猫好きに悪い人はいない
ゲームを終え一息つく。夕食にはまだ時間が早いので気分転換に外出する。
近場のショッピングモールにやってきた。程良く時間を潰すのには丁度いい場所だ。
特に目的もないので適当にぶらつく。
ふと雑貨屋が目に入る。猫フェア開催中の文字が。棚には様々な猫の商品が並んでいる。
気になったので入ってみる。猫キャラで遊んでいるタカナシにとってタイムリーなフェアだ。
たくさん並ぶ猫のグッズの中から三毛猫、その中でも自キャラと同じ柄のものがないかスマホを見ながら探すタカナシ。
このフェアで並んでいるものはハンドメイド品らしい。よく見ると皆違った表情や模様をしている。
一つ一つ真剣に吟味しながら回っていると、いつの間にか隣に女の子がいた。
その子はスマホの画面を凝視している。
写っているのはドヤ顔をしている三毛猫のタカナシ。
ゲーム内ではスクショや動画撮影が可能で中には配信をしているプレイヤーもいたりする。
タカナシは公開するつもりはないが個人で楽しむ用に記録を残していた。
普通に動物を撮影するのと違いどんなポーズも思いのままに好きなタイミングで撮影できるのだ。
休憩している時に試しにやってみたところ、これが案外楽しかった。
猫の姿は反則で何をしても可愛い。それがたとえ中身が自分だとしてもだ。
ゲームをプレイする以外でも楽しめる要素が見つかったのは予想外の収穫だった。
女の子はタカナシの横から離れず着いてくる。視線はスマホの画面に釘付けのままだ。
どうしたものかと思ったが放って置くことにした。特に迷惑はしていないし、まぁいいかという感じだ。
しばらく画面を眺めていた女の子だが、棚の商品を手に取りスマホの画面を見比べて真剣な表情で吟味し始めた。
タカナシは女の子に見やすい様にスマホの位置を変え二人並んで一緒に商品を探す。
「これが一番似ていると思います」
女の子が見せてくれたものは手のひらサイズの羊毛フェルトのマスコット。
画面から飛び出したと思う位似ていた。
「ありがとうこれにするよ」
女の子にお礼を言い、会計をする。
「その子の名前は何ていうのですか?」
「え~っと、…タカナシだよ」
「いい名前ですね」
多分普通の猫と勘違いしてるっぽいのでゲームの自キャラですとは言えなかった。
「手伝ってくれてありがとう。お陰でいい買い物ができたよ」
「こちらこそ良いものを見せてもらいました。ありがとうございます」
お互いに礼をいい別れる。
最初は変な人だなと少し警戒していたが、普通に猫が好きな良い人だった。噂には聞いていたが猫好きに悪い人はいないというのは本当なんだな。
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【人外種族専用スレ】
〈コボルト〉
ここも大分賑やかになりましたね。
〈スケルトン〉
まだ正式サービス始まったばかりなのにもう十人以上集まってる件。集まるの早すぎっしょ。
〈ゴブリン〉
有り難いことに皆さんの協力のお陰でたくさんの種族が判明しました。
◆発見人外種族
・ゴブリン
・コボルト
・スケルトン
・スライム
・アンデッド
・ケット・シー
・フェアリー
・アラクネ
・ドライアド
etc…
〈スライム〉
他スレから来ましたが、やっぱり専スレあるのはいいですね。安心できます。
〈アンデッド〉
確かに。自分はアンデッドなのでやっかみはないですが、人気のあるモンスターだと大変そうですもんね。
〈スライム〉
最近の流行りだとスライムは強キャラ扱いですからね。まぁ僕の場合はチートはなくてギリ戦える程度のスペックですが。
〈コボルト〉
自分にもそういうの来るなんて意外でしたよ。
〈スケルトン〉
コボルトさんは見た目が反則だからなぁ。まさか柴犬なんて思わないっしょ。
〈アンデッド〉
ケット・シーさんも三毛猫だし癖が強そうですよねここの制作陣。
〈ゴブリン〉
図らずともここが防波堤になって良かったです。
〈コボルト〉
本当ゴブリンさんには感謝ですよ。