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【吾輩はマイケル富岡である。】

作者: 虫松

この物語は、フィクションです。実際の出来事や人物とは関係ありません。仮想の日記の雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。


挿絵(By みてみん)


吾輩は猫である。名前はマイケル富岡。なぜそんな名前になったのか、これは非常に不思議なことである。


この名前をつけられた日から、吾輩は人間たちの奇妙な行動を観察している。彼らは朝から晩まで忙しく動き回り、時には吾輩の頭上で奇声を発する。彼らが何をそんなに急いでいるのか、吾輩にはさっぱりわからない。


ある日、吾輩は主が「ズーム」という言葉を連呼しながら、箱の中に閉じ込められた小さな人間たちと話しているのを見た。彼らは時々笑い、時々怒り、そして時々はただ無表情で画面を見つめている。これが人間たちの「仕事」というものらしいが、吾輩にはただの不思議な儀式にしか見えない。


また、主は「インスタ」と呼ばれる行為に夢中になる。自分の顔を小さな板に向けて、何度も何度も撮影する。吾輩は主が自分の顔を忘れてしまうのではないかと心配になることがある。


そして、主は「インスタ映え」という奇妙な言葉を使って、食べ物を撮影する。吾輩には理解不能だ。食べ物は食べるためにあるのに、なぜか主はそれを眺めて喜ぶのだ。


夜になると、主は「ネットフリックス」という儀式に没頭する。画面から流れる光と音に魅入られ、時には笑い、時には涙する。吾輩はその光景を横目に、夜の静けさの中で自分の毛づくろいに集中する。


しかし、最も不思議なのは、主が吾輩の名前を呼ぶときだ。マイケル富岡と呼ばれると、なぜか心地よい。名前に込められた愛情を感じるのかもしれない。吾輩は猫であるが、この名前には特別な意味があるのだろう。


吾輩はマイケル富岡として、これからも人間たちの不思議な行動を観察し続ける。そしていつか、この名前の秘密を解き明かす日が来るのを楽しみにしている。


ある日、家の主が突然立ち上がり、「ダイエットを始めるぞー」と部屋の中で声を上げた。吾輩はその声に驚き、隅の方から様子を伺った。誰もいない部屋で、主人は一体誰に話しているのだろうか。


主は自分自身に向けて言葉を発していたようだ。彼は鏡の前に立ち、自分の体型をじっと見つめている。そして、何やら決意した表情で、腕を振りながら小走りを始めた。


吾輩はそんな主を不思議に思いながらも、彼の動きに興味を持ち始めた。主は時には床に寝転び、腹筋運動をしたり、時には壁に向かってスクワットをしたりしていた。それはまるで、踊りでも踊っているかのようだ。


「ダイエット」とは一体何なのか。吾輩には理解できないが、主にとっては重要なことのようだ。彼は汗を流しながらも、何かを成し遂げようとしている。その姿は、どこか頼もしくもあり、滑稽でもあった。


吾輩はマイケル富岡である。猫であるから、ダイエットの必要はない。しかし、この家での生活は、主のそんな一面を見ることができるから、退屈することはない。今日もまた、新たな発見があったのだ。


またある日に見知らぬ男が部屋にやってきた。彼は大きな鞄を持ち、靴を脱ぐなりソファにどっかりと腰を下ろした。吾輩はこの男が誰なのか、何の用事で来たのかを知らない。ただ、彼の持つ独特の匂いが、吾輩の好奇心を刺激する。


男は主と唇を合わせ腕を主の首に回し、何やら楽しげに話し始めた。彼の声は低く、時折笑い声を上げる。吾輩は隅の方からその様子をじっと観察していた。人間の交流は複雑で、吾輩には理解しがたい。


やがて男は鞄から奇妙な形の物体を取り出した。それは吾輩が見たこともないようなおもちゃだった。男はそれを主に見せ、二人はそれについて盛り上がっている。吾輩はそのおもちゃが気になり、近づいてみたくなった。


しかし、吾輩は猫である。人間の世界に踏み込むことは慎まなければならない。だから、吾輩は距離を保ちつつ、そのおもちゃの秘密を探ろうと思った。


見知らぬ男は夜遅くまで主と話し、そして去っていった。彼が残したおもちゃの謎は、吾輩の夢にまで現れそうだ。吾輩はマイケル富岡である。この部屋での生活は、毎日が新しい発見である。今日もまた、新たな謎が吾輩の前に現れたのだ。


その夜、吾輩は見知らぬ男が置いていったおもちゃのことで頭がいっぱいだった。翌朝、主が出勤すると、吾輩はそのおもちゃに近づいてみることにした。それは不思議な形をしており、吾輩の興味をそそる。


おもちゃにはボタンがついていて、押すと色とりどりの光が点滅し始めた。吾輩はその光に魅了され、おもちゃを前足で押してみた。すると、おもちゃは音楽を奏で始め、吾輩はそのリズムに合わせて体を揺らした。


音楽に合わせて踊るのは、これまでにない新しい体験だった。吾輩はおもちゃを追いかけて家中を駆け回り、楽しい時間を過ごした。そして、その日の夕方、主が帰宅すると、吾輩はおもちゃの魔法を主にも見せてあげた。


主は吾輩がおもちゃで遊んでいる姿を見て、大笑いした。そして、彼もまたおもちゃのボタンを押して、一緒に音楽に合わせて踊り始めた。吾輩と主は、そのおもちゃを通じて、新しい楽しみを共有することができたのだ。


吾輩はマイケル富岡である。猫であるが、この家での生活は、常に新しい発見と楽しみがある。そして、今日もまた、新たな物語が吾輩の前に広がっている。



挿絵(By みてみん)



【吾輩はマイケル富岡である。】 完

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