無人島サーキット
「キュイー」
「うおぉー!!」
氷の道を勢いよく滑るラムネの背に乗るタカナシ。
ただの偵察のつもりが既に攻略済みだったという展開に混乱していたが、ひとまず拠点に戻ることにした。
ラムネを送還しようとすると拒否される。どうやら一緒について来るつもりのようだ。
ペンギンだし陸を歩くのは得意ではないだろう。まぁ急ぐこともないのでのんびり行こうと思っていたのだが、
「キュキューイ」
ものすごいスピードで森の中を進んでいた。
ラムネは氷魔法で前方に氷の道を作りその上を滑ることで、水中時と変わらないスピードで移動できた。
タカナシはラムネの背に乗っているのだが、ラムネはタカナシよりも小さい上にスピードがかなり出ている為不安定だ。
木々の隙間を縫うように進むので時々放り出されそうになりながらも必死に耐える。
まるで安全装置のない絶叫マシンに乗っている気分だ。
猛スピードで進んでいくラムネはあっという間に拠点にたどり着いた。
後日、夏休み最終日。
「にゃあー」
「なー」
白玉たちが競うように猛スピードで氷の道を滑走している。
ラムネの作った氷の道を気に入った白玉たちのリクエストにより無人島を一周するコースが作成されていた。
夏休み最終日になんとか完成したこのコースは中央エリアを除く東西南北エリアを一周するスタンダードなタイプとなっている。
道路はラムネの氷魔法で作られているがそのままだと消えてしまう。
それを解決したのは錬金大全のレシピから作ったアイテム、魔力保持装置だ。
これを設置し定期的に魔力または魔石を補充することで氷は消えることはなくなった。
この他にもコースから落ちた時の救済アイテムとして雲玉というアイテムを白玉たちには遊ぶ際に持たせている。
雲玉はその名の通り雲を生み出すアイテムで雲に乗ることができる。
使用制限があるのでこれを使い切ったらリタイアとなるルールとした。
氷の保持と安全面が確保されたことで完成したこのコース。
ラムネの貢献はもちろん大きいが、タカナシにとってのMVPは錬金大全という一冊の本だ。
錬金大全は西エリアの宝箱のアイテムでラムネがエリアボスを倒したあとに回収したものだ。
この錬金大全には様々なアイテムのレシピが記載されており、魔力保持装置や雲玉のレシピもここに載っていた。
手探りで道具を作るしかないタカナシにとって錬金大全は錬金釜と同じ位嬉しいアイテムだった。
攻略そっちのけでコース作りを行っていたタカナシだが攻略をやめた訳ではない。
準備が出来次第中央エリアの攻略に行くつもりだ。
今はまだその時ではないだけなのだ。
そう自分に言い聞かせ白玉たちと一緒にレースを楽しむタカナシであった。