白玉とあんこ
見つけたのは白と黒の2匹の子猫。
2匹は寄り添うようにすやすやと眠っていた。
白猫の方を鑑定してみると、
????/ケット・シー
と表示される。黒猫も同様だ。
モンスターのマーカー表示がないので敵ではないと思うのだがどうするか悩んでいると、
「にゃあ」
白猫が目を覚ましこちらを見ていた。
「なー」
続くように黒猫も起き出す。
タカナシを見つめる2匹の子猫。ケット・シーと表示されているから同族だと思うが果たして仲間になってくれるのだろうか。
初めて遭遇したNPCなのでどう対処していいのかわからない。
とりあえずお近づきの印に野イチゴを差し出す。新しく見つけたもので既に試食して安全は確認している。
見た目は子猫だけどケット・シーだし多分食べられるだろう。現実とは違うからアレルギーとかないよな。
白猫は差し出された野イチゴの匂いをスンスンと嗅ぎ様子をみている。一方黒猫はためらいもなく食べ始める。
それを見た白猫も野イチゴを食べ始める。
あまり数がないこともあるが野イチゴはすぐになくなった。
「なー」
「ごめんそれだけしかないんだ」
もっと欲しいと黒猫にせがまれたが手持ちがないので謝罪する。
「にゃあ」
「なー」
タカナシに擦り寄る白猫と黒猫。ひとまず敵対することはなくなったとみていいだろう。
「君たちはどこから来たのかな?」
「?」
タカナシが尋ねる。しかし2匹は首をコテンと傾けるだけ。
「あー、もし行くところがないならウチに来るかい?」
「にゃあ」
「なー」
ついてくるか聞くと元気の良い返事が返ってきた。
アナウンスが鳴る。どうやら2匹はタカナシの眷属になったようだ。
テイムではないらしい。人外種族だからだろうか。ともかく仲間が増えたのは心強い。
2匹の名付けを求められ白猫を白玉、黒猫をあんこと名付けた。
あとは拠点に戻るだけなのだが、問題は2匹をどう連れて行くか。
拠点まではまだ距離がある。できれば地上で移動するより木の上での移動の方が危険が少ない。
しかし2匹はまだ子猫。生まれたてではないにしてもタカナシのように移動するのは難しいだろう。
考えた結果、タカナシは2匹を抱えて移動することに決めた。
前と後ろに一匹ずつ、抱っこ紐おんぶ紐の要領で縄で固定し運ぶことにした。
2匹は暴れることなく大人しくしている。そのためスムーズに拠点まで戻れた。
拠点に戻ると2匹に簡単な案内をする。特に拠点の有効範囲、安全地帯からは出ないよう注意する。
早めに拠点の境界が分かるように柵を作っておこう。
白玉とあんこはタカナシの言葉を理解しており、言葉は話せなくても意思疎通はきちんとできていた。
色々あったが無事帰ってこれたので良かった。
今日はもう疲れたのでログアウトしよう。
白玉とあんこもタカナシの後に続き、地下で3匹川の字になり眠る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【人外種族専用スレ】
〈スケルトン〉
眷属作れるのって種族によってまちまちなんスね。俺んとこは今のとこ駄目っス。
〈コボルト〉
報告見るとある程度の知能があるモンスターから眷属が出てくる感じですかね。
〈アンデッド〉
自分のところは知能どころか意思があるかも怪しいです。
〈ゴブリン〉
アンデッド系のモンスターだとそうなりますよね。ちなみに私のところは今5人です。
〈コボルト〉
ゴブリンさんのところはイメージ通りですね。どこまで増えるか期待してます。
〈スケルトン〉
いずれゴブリンの国が誕生するんスね。
〈ゴブリン〉
そこまでいくかわかりませんが、他の皆さんとトラブルにならないよう穏便にいきたいですね。
〈スライム〉
そういえば今のところ人外種族ってどういう立ち位置かわからないですね。一般プレイヤーと合流したらどうなるんだろう?
〈アンデッド〉
敵対ルートは避けたいですね。自分はPVP苦手なので。
〈コボルト〉
同じく。それに戦闘より拠点の開拓の方が楽しいので。
〈スケルトン〉
わかるっス。秘密基地作ってるみたいでマジ楽しいんスよね。
〈ゴブリン〉
人外種族と言ったら僻地での活動は定番ですからね。
私もですけどそれ目当てで人外種族を選んだ方も多いのではないでしょうか。
〈スライム〉
ここに限らずユグフロ関連のスレは運営が目を通してると思うので、まぁ悪いようにはならないんじゃないですかね?
〈ゴブリン〉
そうですね。仮に一般プレイヤーと合流するにしても当分先になりそうですし今は気にせず楽しみましょう。
〈スケルトン〉
賛成っス。
〈コボルト〉
ですね。