猫の国と王様
精霊門をくぐるとそこは猫の楽園だった。どこを見ても猫、猫、猫。猫しかいない。
タカナシは門をくぐるつもりはなかったのだが、いつの間にか背後にいた白玉たちの気配を察し流れに身を任せることにした。
タカナシが出た場所はレンガ作りの家が並ぶ街だった。
当然人はおらずどこもかしこも猫しかいない。
殆どは普通の見た目の猫なのだが中にはタカナシのように二足歩行で歩く猫もいた。
「みゃあ」
タカナシの足元に一匹の子猫がいた。
「こんにちは、お邪魔してます」
「みゃあ」
タカナシが挨拶をすると灰色の子猫は付いて来てといった様子でタカナシの先を歩き始める。
どこかに案内してくれるようだ。
灰色の子猫の後に続くタカナシたち。
大通りと思われる一本道を進む。
周りの様子を見ていると猫たちが店を開き普通に商売をしていたりする。
ここにいるのはケット・シーばかりなので当然といえば当然なのだが新鮮な光景だ。
魚屋ばかりなのはよくわからないが少なくともタカナシの無人島よりは文明的な暮らしをしてるようだ。
灰色の子猫が連れてきた場所は大きな洋館。おそらくここに偉い猫がいるのだろう。
灰色の子猫のあとに続き洋館の中に入る。
がらんとした無人の広間の奥には玉座が一つあるが空席だ。留守なのだろうか。
灰色の子猫は止まることなく進み玉座に座ると従者と思われる猫がやってきて王冠を灰色の子猫に被せる。
気づくと無人だった広間にはいつの間にか猫たちが集まっていた。
「みゃあ!」
灰色の子猫改めて王様の呼びかけに応え跪くタカナシ。後ろに控える白玉たちも頭を垂れる。
翌日。
「みゃあ」
「やぁ、いらっしゃい」
王様は他の猫と共に今日も無人島を訪れ目一杯遊んでいた。
王様との謁見ではケット・シーの国との同盟を結び今後も仲良くしようという話でまとまった。
王様はそれ以降毎日遊びに来るようになる。王様と言っても形だけで暇らしい。今ではタカナシの無人島の一番のファンとなっていた。
時を同じく公式からとある発表があった。