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短編集

幸せのカタチ

作者: mint

ー…もうこんな時間

仕事終わりの夕方、というかもう夜。辺りはすっかり暗くなっていて、街灯が明るく照らしてくれている。

ただいまーと家の電気を点けて、直行したのは台所。

自分の事より先にやらないといけない事がある。


色んな事があったな、と野菜を切りながらぼんやりと思う。

親元を離れたのが10年くらい前で、その間は一人暮らし。家族が一緒だった時間にもう少しで届く所。

一人暮らしは寂しさもあったけれど、楽しんだ気がする。友達と時間に縛られる事なく遊ぶ事も出来るし。

ただ、ただいまやおはようを言う相手が居ないだけだと思っていたけれど。違ったなというのが今の正直な感想。


一人暮らしに終止符を打ったのはほんの1年前。

フライパンの中のオカズを炒めながらぼんやりと思う。これを毎日お母さんはたくさん作っていたのかと。

朝、お弁当、夜ご飯。なんなら夜食も作ってくれたっけ。

仕事をお母さんはしてなかったわけじゃないから、とても大変だっただろうに、そんな事は一言も言わなかった。

ーー親って偉大だ…

今はたった2人分だけど、仕事をしてからだとやはりしんどい。

ちょっとは手伝ってって文句も言いたくなるけど、でも何も言わずにお風呂を入れてくれたりすると嬉しくなって、文句はどっかに飛んでいく。


火を止めてお皿に盛り付けてちょっといい感じ。

一人でうんうん頷いてみたりして。

そのうちご飯が炊けたから、あとはお味噌汁かなって。思っていると着信音が鳴る。

ワンコールで切れるそれは駅に着いたの合図。

冷蔵庫の中のサラダを出して、お味噌汁を作り始める。丁度いいタイミングだ。

そんな小さな所に満足感と幸せを噛みしめる。


一人暮らしの時は適当にしていたことも、誰かが一緒に居てくれるなら頑張れることが、思っていたよりも多いことに気づいた。

火を止めてお味噌をといていると、玄関から物音が。

自然、口元が緩む。

こんな感情は一人暮らしでは味わえないものだ。

かけがえのない小さな幸せ。


バタン

「ただいまー」

「おかえりー」


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