東エリア
翌日、アリスからお礼のメッセージが届く。
動画は編集を一切していない状態のものだったが全く問題ないとのこと。お気に入りの所をヘビロテして見ているらしい。おそらく白玉とあんこが映っている箇所だろう。
後日2匹の可愛さを語る長文メッセージが数回に分けて届いた時は面食らったが満足してるようなので良かった。
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今日は水場を探す予定だ。
白玉とあんこのおかげで料理が作れる位には様々な食材が手に入るようになってきた。
今のところ焼くことしかできないので、調理のバリエーションを増やしていきたい。
手っ取り早いのは水を使うことだ。
水があれば調理の幅が広がる。既に発見している海水は調理には向いていないので普通の水を見つけたい。
それに水は調理以外にも用途はたくさんあるし、水場の近くなら新たな食材や素材が見つかるかもしれない。
まず水場を探すにあたり改めてこの場所について整理する。
方角はわからないのでとりあえず大樹を島の中心としてとりあえず海がある場所を東とする。
地図がないのでなるべく自分がイメージしやすいように決める。
そうすると現在タカナシのいる拠点のある場所は東側となる。東エリアと仮称しておく。
そして以前出会ったエリアボス、タイラントベアとアーマードボア。タカナシはこのどちらかの縄張り内にいると思われる。
同じエリアに複数ボスがいるというのは聞いたことがないので、タカナシが目撃した場所の近くにきっと境界があるのだろう。
エリアボスについて考えておきたいことはあの2体の他にもいるのかということ。
流石に2体しかいないということはないと思う。
おそらく大樹を中心に東西南北1体ずつ配置されているのでないかと予想している。
肝心の探索だが現状は他のエリアに出ないようにして行動していくつもりだ。
ひとまず2体と出会った場所、大体北東辺りには立ち寄らないようにしよう。
エリアを越えようとしてエリアボスに遭遇する事態になるのは避けたい。安全を考えた上での判断だ。
今日は南東辺りで水場を探すつもりだ。
白玉とあんこを連れ拠点を出る。
2匹はまだ木の上での移動ができないので地上から探索だがそこまで危険はないだろう。
予想ではあるが大樹のある中央にいかなければ強いモンスターは現れないと思っている。
それでも油断は禁物なのでしっかり警戒しつつ進んでいく。
道中現れるモンスターのほとんどは島ネズミで時々島ウサギだ。
東エリアの主なモンスターなのか今のところこの2種類しか見ていない。他のエリアに行けば他のモンスターに出会えるのだろうか。
時折木の上から開けた場所はないか確認するが見当たらない。
まぁ今日一日で見つけられるとは思っていないので焦る必要はない。
「なー」
あんこが何か見つけたようだ。あんこの後に続き茂みの中を進む。茂みの先には川が流れていた。
川というには細く、正確には沢だと思うが水場には違いないので問題ない。
木々に隠れるようにか細く流れている為、上から探そうとしたら見つからなかっただろう。
幸運スキルのおかげなのか2匹に出会ってから良い事しか起こっていない気がする。
揺り戻しがないか不安になるが、今考えても仕方ない。やれることをやっていこう。
沢の規模は小さく魚はいないようだ。
周囲の警戒をしたが大丈夫そうなのでここに来た目的を済ませることにする。
それは土器作りだ。
水を持ち帰る為にも入れ物がないと話にならない。
現在タカナシには水を貯めておく道具がない。
時間をかければ木製の入れ物を作れるだろうがそこまで手間をかけたくない。
加工するための道具もナイフ位しかなく、正直他の物を用意したほうが早い。
完全ソロであればのんびりやってても良かったが白玉とあんこがいるので、早めにある程度の環境は整えておこうと思っている。
早速土器作りを始める。
粘土と砂を混ぜ形を整える。ひとまず壺と鍋を1つずつ作る。
寝かせる必要があるので一度インベントリにしまう。
仕上げなど後の作業は拠点に戻ってからだ。
見つけた沢の場所はしっかり記憶しておく。
白玉とあんこはタカナシが作業している間水辺で遊んでいて何か見つけたようだ。
こちらへ持ってきたのは小さなカニだった。
鑑定するとサワガニと表示される。食べられるようだ。拠点に戻ったら焼いて2匹にあげよう。
予想以上の収穫に満足しつつ拠点に戻るタカナシたち。
土器は数日寝かせる必要があるので地下に置いておく。
その後はおやつに焼いたサワガニを皆で食べログアウトした。