連休終了
ログインする。5日間あった連休も今日で最終日。今日は早めに切り上げる予定なのであまり時間の掛かる作業はしないつもりだ。
ちなみに昨日は丸一日プレイしていない。別にガチ勢ではないので毎日ログインしなくてもいいだろう。
まずは地下から出る。頭をぶつけることはないが真っ暗なので火魔法で明かりをつけないと怪我しそうで危ない。
ということで今試せそうなことをやってみることにした。
まずインベントリから魔石を出しそれを手に再び地下に戻る。そして魔石に魔力を込めると魔石が僅かに光りだす。
成功だ。真っ暗な地下に光が灯る。
魔石は魔力を込めると光る性質があり、タカナシはこれをランプ代わりにすることにしたのだ。
ただ小さい魔石は魔力を込めて一定の時間が経つと消滅してしまう。どうやらある程度の大きさがないと魔力を維持できないらしい。
魔石は魔道具の動力源になることが多いがある程度の大きさが必要になってくる。小さい魔石は砕いて粉にして加工されるのが一般的とのこと。
まぁここではそういった加工はまだできないのでしばらくは使い捨てのランプとして活躍してもらおう。
幸い魔石の元となる島ネズミはよく見るので多少無駄遣いしても問題ないだろう。
ぶっちゃけ火魔法同様魔力を使うのに変わりはなく、どっちでも良かったりする。
しかしこのサバイバル生活において少しでも物を使うということに意義がある。
要は気持ちの問題で少しでも文明的な生活をしているという実感が欲しかったのだ。
ひとまず明かりについては解決したのでいつもの拠点周りのパトロールと採取に出る。
島ネズミと何度か戦闘し、リンゴや素材を採取し戻る。
今のところイレギュラーな出来事はなく順調だ。
ぼちぼち素材も集まってきたので、次回は何か道具を作って見てもいいかもしれない。
今後の予定を考えつつログアウトする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日。学校が始まり昼休み。
中庭のベンチに二人の男子学生が座っている。
「優、ユグフロ今どんな感じよ?」
「んー、ぼちぼちってとこかな。そっちは?」
「今は第2エリアでレベル上げ中。攻略組はもう第3エリアまで進んでる」
友人の八島拓海と話すのはユグドラシル・フロンティアの話。
彼は高梨優以上にこのゲームにハマっており、連休中はユグフロ漬けだったらしい。
「そっちは人外組とは誰とも会えてない感じ?」
「ああ、痕跡すら見つかってない。考察スレで人外組がいるエリアはかなり先なんじゃないかって話が出てる」
「そっかー、やっぱ自力で頑張るしかないか」
「あー、優がいるとこ島なんだっけ?だと合流出来るのかなり先になりそうだな。にしても優の話聞いてると同じゲームやってるとは思えないな」
「楽しいよ無人島生活」
「ま、優が楽しんでるならいいけど。こっちは真っ当にVRMMO楽しむさ」
二人は特に一緒にパーティを組んで遊びたいわけでもないのでお互い自由にプレイしている。
「そーいやさ、連休中に見かけたんだけど隣にいた女子誰よ?彼女出来たん?」
「ん?ああ、それ知らない人」
「どゆこと?」
「自キャラと同じ猫の商品探してたらなんか隣にいて、気付いたら一緒に探してた。特に知り合いでもないし、なんなら名前すら知らない赤の他人」
「はー相変わらずだな。ま、変なのに引っ掛かった訳じゃなさそうだしいっか」
「その辺は美玖ちゃんで鍛えられてるからな」
「それもそうだな。そういや動画撮ってるか?美玖が見たいんだってさ」
「一応あるけど編集とかしてないぞ。それでいいなら」
「サンキュ」
「一応言っとくけど拡散するなよ」
「ああ、わかってる。美玖にもちゃんと釘さしておく」
「動画といえばユグフロって動画配信ってやってる人多いのな。人外組ならわかるんだけど普通のプレイヤーの配信って需要あるのか?」
「それな。ユグフロって他のVRゲームより規制が緩いんだよ。んで配信デビューするのが増えてるんだよ。だからほとんど素人ばかりで面白いのはないな。人気あるのは元々他でやってた有名どころ位かな」
「ふーん」
「なんだ気になるのか?優ならケット・シーだしかなりバズるんじゃね?」
「いや、やらん。ちょっと気になっただけ。撮影はするけどあくまで自分用だし見せても拓海たちだけだな」
「それでいんじゃね。じゃ動画頼むな」
「おう」
「じゃそろそろ戻るか」
二人は教室へ戻っていく。
帰宅し忘れないうちに配信アカウントの設定をする。限定公開にしておいたから大丈夫だろう。拓海に連絡しておく。
この後はゲームをしようかと思ったが、昼に話したユグフロの動画配信が気になったので適当に流して過ごした。