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エリアボス



ログインする。連休明けの週末。


平日の夜もプレイしていたが採取や道具作りなどが中心だったので、そろそろ島の探索を再開させたい。


インベントリには食料の他に縄と石のナイフなどが新たに入っている。チマチマ作っていたものが完成したのだ。


マイナス補正が入っていて正直出来は良くないが、初めて作った道具なので大切に使っていきたい。


道具作成時に改めて思ったが、人外種族には人族とは違うアシスト機能が付いていた。


自分の場合だと見た目は猫の手だが実際に動かすと人間の時と同様に作業ができた。

最初は見た目と実際の動きの違いに戸惑ったが慣れてしまえば気にならなくなった。


後で分かったことだが、設定でこの機能をオンオフできアシスト無しだとその種族の姿の動きしかできなくなる。


ゴブリンなどの人っぽい姿ならアシスト無しでも問題なさそうだが、スライムみたいな手足のない場合は大変そうだと思った。




改めて探索に出る。今回は大樹方面に向かう予定だ。

とはいえまだレベルが低いのであくまで偵察だけ。

モンスターとの戦闘も避けるべく移動は木の上から行う。


木の上に登れることはわかっていたのでそのまま移動できないか試したところ成功。リンゴの採取の時などに練習をしていた。


これの利点はやはりモンスターと接敵することがないことだ。今のところは頭上から襲ってくるモンスターがいないので安全に行動範囲を広げることができる。


ただ今後もこの方法が続けられるかは不明なのであまり頼り過ぎないよう気をつけたいところだ。



順調に進んでいく。景色は特に変わらず。迷わず戻れるよう一定の間隔で木にマーキングしておく。


拠点のある場所は砂浜から近く、始めのスタート地点よりも大樹から離れている。



しばらくしてスタート地点から先のエリアに入る。

ここからはより慎重に進んでいく。


景色が突然変わるということはないが、空気というか気配が重くなった気がする。


モンスターの姿は見えないが警戒を強めて進む。


幸いなのは木々が途切れず地上に降りることなく進めること。飛び移れる木があるうちは行けるところまで行きたい。



獣の叫び声が響く。その声は複数で、激しく戦っているようだ。

その音は徐々にこちらへ近づいてくる。


その場を離れるか悩んだが、木をなぎ倒しながらこちらへ近づいてくる音の方が早い。


今動くのは得策ではないと判断したタカナシはその場で気配を消し留まる。




目視できる距離までやってきたのは2体のモンスター。


巨大な熊と猪だ。


2体は激しくぶつかり合い戦っている。その戦いの余波で周囲の木々が倒されていく。

この辺りの木は太い幹ばかりなのだが、2体には何の障害にもなっていなかった。


タカナシは先日手に入れた鑑定スキルでモンスターを見る。


熊はタイラントベア、猪はアーマードボアと表示された。


まだ名前しかわからないが、見ただけでヤバそうなモンスターだというのはわかる。


タイラントベアは3メートル以上の巨体で、真っ赤な毛で覆われている。繰り出される太い腕の攻撃は周囲の木々を簡単になぎ払う。


アーマードボアは一回り小さいが、それでもタカナシからすれば巨大な猪だ。こちらは鉄のような硬そうな毛で覆われており、タイラントベアの攻撃を防いていた。

鉄がぶつかるような音が響く。


これはまだ挑んではいけないレベルのやつ。おそらく2体共エリアボスじゃないだろうか。


2体もエリアボスがいるのかは謎だが、戦っている理由はなんとなくわかる。大方縄張り争いという感じだと思う。



この無人島(仮)の全貌は判明していないが、この様子だと区域毎にエリアボスが配置されているのだろう。


今回偶然区域の境目に来てしまい、エリアボス同士の戦いに遭遇してしまった。




2体は戦いに夢中でタカナシに気付いた様子はない。

今はまだ無事だが滞在している木が倒されない内に撤退する。


慎重に離れ、2体が見えなくなったところで全力で逃げる。



なんとか無事逃げ切り一息つくタカナシ。

地上で出会っていたら確実に死に戻りしていただろう。今回は運が良かった。


今のままでは先に進むのは難しいというのがわかっただけでも大きな収穫だ。


エリアボスの名前と姿を確認できたのも大きい。割と近くに2体もいるのは想定外だったが。



今後の目標にエリアボス討伐に向けた強化も加えることに決めた。

今のところ倒せるビジョンが全く見えないが。




思わぬ遭遇に気疲れしてしまったが、警戒を緩めず拠点に戻ろう。

あの場所から大分離れたのでペースを落として移動しても大丈夫だろう。



素材でも採取しながら戻ろうと地上に目を向け進んでいると、鑑定スキルに何かが反応する。


周囲の警戒をしつつ反応した場所に降りると、草むらの中には2匹の子猫がいた。






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