノルドさんがこんなにヒートアップするの久しぶりだね」
「…そうだな」
「あれでヒートアップしてたんですか?!」
「うん。顔はいつもむすっとしてるから分かりにくいけど、基本こういう事になりそうな時はどうでもいいと流すから言い争いになる事自体珍しいんですよ」
「ふん」
女の子に説明されるとノルドさんは不貞腐れた様にまた銃を撃ち始めた
分かりにくい
だけどちょっとペースを崩せた事嬉しいな
「葉山千尋くんだよね?」
「あ、はい」
「私は岡部静。真ん中のセフィラ、ネツァクに乗っているの」
そう自己紹介して笑顔を浮かべながら握手をした
この人がオリジナルの搭乗者
どうしたらみんなに興味を持ってもらえる作品をつくれるんだろう
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