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No,0032 音
『人を殺す事は簡単だ。』
引き金を引けば死ぬのだから。
だけど、それを行うのは一片の迷いも無く引き金を引く機械ではなく下らない情に流される人間だ。
完璧な人間なんていない。だからこそ人なのだ。
そう、俺だって人間だ。
だけど、躊躇無く人を殺した。
別に悪い事じゃない、相手が死ななければならないからだ。
行き過ぎた正義は悪になる。
なぜババァが正義なのか?
それは、ある事実を知っているからだ。普通では絶対に知る事が出来ないはず、いや、はずだった事実を知ってしまう。その真実を知れば、“ある事”を成し遂げられるのだ。
だけど、そんな事はさせられない。俺が、悪だからなどという事ではなく、セカイを壊したくないからだ。
あいつは、本気でその事をやろうとしていた。
だから、殺したんだ。
“あの事”は禁忌だ。
天使、それは“僕”だ。
“僕”がいるのなら、“主人”もいる。
神という名の“主人”が