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クノテベス・サーガ  作者: 落花生
第ニ章 岩砂糖を入れた紅茶の味は苦い
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七十七話 紙吹雪


 起床。

 朝食の準備を手伝う。大勢いるので大変だ。

 フェンフェンは眠たそうしながら付いてきた。そして、今日もキッチンの近くの椅子でもう一度寝むり始めた。部屋で寝ていてくれてもいいのだけれど……。

 慣れない厨房なので苦労する。騎士さんとぶつかりそうになっ

た。


 お皿を並べていると、先生が起きてきた。

 昨日、街の偉い人たちが屋敷まで挨拶に来た。男爵邸に突入したこともあって、戦々恐々だったそうだ。先生は誤解を解くために、丁寧に挨拶することになった。

 そんな訳で、疲れが溜まっているのか、ご機嫌斜めだ。


 食事の前に、ヘルミンさんが先生の頭を撫でようとして怒られていた。反省していていない。まだ狙っている。

 

 食事中に連絡が来て、出発の時間を教えて貰った。

 冒険者は出発前にギルドに集合することになっている。

 私とヘルミンさんは、先生に雇われた冒険者の様な扱いになっていらしく、このまま先生たちと一緒に南門に行くみたい。

 

 朝食の片付けを終えて、身支度をする。後ろで応援する役だけれども、念のために皮鎧をがっつり着込んでおく。


 庭に出ると、騎士たちがウォーミンアップをしていた。

 混ざれる訳もないので、観戦する。フェンフェンも私の横に座って見ている。

 すると、ヘルミンさんがステッキを持って、騎士たちの所へ行った。

 マリアンヌさんの部隊は、ヘルミンさんを避けている。後から来た騎士と軽く試合をすることになった。

 ヘルミンさんがステッキをクルクルと回したり、謎のスライディンをすると、騎士たちが次々とひっくり返った。Bランクの実力がある部隊長まで手も足も出ない。

 ケガ人が出るとまずいので、先生が止めた。

 ヘルミンさんは、やはりAランク以上の実力があるのだろうか?

 正直、採掘場に行くのが怖いので、今は頼もしい。


 先生から、私にも何か街での成果を見せるよう言う。一応、"リラクゼーション"のスキルを新しく覚えている。

 楽器が使える面々で演奏することになった。

 私と先生はオカリナ、ヘルミンさんはドラムとラッパ、フェンフェンはタンバリン。騎士たちは、笛にヴァイオリン、トランペットなど。

 曲は「まもの割り戦士」だ。


 パンパカパッパッパー♪


 スキルの調子は上々。私のレパートリーが少ないので、早めに覚えないと。


 そうしていると、街の方から連絡が来た。トムさんから報告を受けた先生が苦い顔をしている。


「私と勇者様を、街の住人が総出で見送ってくれるらしいよ」


 思考が止まった。

 どういうこと?


「勇者なんて知らないって言っておいて」


 指示を受けたトムさんが、げんなりした顔で屋敷の外へ向かった。


「もう面倒くさいな!?」

「この街に行けと言ったのは先生でしょ。おかしなイベントばかり起きるのだから!?」

「むー! 冒険に行きたいなんて言うからだよ!」

「私は"ヒール"を使っただけですよ!?」

「キュゥン」


 フェンフェンがその件は自分が悪いと言っている。まだ気にしているみたい。慰めると調子に乗るので何も言わない。


 


 そうしている内に、出発の時刻が近づいてきた。

 私たちは屋敷を出る。


 大通りに出ると、人が大勢いた。

 見送りの人たちだ。恥ずかしいから止めてほしい。

 

 先生と騎士たちは慣れた調子で堂々と歩いて行く。

 私は騎士の中に隠れさせてもらった。

 何故か、ヘルミンさんも隠れる。両親に見つからないようにらしい。"遊びポイント"の稼ぎ処のはずなのに。




 南門に到着した。

 本当に、街の住人が総出で見送りしてくれたようだ。何もしていないのに疲れた。


 門の前には馬車が何台も止まっていて、先に屋敷を出た先生の騎士たちが準備をしていた。


 先生はまた挨拶回りだ。

 私にも挨拶したいという人たちもいるらしい。とりあえず、馬車の所に隠れているように言われた。


 じっとしていると、北側から大勢の声がする。冒険者たちが到着したようだ。

 援軍の中に素行の悪いパーティもいると聞いていた。騒動があると困るので、私は引き続き隠れる。


 しばらくすると、先生が戻ってきた。ドワーフたちと喧嘩したようだ。どちらも大人しく歩み寄ろうとしたら、派手にクラッシュした。よく分からないけれど、作戦には支障はないそうだ。


 出発の時間がきた。

 馬車が動き出す。隙間から覗くと、紙吹雪が舞っていた。

 前は、私は投げる側だった。みんなと投げられる側になりたいとか話してた。ついこの間の話なのに懐かしくなった。


 私は、特に成長はしていない。変な従魔の下僕になった。そして、魔女として地獄の悪魔を従えた。これで南方に行く資格を得たのだろうか?


 南方を見ると、晴れていた。逆に不気味だ。多くの魔物が待ち構えているに違いない。


「……クゥン」


 フェンフェンが嫌な予感がすると言う。

 私はこれが最後の戦いになる予感がする。

 そして、どうして私まで採掘場に向かっているか、物凄い後悔が始まった。

 今から戻るべきか?

 私は隣にいたヘルミンさんを見る。


「ふふふ、ワクワクしますね♪」


 満面の笑顔だ。

 もう、なるようになるさ……。


前回の監査官への対応が過剰だったので修正しました。


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