遭遇
01
いきなり光に包まれたが特に何も感じる事はなかった
よく暖かいとかいうがそんな事はなかった
さっきとは違う感触が足の裏に当たったので目を開けてみるとさっきとは違う所にいた
床は薄く水が張っている
靴の中まで水が入る様な深さではない
3メートルほど前には椅子が置いてある
その椅子は上からスポットライトに照らされている様に光が当てられており、不気味だ
椅子は足や腕を固定する様にできており、よく見ると体を固定するベルトもついていた
ここに座って、この薬を飲めばいいのか?
02
椅子に座ると思ったよりも柔らかく、ふかふかしていた
4点式ベルトをつけ、足もマッサージチェアの様なはめる所にはめた
薬を一錠飲み、腕を肘掛の筒の様な所に入れた所で眠気が襲ってきた
「(一錠でこんな早く効くのか…。これは3錠なんて飲んだら本当に死ぬな…)」
眠気に逆らう様な事はせず、僕は瞼を閉じた
03
どのくらいたったか分からないが夢を見ている様な不安定な感覚になった
(君か…今度の私は)
今度の私?
なんの事だ
と言うか誰だ?
(その前に目を開けるといい。寝ているのに目を開けるとは少し可笑しいがね)
「世の中には目を開けて寝るという特技を持っている人がいるんだから可笑しいとは思わないけどね」
目を開けると周りの景色はさっきまでの水が張った暗い空間ではなく、星空が見えていた
それに足元は砂の様なものだ
そしてさっきから話しかけているやつ
鏡の中の僕がいた
「ここは…それに僕!?」
(私は君ではない。ここはあれを見ればわかるかな?ここはちゃんと実在しているものを再現したものだ)
あれ?何を言ってるんだ?
と指をさす方を見れば僕達が住んでいる星、地球が見えた
地球が見えて実在している場所といば…
「つ…き?」
(正解だ。そして私は君の乗っているものだ)
乗っているもの
つまり僕乗る事になっていた
ますます分からないぞ、こいつ
「セフィラ…という事か」
(それは俗称というものだ。私はイェソド)
「イェソド…基礎、根源か。人の姿を使って大層な事を言うな」
(よく知っている。が…君はまだ本当の事を知らないな)
本当の事?
どういう事だ?
(私は君だよ)
「なんだよそれ!意味わかんないよ!ちゃんと説明しろよ!」
(そんな興奮するな。体が起きてしまうだろう。そうだな私はもう1人の君さ)
「だから!どういう」
04
「意味なんだよ!」
怒鳴るとそこは水が張った暗い空間だった
僕は確か…イェソドに何か言おうと…
あ!
【そんな興奮するな。体が起きてしまうだろう】
…怒鳴ろうとしたから起きちゃったのか
面倒な事だ
今度話す時は眠りから起きない様に話さなきゃいけないなんて
「というかどうやって出るの」
入り口らしきものも見えない
出るところも見えない
出れない
「おいおい!閉じ込められたのか!おーい!山田さん!出してくれ!」
05
「おや?君に出かた教えてなかったから心配したが無駄だった様だね」
「お陰様でお尻が割れました」
「元から割れているだろう」
出れた
けどあそこにいた体制からそのまま出るのか、座った状態だったから思いっきり尻を強打した
その場面を山田さんに見られた照れ隠しと出かたを教えてくれなかった仕返しとして皮肉で返したがスルーされた
「今度から出たいと強く思うか出ると言えば出れるから」
「先に言ってください」
「申し訳ないね。で、どうだった?」
「…聞きたい事ができました」
「何かな?」
「イェソドが言ってたんですが、自分の事をもう1人の僕って言ってたんですけど」
「…へぇ。君がイェソドか…」
僕がこの質問をするといつもの胡散臭い笑みを崩し真顔になった
何か気になる事でもあるのか手を組み僕を見ていたが、少しするといつもの胡散臭い笑みを浮かべていた
「なに、これから君の意識があれを動かすんだからもう1人の僕って言ったんじゃないのかい」
「…意識がないんじゃないんですかあれには。なのに何かいた」
「それは君の夢だろう。ただ夢は馬鹿にできないからね。あの機体はイェソドという名前にしよう。それに違ったとしても、まだわからない事が多くてね。はっきり言えないんだよ」
これは僕でもわかった
なにか誤魔化している
けどこの人の事だ
絶対はぐらかされる
なら僕以外にも同じ境遇の人に聞けばいい
「…僕以外にもパイロットはいるんですよね?会えますか?」
「ん?ああ。元々会わせるつもりだったから丁度いい。案内するよ。ついてきてくれ」
今度はイェソドにちゃんと起きずに聞くために冷静に相手と話をする様にしよう
そうすればわかるはずだ
06
山田さんと一緒にエレベーターに乗って地下1階に向かう
「今、他の人はなにしてるんですか?」
「今は銃火器の訓練中だよ。1人は」
「1人は?もう1人は?」
さっきのセフィラが3体あったからパイロットは僕とあとは2人と思うけど
「もう1人は部屋で休憩中だよ」
「どんな人なんですか?」
「休憩中の人は会えばわかるよ。今から会う人は会えばわかるよ」
笑みを浮かべながら答えてない
なに1つわからない
なんなんだこの人
「さ、ついたよ」
「はあ…」
「おーい。ノルド!いいかい?」
「ああ。ん?なんだそいつ」
ドアが空いたところにいたのは褐色の眼鏡をかけた女の人でした